放射線被曝のもたらす健康影響の全体像の把握に向けて――集団病態・症候学的方法による福島事故健康影響全否定論の批判 渡辺悦司

2019年2月

放射線被曝のもたらす健康影響の全体像の把握に向けて
――集団病態・症候学的方法による福島事故健康影響全否定論の批判


市民と科学者の内部被曝問題研究会会員 渡辺悦司
2019年2月19日


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放射線被曝のもたらす健康影響の全体像の把握に向けて――集団病態・症候学的方法による福島事故健康影響全否定論の批判(pdf,243ページ,9937KB)
 

   見えぬけれどもあるんだよ。
   見えぬものでもあるんだよ。
        (金子みすず「星とたんぽぽ」『童謡全集 空のかあさま 上』所収より)

  はじめに

 以下の論考は、日本政府と政府側専門家たちが行っている福島原発事故放出放射能による健康影響全否定論(被害「ゼロ」論や「全くない」論あるいは「被曝安全安心」論)を批判する活動の一環として、放射線被曝のもたらす健康影響の全体像を把握しようとする世界的・歴史的な努力を概観し、その中に福島原発事故による被曝被害を位置づけようとする一つの試論である。本論考は大きく3つの部分に分かれている。
 第1部は、日本政府・政府側専門家たちの福島原発事故放出放射能による健康影響全否定論(「ゼロ」論あるいは「全くない」論)の最近の進化――いっそうの露骨化と暴論化、デマによる支配の全面化と教育への権力主義的押しつけなど――を特徴づけ、その理論的な批判を取り扱う。あわせて、政府側の新動向が反被曝の運動内部にどのように反映しているか、すなわち運動内部にどのような動揺・後退・屈服的諸傾向が進んでいるかを検討する。疫学的データや統計に現れている事故影響のエビデンスについては、すでに多くの人々によって検討が行われており、ここでは省略して別の機会に譲りたい。
 第2部は、大きく3つの編に分かれている。第1編は、広島・長崎の原爆被爆者、核実験による被曝者、さらにはチェルノブイリ事故の被曝者などに現れた疾患・症状群の全体像(グローバル被曝被害)を歴史的に概括することである。第2編は、最近革命的な進歩を遂げつつある分子病態学・症候学によって解明された一連の基盤病態が生みだす広範な疾患・症状群と、放射線被曝によって生みだされることが解明済みの一連の基盤病態とを結びつけ、放射線被曝が生みだす疾患・症状の全体を疾患・症状群として特定しようとする試みである。つまり「放射線→基盤病態」と「基盤病態→疾患・症状」が解明されておれば、「放射線→疾患・症状」を推定することができるという考え方を実際の症例にあたって検証しようとしたものである。第3編は、福島原発事故による具体的な放射能放出量や放出形態、被曝状況や被曝形態を分析し、それによってもたらされている具体的な疾患・症状を洗い出し、それと原爆被爆者、核実験被曝者、チェルノブイリ被曝者に現れた疾患・症状群とを比較対照しようと試みたものである。典型的な事例として、震災後の米軍トモダチ作戦に従事した兵士・士官・軍属の示している疾患・症状群を中心に過去の被曝例と比較対照し、さらに上記の放射線関連の基盤病態が関連する疾患・症状群に記載があるかを検証する。個々人について具体的な現れ方は相違するであろうが、集団として現れた疾患・症状の全体を見た場合、当該の被曝者集団が示している疾患・症状の全体から、その集団が(したがってその構成員が)被曝を受けたかどうかを病理病態学的・症候学的に特定することが可能であるのではないか、そこからその集団を構成する諸個人もまた被曝者であることが示せるのではないかという論点を提起する。
 第3部は、それに関連して、日本政府や政府側専門家たちが主張している福島原発事故放出放射能による健康被害の全否定論(「ない」論あるいは「ゼロ」論)の社会経済的基礎と政治的意味について検討する。とりわけ、世界を支配しながら世界の勢力圏分割と世界支配の覇権を求めて相互に「使える核兵器」による核戦争を準備している帝国主義――現代では核帝国主義――の問題を取り扱う。福島原発事故に関連して、日本政府の行っている住民と国民全体に対する被曝強要策が、潜在核保有国としての日本も含む核帝国主義による「知られざる核戦争」(矢ヶ崎克馬氏)であることを指摘する。あわせて、核帝国主義の被曝問題を扱う機関としてのUNSCEARやICRPが、一方で被曝被害の実情を科学的に認識しようと努力すると同時に核開発の利害からそれを矮小化し過小評価し最後的には全否定するという、二面的で矛盾した、しかし核帝国主義的利害に貫かれた本質を批判的に検討する。それにより明らかにされるのは、核帝国主義は、被曝被害を「知って」諸国民を被曝させようとしているということである。核帝国主義が廃棄されなければ、それは繰り返される原発事故・核事故によっても、通常運転による日常的な放射能放出によっても、蓄積されていく法外な量の核廃棄物によっても、来たるべき核戦争によっても、世界と人類を放射線被曝による滅亡に導かざるを得ないであろうという結論が出てくる。またそのような結論を避けることはできない。

 本論考は、まだ未完の部分も多く、研究ノートや資料集に近いが、議論のために皆さまに公表することとしたい。
 いろいろな病気名や症状名が極めて多く出て来て煩わしく感じられる読者がおられるかもしれない。表などは、読み飛ばしていただいてかまわないが、被曝した人々や避難者にとっては、これら症状は、全体についても、一つ一つについても、決定的に重要な健康問題であり死活の関心事である。どうかご容赦願いたい。
 読者の皆さまに訴えたいのは、政府側専門家たちが、また彼らが国際的権威として依拠しているUNSCEAR等もまた、相手を見てしゃべる言語を変える一種の「二言語話者(バイリンガル)」であり、端的に言えば国民向けと専門家内部向けでまったく別な発言をして何とも思わない「二枚舌」であるということである。
 国民に向けた政府側の広告塔として、「科学」的権威を傘に、被曝しても健康影響は「ない」などと主張している「専門家」は、みな虚偽の言語を語っている「詐欺師」である。その意味でもはや「専門家」でも「科学者」でもない。この点で、われわれは皆、理論的科学的に自信を持つべきであると考える。彼らは、国民とくに子供たちを放射線被曝へと誘う「ハメルーンの笛吹き男」ような死への扇動者であり、被曝による国民の大量の健康破壊や致死を正当化する「デマゴーグ」である、と言われても仕方がない。この点では、すなわち、政府との対決点である被曝の影響が「ある」か「ない」かの点では、「ある」と主張する反被曝の立場に立つ人々は、政府側専門家たちに対して絶対的な理論的科学的優位にあると自覚するべきであると確信する。
 「専門家」たちは、自分たちの仲間内では、多くの場合、国民向けとはまったく「別な言語」をしゃべっている。たとえば著名な政府側専門家は、(後で検討するように)自分が編纂した放射線医学の教科書の中では、被曝すれば影響が「ある」ことを前提に具体的な話をしている。もちろん、チェルノブイリや福島での「原発事故」を扱った箇所「以外」であるが。UNSCEARやICRPにしてもそうである。ここでは、私に可能なかぎり*、専門家たちが、一般国民向けの虚偽の言語ではなく、仲間内で交わしているまったく「別の言語」を読み解いて、その意味を皆さまに紹介しようと思う。そして、それらは全て、放射線影響が「ある」ということ、しかも深刻であるということを、はっきりと疑う余地なく示している。これらは、事故の健康影響が一切「ない」という政府や政府側専門家たちの主張を明確に論駁しその虚偽を暴露しているのである。
  *かつて私が学んだ言語教育学には、成功する学習者の鍵となる性質として”tolerance of ambiguity”という重要な概念がある。
  皆さまにもぜひお勧めしたい。Mary-Ann Reiss, Helping the Unsuccessful Language Learner,
  1981『英語科教育法セミナー』英宝社(1987年)30ページ

 本論考を、ささやかではあるが、すべての原爆・核実験・原発事故の被害者、福島・東北・関東・東京などからの避難者、トモダチ作戦によるアメリカでの被曝被害者、これらの人々の支援者と反被曝の活動家や関係するすべての皆さまとその闘いに、さらに被曝被害の問題に関心を持つすべての皆さまに、捧げたい。微力ながらお役に立つことができれば筆者にとってこれ以上の幸せはない。

  読者のための注記:
 本文中の数字は有効桁数にかかわらず、すべて大まかな概数であることを予め注記しておきたい。
 誤解を避けるためにこれまた予め付記しておくと、本論考では「民族」「国民」という言葉は、決して「愛国主義」的な含意をもつ情緒的表現としてではなく、純粋に社会学的な意味で、すなわち支配階級と被支配階級を区別せず、その両者から構成される(すなわち支配階級をも含む)、人種や国籍を問わず、国境で区切られた大きな人々の社会集団という意味で使っている。これに対して「人民」とは労働者階級と勤労人民すなわち被支配・被抑圧諸階級を表す言葉として、「住民」とは特定の地域に居住する階級を区別しない場合の社会集団の呼称として使っている。「支配層」とは「支配階級」の中の現実に権力を掌握し行使している集団のことである。
 原発事故による放射線被曝の健康影響の場合にまず第一義的に問題になるのは、基本的に階級を区別しない概念である「住民」「民族」「国民」である。放射線の作用は支配階級・被支配階級を区別しない場合が圧倒的に多いからである。もちろん二次的三次的には、避難の余裕や自由度、自覚的に汚染度の少ない食品を選んで食べることのできる条件などの諸事情が、各階級の被曝状態したがって健康状態に長期にわたって作用することとなる。
 また「帝国主義」とは、ここでの詳論は差し控えるが、レーニン『帝国主義論』の意味での帝国主義である。



  目次

はじめに                         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   1

第1部 放射線被曝被害をめぐる現在の情勢、日本政府・政府側専門家たちの福島原発事故放出放射能による
健康被害全否定論(「ゼロ」論、全く「ない」論あるいは「被曝安全安心」論)のさらなる露骨化・暴論化・
デマゴギー化とその反被曝運動内部への反映について、過去のグローバルな被曝被害の歴史を対置して批判す
ることの意義について                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  11

 第1章 日本政府・政府側専門家たちの福島原発事故放出放射能による健康影響全否定論(「ゼロ」論、全く
 「ない」論あるいは「被曝安全安心」論)の新しい展開             ・・・・・・・・・  11
  1.原子力規制委員会が事実上「致死線量までの被曝」を受忍せよという恐ろしく危険な事態
  2.日本政府による「予防原則」の全否定
  3.このような法外な被曝基準解釈引き上げの背景と衝動力
 第2章 被曝被害の歴史的な経験・事実・エビデンスに立ち帰ること       ・・・・・・・・・  17
 第3章 ICRP・UNSCEAR・BEIRなどのリスクモデルの評価について       ・・・  18
  1.ICRPなどのリスクモデルは被曝影響が「ある」と認めている
  2.住民帰還政策のICRPリスクモデルによる分析:それが住民の「大量殺戮」とならざるを得ないこと
  の1つの例証
  3.放射線被曝による致死線量の国際機関による推計値
  4.バンダジェフスキー氏による内部被曝による半数致死線量
  5.復興庁パンフレットに見る放射線致死線量の公然かつ露骨な無視
 第4章 日本政府・専門家による胎内被曝影響・遺伝的影響が「ない」という虚偽主張    ・・・・  31
  1.UNSCEAR2001年報告の不誠実な引用
  2.胎児影響・遺伝性影響の存在は実証されている
  3.被曝2世調査の結果でヒトについての遺伝性影響全体を否定することはできない
  4.ICRPもUNSCEARも人間の遺伝性影響を認めている
  5.UNSCEARによる遺伝的影響の過小評価とECRRによる補正の試み
  6.遺伝的影響の中でのトリチウムの特別の危険性
 第5章 汚染水を海洋投棄するためにトリチウムの危険性ゼロを宣伝する日本政府と専門家    ・・  39
 第6章 自然放射線や医療用放射線など「身の回りの日常的に存在する放射線」について   ・・・・  42
  1.自然放射線の危険性について
  2.カリウム40の内部被曝と放射性セシウムあるいはストロンチウムの内部被曝との区別
  3.医療診断被曝のリスクについて
 第7章 「心理的ストレス」によってがんの過剰発症をどこまで説明可能か?     ・・・・・・・  47
 第8章 日本政府の被害「ない」論の暴論化とその反原発・反被曝運動への反映、福島原発事故による被曝被
 害をめぐる根本問題とそこでの理論的「動揺」の種々の諸形態        ・・・・・・・・・・・  48
  1.財界首脳でさえ影響が「ある」ことを認め福島原発事故の被害想定に言及している
  2.福島事故による被曝影響の評価に関する諸見解と反原発・反被曝の運動内の状況
  3.被曝影響をめぐる現在の根本的問題、基本的な対立関係――「ある」か「ない」か
  4.反被曝運動内部の動揺のいろいろな現れ

第2部 グローバルヒバクシャの概念とその基礎にある核被害(被曝病態・疾患・症状)のグローバルな共通性
あるいは本質的同一性                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・  58

 はじめに――被曝集団の病態学的・症候学的序説                ・・・・・・・・・  58
  A)福島原発事故による被曝者とりわけトモダチ作戦兵士・士官・軍属に現れた疾患・症状と以下との比較
  B)すでに解明されているか推測されている放射線被曝影響と対応する基盤病態(↑↓は論理上それぞれ上
  の項目に戻る・下の項目に進むの意味)
  C)分子病態学・臨床医学などの進歩により解明されつつある上記の基盤病態から生じる広範囲の疾患・症状
  D)基盤病態を介して疾患・症状が放射線誘因あるいは関連である可能性が示唆される
  E)被曝の場合の疾患・症状の発現の特徴、不確定な複数あるいは多数の疾患・症状の同時並行的な進行

 第1編 広島・長崎原爆の被爆者、核実験での被曝者、チェルノブイリ事故の被曝者に現れた疾患・症状
                                   ・・・・・・・・・・・・・  63
  第1章 広島・長崎での原爆投下による、物理的身体損傷以外の健康被害についての記録   ・・・  63
   1.広島市・長崎市原爆災害誌編集委員会編『広島・長崎の原爆災害』
   2.原爆被爆者調査によっても低線量被曝によるがんの過剰発症が証明されている
   3.肥田舜太氏による「原爆ぶらぶら病」の提起、先駆的な業績
  第2章 核実験による健康被害             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  67
   1.ドネル・ボードマン医師による、原爆投下後入市したり核実験に従軍したりして被曝した米軍兵士お
   よび市民などにおける「低線量放射線障害」の特徴づけ:肥田舜太訳『放射線の衝撃 低線量放射線の
   人間への影響(被爆者医療の手引き)』アヒンサー(2008年、原著1992年)より
   2.ネバダ実験場における大気圏核実験による被害健康被害に関する最近の研究(未完)
   3.太平洋諸島での核実験による健康影響、日本の漁船・船舶の乗員を含む
     ・ビキニ水爆実験による日本の漁船員の健康被害
     ・マーシャル諸島住民の被曝被害
   4.サハラ砂漠、ムルロア環礁でのフランスの核実験による健康被害(未完)
   5.中国の核実験による健康被害(未完)
   6.ソ連の核実験による健康被害(未完)
  第3章 チェルノブイリ原発事故による健康被害の全体像        ・・・・・・・・・・・・  78
   1.ヤブロコフら『チェルノブイリ被害の全貌』(原著2009年)
   2.チェルノブイリ原発事故以後の東欧諸国の人口2200万人減少――ヤブロコフらの100万人の犠
   牲者という被害推計は「控えめなもの」というのが自然ではなかろうか?
    ・ロシアの人口動向
    ・ベラルーシの人口動向
    ・ウクライナの人口動向

 第2編 最近の分子生物学・分子病態学から見た放射線被曝による健康影響の理論的に考え得る機序について
                             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  90
  第1章 放射線によるDNA・ゲノム・細胞小器官(ミトコンドリアなど)の損傷   ・・・・・・  90
   1.一般的に考えられているモデル
   2.エリック・ホール氏による直接的作用の範囲の拡大
   3.青山・丹羽編『放射線基礎医学』による放射線のミトコンドリアやリソソームなど細胞小器官への作用
   機序の拡大
   4.吉川敏一監修の『酸化ストレスの医学 第2版』による放射線により引き起こされる酸化ストレスのミト
   コンドリア損傷を通じて慢性炎症に導く作用モデル
   5.小林正伸氏による放射線のDNAクラスター損傷のモデル
   6.DNA内部の水素結合に取り込まれたトリチウムの壊変によるDNA損傷モデル
  第2章 がん:がん生物学・腫瘍学の最近の革命的発展、がん発生・進展過程の全体的解明の進行、放射線
   影響の解明の課題――がんの遺伝子(ゲノム)変異の「蓄積」による「多段階」発症・悪性化 ・・  97
   1.発症・進展の全体像が分子生物学的に明らかになりつつある
   2.「,気泙兇泙覆ん化関連遺伝子への変異導入とその固定、および多段階的なJ儖曚涼濱僉廚砲
   る発がんと悪性化
    ・がん生物学教科書の説明――大腸がんの例
    ・ICRP2007年勧告の説明
    ・最近の研究上のキーポイント――ゲノムの変異の全体を捉える
   3.がん遺伝子(の活性化)とがん抑制遺伝子(の失活)
   4.がんの遺伝子異常のまとめ(渋谷・湯浅前掲より)
   5.ゲノム不安定性(DNA、ヒストン、クロマチン、染色体)
   6.がん発症・進行・悪性化における免疫系および炎症の役割
   7.がんの発生・進展の原因・誘因=環境汚染・放射線被曝を含む「複合」要因
   8.がんの発生・進展に対する放射線影響:もっと広く、しかも長期にわたって蓄積されると考えるべき
    ・放射線の影響再論
    ・放射線影響下でのがん発現までの期間(潜伏期間)の問題点:がん発生・進展のどの時期でどれだけ
    の量被曝したかで違う
   9.子供の甲状腺がんについて『甲状腺腫瘍 診療ガイドライン』による放射線被曝の位置づけ
   10.各種がんの放射線感受性
  第3章 放射線が生みだす活性酸素・フリーラジカルとそれによる酸化ストレス(ペトカウ効果)による健康
  影響の可能性――酸化ストレスという機序からのアプローチ       ・・・・・・・・・・・・ 127
   1.酸化ストレスによる被曝影響の短期的および長期的過程
   2.活性酸素・フリーラジカルがもたらす酸化ストレスに関連する疾患・症状の一覧
   3.放射線被曝による酸化ストレスの例証:チェルノブイリの汚染地域の子供たちが示す高いフリーラジ
   カルの量
  第4章 放射線が生みだす長期的細胞炎症(バイスタンダー効果)がもたらす健康影響の可能性――多様な
  疾患の基板病態である慢性炎症という機序からのアプローチ              ・・・・・ 132
   1.放射線による慢性炎症
   2.慢性炎症の発生と進行の考えられているモデル
   3.放射線が生みだす長期的細胞炎症を介して放射線影響の可能性のある疾患・症状
   4.放射線被曝状況下でのがん生存期間の減少、その説明の1つとしての被曝による慢性炎症の増悪の可能性
   5.有機トリチウムが体内脂肪として脂肪組織および脂肪の比率の高い脳に蓄積し、脂肪炎症の引き金の
   一つとなり、広範囲の代謝性症候群や脳内炎症性疾患・脳腫瘍および広範囲の炎症性疾患の基礎となって
   いる可能性について
  第5章 放射線被曝によるミトコンドリア損傷を通じた機序から考えられる健康影響    ・・・・ 140
  第6章 イオンチャネル系に関連する疾患・健康障害――放射性セシウムによるカリウム・イオンチャネル
  系の阻害ほか                                ・・・・・・・・ 141
  第7章 アルツハイマー病および糖尿病と放射線被曝影響の可能性についての例証      ・・・ 153
  第8章 放射線被曝による免疫系への影響             ・・・・・・・・・・・・・・ 155
   1.青山・丹羽編『放射線基礎医学』における放射線免疫学の叙述
   2.UNSCEAR2006報告における放射線の免疫系への影響の叙述
   3.日本医師会『血液疾患診療マニュアル』(2000年)が記載する免疫機能低下による易感染性症状群
  第9章 ホルモン・代謝系への影響(三田茂医師の研究に関連して)    ・・・・・・・・・・・ 159
  第10章 腸内細菌叢の撹乱を通じた機序から考えられる健康影響      ・・・・・・・・・・ 165

 第3編 放射線による影響の受けやすさ(放射線感受性)の個人差について      ・・・・・・・ 165
  第1章 年齢別の放射線感受性の差異          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 165
  第2章 放射線感受性の男女差               ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 167
  第3章 遺伝子変異による放射線高感受性          ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 169
  第4章 放射線感受性による被曝基準の諸個人への適用上の問題あるいは避難の権利――放射線高感受性
  集団にとってのLNT仮説の非人道的・人権侵害的側面        ・・・・・・・・・・・・・ 172

 第4編 福島原発事故における被曝被害             ・・・・・・・・・・・・・・・・ 175
  第1章 福島事故による被曝状況:福島原発事故の放出放射能量、福島事故に特有の放出形態である不溶性
  放射性微粒子、福島事故による住民の被曝量           ・・・・・・・・・・・・・・・ 175
   1.福島事故による放射能放出量の推計
   2.東京電力「福島第一原子力発電所事故における放射性物質の大気中への放出量の推定について」(2
   012年5月)より
   3.日本政府の見解:原子力安全・保安院の2011年8月26日発表「東京電力株式会社福島第一原子
   力発電所及び広島に投下された原子爆弾から放出された放射性物質に関する試算値について」
   4.福島原発事故に特徴的な放出形態:不溶性放射性微粒子の特別の危険性
    ・直接的作用と間接的作用(再提起)
   5.福島原発事故の放出放射能がもたらした実際の被曝量の推定――山田国廣氏による小児甲状腺被曝線
   量の推計
   6.米国防総省発表の福島原発事故による甲状腺被曝量の推計
   7.山田国廣氏による外部被曝初期被曝量及び積算線量の算定をベースとした福島原発事故の場合のチェ
   ルノブイリ方式による避難基準の試算
 第2章 福島原発事故での例証1:福島原発事故によって生じたプルーム(放射能雲)に突入し被曝したトモ
 ダチ作戦従軍米軍兵士・士官・軍属の訴える症状・体調不良    ・・・・・・・・・・・・・・・・ 199
 第3章 福島原発事故での例証2:三田茂医師が提起する福島原発事故での放射線被曝による「能力減退症」
                             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 205
 第4章 福島原発事故での例証3:「能力減退症」の他の実例と放射線被曝とネオニコチノイドの複合影響の
 可能性――子供の知的能力の低下が十分に考え得るという論拠         ・・・・・・・・・・ 208
  1.衝撃的な『日経サイエンス』「宇宙放射線で脳障害」論文
  2.群馬県で行われた山林へのネオニコチノイド散布との複合影響の可能性
 第5章 福島原発事故での例証4:福島および関東圏からの避難者の経験した健康被害の概観   ・・ 215
  1.福島からの避難者の手記に現れた症状
  2.関東・東北からの避難者およびその周囲の人々が経験した症状
 第6章 福島原発事故での例証5:NHKが報道した日本の「生殖危機」         ・・・・・ 218
  1.NHKの番組が報道しなかった環境・放射線影響
  2.極低線量から観測されたチェルノブイリ事故後の鳥の精子数の減少と無精子雄鳥の顕著な増加

第3部 福島原発事故の放出放射能による健康被害の全否定論(「ない」論あるいは「ゼロ」論)の社会経済的
すなわち帝国主義的基礎と政治的意味、第二次大戦後のグローバルな規模での被曝過程の中で見た福島原発事故
被曝正当化論                           ・・・・・・・・・・・・・・・ 222
 第1章 UNSCEARによる第二次大戦後の人為的放射線源由来の集団線量を歴史的に集計する試みについて
                             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 222
  1.UNSCEARの発足時から規定された二面的で矛盾した本質と核帝国主義的利害の貫徹
  2.被曝被害の全体像を世界的・歴史的に総括しようとしたUNSCEARの試み
  3.ECRRによるいろいろなICRPモデル過小評価係数について
  4.福島級原発事故が6回繰り返されるようなことがあれば全核実験放出量に匹敵
 第2章 歴史的な被曝強要政策のもつ帝国主義的性格と反被曝の要求のもつ客観的な反帝国主義的性格および
 それらの展開                              ・・・・・・・・・・・ 230
  1.広島原爆や核実験による放出放射能と比較すれば、福島事故の被害が「全くない」というようなことは
  最初からありえない
  2.被曝被害を国民に強要し受忍させることを軸に展開される政府の政策――民族自滅への道
  3.事故放出放射能への被曝による「見えざる核戦争」の世界史的な性格
  4.なぜそのような恐ろしい事態が生じているのか――被曝強要の帝国主義的基礎とそこからの出口
  5.帝国主義からの反原発要求とその限界――小泉元首相の例
  6.反被曝の運動が客観的に帯びざるを得ない反帝国主義的性格

結語に代えて――アンデルセン「裸の王様」の物語の新しい意味――「学ぶ」    ・・・・・・・・・ 239

謝辞                                  ・・・・・・・・・・・・ 240

付録 財界首脳が事故により数十万人の犠牲者が出ることを認識していたという一証拠     ・・・・ 241