五輪選手に被曝のリスク――今からでも開催を中止させよう 渡辺悦司

2020年01月



五輪選手に被曝のリスク――今からでも開催を中止させよう

市民と科学者の内部被曝問題研究会会員 渡辺悦司

日本消費者連盟『消費者リポート』No.1629 2020年1月20日号 所収



〖ここからダウンロードできます〗
五輪選手に被曝のリスク――今からでも開催を中止させよう 日本消費者連盟『消費者リポート』No.1629 2020年1月20日号所収(pdf,1ページ,1093KB)
日本消費者連盟から掲載許可を得ています。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催でもたらされる放射線被曝の危険を、国内外に警告しようと共同著作を緊急出版しました。著者・寄稿者は、私が所属する市民と科学者の内部被曝問題研究会のメンバーはじめ、福島や関東からの避難者も加わっています。私たちは、全く報道されない五輪選手への被曝リスクを直視し、今からでも開催を中止するべきと訴えています。

核実験場で競技するに等しい
 福島原発事故の放射能放出量だけから見ても、東京・福島での五輪開催は、ネバダ核実験場あるいはチェルノブイリ事故原発の周辺地域で競技を行うに等しい行為です。過小評価した日本政府推計でさえセシウム137で広島原爆の168発分に相当するのです。福島原発事故によって広く拡散された不溶性放射性微粒子には特別の危険性(本書推計で外部被曝の約4500倍)があり、1個でも肺内に付着すると長期の被曝リスクがあります。放射線感受性には約100倍もの個人差があり、影響を受けやすい人々が多くいます。東京の水道は現在でも、簡単な浄水器を5カ月取り付けて測定すると400ベクレル/キログラム以上のセシウム(137+134)が測定されています。つまり半年間程で、放射線管理区域レベル(法律の4万ベクレル/平方メートル相当は約615ベクレル/キログラム)の汚染が観測されているわけです。

選手村での食材に福島産を集中
 選手村での食材に福島産を集中的に使用する計画が明らかになっています。加えて、海砂が放射能汚染されている東京湾のお台場で水泳競技を実施し、聖火リレーを事故原発直近で行い、選手村の内装に福島産木材を優先して使い、メダリストに贈る花束(ウィニング・ブーケ)にまで福島産の花を使うことが計画されています。これらにより被曝リスクがさらに加わることになります。台風19号などの洪水では大量の放射能が住宅地や農地に流れ出ました。最低でも広島原爆の7分の1ほどになるでしょう。この土壌と反応した不溶性微粒子が、今後、東北から関東の広範な地域に飛散されようとしています。この洪水により日本近海は、大まかに見積もって広島原爆10発分程度の放射能で再汚染されてしまいました。この海からの再飛散も東京や福島に降り注いでくるでしょう。



政府の嘘を見抜き「予防原則」を適用して
東京五輪は、世界から集まるトップアスリートや観客・観光客を生涯にわたる放射線被曝のリスクに曝す結果になります。私たちは国内外の方に以下のことを訴えています。
● 福島や東京が放射線科学的に「全く安全である」「被曝リスクは一切ない」「被曝しても健康影響はない」という日本政府の宣伝は嘘であり、決して信じてはなりません。
● 白血病・がんなど被曝影響が疑われる病気が、福島・東京および日本全体に現れ深刻化しています。福島・関東からの避難者は、実際に健康影響を体験しています。矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授の試算では事故後7年間で28万人という過剰死が生じています。これらの事実を直視すべきです。



● 五輪の大宣伝と大建設ブームの対極として進められている、日本政府による避難者や被災者への援助切り捨て、政府基準で年間20ミリシーベルトという高汚染地域への住民帰還などの犯罪性について注目を払うべきです。
● オリンピックの短期間であっても福島や東京圏に滞在することがもつ被曝のリスクを正しく認識し、国連や国際機関で広く認められている「予防原則」を適用して参加、観戦を再考するべきです。
● 各国政府・スポーツ団体に対して選手団を送らないように求めます。日本政府に対して東京開催を返上するように要求します。

謝辞:日本消費者連盟『消費者リポート』編集長 杉浦陽子氏のご協力に深く感謝します。あわせて、皆さま、ぜひ日本消費者団体連盟へのご協力もよろしくとのことでした。

新刊紹介
『東京五輪がもたらす危険――いまそこにある放射能と健康被害』
[編著]東京五輪の危険を訴える市民の会
[編集]渡辺悦司
緑風出版刊、216ページ、定価1800円+税