復興庁の「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」批判   山田耕作、渡辺悦司

2018年02月


復興庁の「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」批判
――こんな安全宣伝を政府がやって生命の危険にさらしてよいのか

山田耕作、渡辺悦司 2018年2月12日




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復興庁の「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」批判(pdf,44ページ,1466KB)


 はじめに

 復興庁「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」による「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」とそれに基づく「復興大臣からの指示事項」が、昨年末(2017年12月12日)に公表された。主な内容は、①福島原発事故の放射線量では外部被曝・内部被曝とも「健康に影響の及ぶ数値ではない」、②放射線被曝により「遺伝性影響が出ることはない」、③100〜200mSvの被曝は「野菜不足や高塩分食品摂取」程度のリスクにすぎない、④福島県内の放射線量(空間線量率)は「大幅に低下」して「全国の主要都市とほぼ同水準」であるので、福島への修学旅行・教育旅行を広く実施するよう文科省・教師・旅行業者に要請、⑤福島県産の食品は「安全性が確保」されており、学校給食で使うよう要請する方針を示唆、⑥空間線量に乗算している現行の家屋遮蔽係数0.6は「3倍過大」であり0.2に引き下げるべき、⑦「健康影響は未だ結論が出ていない」というような「曖昧な表現」は「いたずらに不安を煽る」ので「シンプルに発信する」(要するに影響は「ない」とだけたたき込む放射線教育を実施する)、等々である。
 われわれは、かねてより、福島原発事故をめぐって放射能による健康被害が「ある」か「ない」かが、政府・専門家との論争の基本的な対決点であるという点を強調してきた(『放射線被曝の争点』緑風出版[2016年])。また、時間の経過と共に放射線による広範な健康被害が表面化し、避難者や被害者の闘争が進むにつれて、ますますこの根本問題が前面に出てくるであろうと主張してきた。
 2013年9月7日の安倍首相の発言(「健康に対する問題は、今までも、現在も、これからも全くない」)から始まり、2014年12月22日の「中間取りまとめ」によって公式に政府方針として決定された福島原発事故による健康被害の全否定論あるいは被曝ゼロリスク論は、最近、一段の露骨化と暴論化を遂げている。
 昨年2017年9月1日に発表された日本学術会議の『子ども放射線被ばくの影響と今後の課題』報告書は、子どもの放射線感受性が2〜3倍高いことを認めた上で、それでもなお、子どもも含めて健康影響は一切「ない」と強弁し、さらには、年間20mSvの基準を、全国に拡大して子どもや妊婦を含めて適用しても何の問題もないという方向性を提起した。
 昨年12月12日、ここで検討する復興庁の「風評払拭」文書が出され、政府のやり方はさらに露骨になった。「確認されていない」「結論が出ていない」というような「曖昧な表現」はかえって「不安を煽る」、だからはっきりと「ない」と断言し、影響が「ある」という見解は全て「風評」であると決めつけるようにという方針が、政府文書および大臣指示として、すべての関係省庁に対して指示された。
 健康被害ゼロ論には、元々、2つの要素――①安倍首相のような確信犯的断定論と②「分からない」「確認できない」「証明できない」という不可知論――が混在していたが、今や②を排して①で徹底しようというわけである。②については、国連決議やEU条約など国際的に、「予防原則」によって「防護」の方向で対処するべきであると方向付けられているからである。
 しかも、政府は、その際、福島への修学旅行・教育旅行を全国的規模で組織することや、全国の学校給食に福島県産農林水産物・食品を広範囲に利用することなど、子どもを利用して、つまり子どもを被曝の犠牲にして、放射能「安全・安心」宣伝を行おうとしている。
 では、なぜ政府はこのような正気とも思われない主張をするのであろうか?それは単純である。政府が窮地に立たされているということである。
 まず、表向きには、東京オリンピックを前にして、日本政府には、国内的にも国際的にも、福島事故放射能の影響は何の問題も「ない」ように取り繕わなければならない事情がある。オリンピックまでに避難区域を全て解消して、復興を演出しなければならない。
 経済財政的には、健康被害が「ある」ということになると、政府と事故を起こした東電は、巨額の(100兆円ともいわれる)賠償を長期にわたって負担しなければならなくなる。
 それだけではない。仮に放射能による健康被害が「ある」ということになれば、被害の程度や範囲や規模が問題になり、チェルノブイリ事故や核実験の人的被害との比較において、それが極めて大きく数十から数百万人規模ということにならざるをえない(付論参照)。福島級事故の再発をいわば前提とした原発の大規模再稼働やましてや原発輸出などは、極めて困難か不可能に近くなるであろう。詰まるところ政府は、原発を止めないために、国民と子どもたちを被曝の犠牲に供さなければならなくなっているわけである。
 さらに、アメリカは朝鮮半島やその他の諸地域において核戦争を準備しているが、そのような計画への日本の協力にも障害となるであろう。日本の独自核武装の野望にも影響が出ることも避けられない。
 だが、最大の要因は、健康危機が現実に顕在化する中で、政府自体が陥っている深刻な動揺と考えるべきであろう。復興庁文書の一種の異常性が示すのは、政府・政府側専門家・原発推進勢力の自信ではなく危機感・焦燥感である。同文書自体が「国民一般に対して放射線に関する正しい知識」が「十分に周知されていなかった」と「反省」しているように、国民の多くは政府や専門家の唱える放射線被害ゼロ論を信じてはいない。近年になって、多くの人々が、福島だけでなく東京・関東圏から、自分や子どもや家族に現実に生じている健康被害に直面して、放射線影響を疑い、それを避けるために関西圏や中国地方・九州・北海道などに、さらには台湾やオーストラリア・ニュージーランドなど海外に、新たに避難している。放射線影響は、多くの被支配・被搾取人民だけではなく、支配し搾取しそれらの成果を日々享受し満たされた生活をしている支配階級もまた無差別に襲っている。多くの有名人たちの早死が目立っているだけではない。元の復興副大臣や環境政務官など福島事故・復興関連の政府高官の立て続けの早死は、あまりにも示唆的である。
 これらの事情から、露骨な虚偽であろうが嘘であろうが、何としても健康被害の「一切」を「ない」ことにし、影響が「ある」という見解に主要な攻撃の矛先を向け、多くの場合「確率的」に生じるであろう被害者には、放射線影響では「ない」と信じさせて静かに従容として病気と死へと導くという政府の対応が出て来ているのである。
 われわれのささやかな論考が、国民を欺し愚弄し、結果として次々と高い線量を被曝させ、人々にそれによる体調不良や病気や死を強要していくという「集団自殺的」な政府の政策方針について警告し批判し反対していく上で、一助となればと考える。


復興大臣からの指示事項(要旨)
平成29年(2017年)12月12日
復興庁

http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/fuhyou/20171212_03_daijin-siji.pdf

これまで国民一般に対して、放射線に関する正しい知識や食品中の放射性物質に関する検査結果等が必ずしも十分に周知されていなかったとの反省に立ち、「知ってもらう」、「食べてもらう」、「来てもらう」の観点から、伝えるべき対象、伝えるべき内容、発信の工夫について、具体的に示した「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を取りまとめた。(中略)
以下、主な施策について、指示する。
1.知ってもらう
(1)放射線の基本的事項や健康影響、食品及び飲料水の安全性等について、本戦略に基づいて、パンフレット、放射線副読本等の見直しを行う(中略)
(2)特に放射線教育については、副読本の作成にとどまらず、実際に児童生徒や教師、保護者等にも伝わる「仕組み」作りを併せて行うこと。
2.食べてもらう(中略)
3.来てもらう(以下省略)。


1.要旨批判
 上の指示要旨を見ると「国民一般に対して、放射線に関する正しい知識や食品中の放射性物質に関する検査結果等が必ずしも十分に周知されていなかったとの反省に立ち、知ってもらう、食べてもらう、来てもらう」ための戦略であることが分かる。つまり、放射線に関する「正しい」知識と検査結果を周知させるための戦略であるという。ところがここで根本問題は「正しい」知識と検査結果の内容である。安倍首相をはじめ政府は被曝による一切の人的被害を認めていない。人的被害が「ある」という見解は全て「風評」であるという立場である。それに対して、被害の訴えや様々な疑問や批判が現実にあるのだから、政府はそれらを「風評」とする科学的根拠を明確にする責任がある。
 しかし、この「強化戦略」は科学的判断を註に回して、恣意的な引用が多く、小児甲状腺がんの発症率や周産期死亡率の増加など明らかな事実さえ否定している。福島原発事故から7年近く経った現在、依然として事故は収束せず、放射性物質の大気と海中への放出が続いている。政府は国民を被曝の危険から守らなければならない。にもかかわらず、福島原発事故による放射線被曝の危険性を警告もせず、隠蔽し、安全を口先で説くことによって解決しようとしている。そのため、政府が先頭に立ってデマ宣伝をしていることになっている。このことによって政府は国民を被曝による健康破壊と生命の危機にさらしている。絶対に考慮すべきことは放射線に対する感受性の個人差である。人権に基づいて放射線感受性の高いすなわち放射線に弱い人々(胎児・乳幼児・子ども、若者、女性、DNA修復遺伝子変異を持つ人々など)を含めて全ての人の生命と健康を放射線被曝から守らなければならない。
 「強化戦略」のもう一つの特徴は、子どもを使った卑劣とも言わざるを得ないやり方である。①児童生徒に対する、被曝被害は一切「ない」とする放射線教育、②福島県への修学旅行の奨励、③福島県産の農水産物や食品の給食での利用などが目玉である。こうして、2017年9月の日本学術会議の子ども被ばく報告書の示す路線――子どもは放射線感受性が平均の2〜3倍は高いが、それでも年間20ミリシーベルトの基準を適用しても何の問題も被害もない――を行政的に実行に移し、児童生徒の広範囲の放射線被曝を進めていこうとしている。しかも、政府のいう被曝量は、家屋遮蔽係数の0.6が掛けられた数値なので、年間20ミリシーベルトは事実上はおよそ年間33ミリシーベルトである。国民の将来を担う子どもたちを被曝から護るのではなく、被曝しても安全というマインドコントロールを行い、「復興」という名目で被曝を推奨し、児童生徒に対する被曝行為を行政的に組織することは、この点だけから言っても、極めて危険な、いわば日本国民全体を放射線で衰微させ民族滅亡に向かって進めるに等しい自滅的な政策である。
 以上が要旨の批判であるが次に本文を検討する。

2.復興庁の「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」批判
 本文は以下にある1)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/fuhyou/20171212_01_kyoukasenryaku.pdf

はじめに

 復興庁が中心になって2017年12月12日に「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を発表した(「強化戦略」と略記)。この「強化戦略」は、科学的粉飾による嘘とごまかしと歪曲で持って、100~200ミリシーベルトの被曝の発がんリスクの増加は、野菜不足や高塩分摂取による発がんリスクの増加に相当するものとして、再度安全神話を作り上げ強制帰還政策を正当化しようとするものである。これを国内外に向けて発信し、2020年東京オリンピックは安全であるとする意図が隠されているようである。日本国民のみならず世界を騙そうとする戦略である。参考文献なども自分に都合のいいものだけを引用し、科学的根拠を示そうとしている。結論が誤っているのであるから、根拠という文献も信頼性のないものである。「強化戦略」とは、被曝の危険性の指摘を風評と決めつけ、コミュニケーションという情報操作で科学的に安全でないものを「安全」と偽るための戦略である。
 原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォースによる文書を太字として枠内に引用する。以下、本文を検討する(括弧内は「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」本文ページ)。

風評の払拭については、これまでの取組により一定の成果を上げているものの、福島県産農林水産物の全国平均価格との乖離や教育旅行をはじめとした観光業の不振など、今もなお風評被害が根強く残っている。(1ページ)

 「農林産物の価格が全国平均より低いこと」「観光の不振」を全て風評被害としているが、これらは科学的根拠のない風評の結果なのか。この文書の異様なところは科学的結論が註で述べられ、コミュニケーションの戦略技術のみを論じるところにある。本質的な問題は註にある科学的結論が信頼できないことであり、それが間違っていることである。そのため、よく知らない人には危険性の指摘が「風評」に見えるかもしれない。しかし、「風評」は、政府が現実の被害や被曝に関する科学的な結論を否定するために恣意的に用いる言葉であり、明確な根拠がない。現実に被害のリスクがあるのであるから、全てを根拠のない「風評」とするのが間違いである。それ故、原因である事実に反する結論を訂正することなしには、いくら宣伝費を使っても解決できない。さらに教育にまで広めようというのであるから、子どもたちにも誤った放射線の知識を教えることになる。そもそも根本的な科学的な問題を註で述べることも政府が科学的検討を軽視し、頭から被害がないと決めつけている結果の反映と思われる。
 例えば、日本政府は通常の食品を1kg当たり100ベクレル(100Bq/kg)の基準で安全とし、この基準が満たされていることを強調すべきであるという。しかし、この基準そのものが問題である。この基準100Bq/kgは、福島原発事故前の放射性廃棄物の処分の基準値であった。いくら非常時といっても高すぎる。この基準以下でも被曝被害の危険があるなら、価値が低下し「平均価格との乖離」があってもやむを得ない。むしろ、被曝の危険のある汚染した農産物・海産物等の食品は日本政府が買い取り、市場から排除することが必要である。政府は食品基準を定めただけでその基準以下であれば安全であることを科学的に証明していない。
 ICRP(国際放射線防護委員会)に基づく内部被曝の評価はファントムというモデルで死んだ抽象的物体として生体の被曝を計算するもので、信頼できない。最近の科学は内部被曝の危険性を明確に示しており、1Bq/kg以下の食品でも体内に放射性セシウムなどが蓄積するので危険であることを証明している2,3)。例えば、チェルノブイリ事故によって広く見られる「長寿命放射性核種取り込み症候群」は内部被曝の危険性として重要である。福島県はじめ東北・関東の汚染地にはホットスポットがあり、空中に放射性微粒子が飛散・浮遊していることが報告されている。肺から放射性微粒子を吸引したり、食品から取り込む危険性がある。それ故、汚染地への旅行・訪問をできれば避けようとするのは賢明な判断である。復興庁の「強化戦略」は科学的な根拠もなく、全てを「風評」と決めつけ、「言われのない偏見や差別」というのである。
 汚染した住宅・農地での被ばくに対する避難者や被災者の苦しみの叫びがある4,5)。また、トモダチ作戦による米兵の被曝など単なる風評とは言えない明白な事実の証言がある。
 さらに『子ども脱被ばく裁判意見陳述集I』(子ども脱被ばく裁判の会編、ママレポ出版局、2017年)にも「国や県の不作為により子供の被ばくを回避してやれなかった親たちの後悔の念と、憤り、そして、子の将来を案ずる愛情が詰まっている」。




このような科学的根拠に基づかない風評や偏見・差別は、福島県の現状についての認識が不足してきていることに加え、放射線に関する正しい知識や福島県における食品中の放射性物質に関する検査結果等が十分に周知されていないことに主たる原因があると考えられる。このことを国は真摯に反省し、関係府省庁が連携して統一的に周知する必要がある。その際、被災者とのリスクコミュニケーションに加え、この経験を活かしながら、国民一般を対象としたリスクコミュニケーションにも重点を置くこととする。(1ページ)

 「 強化戦略」は放射線被曝の危険性を全て「風評」と決めつけているが、その現状認識が科学的に間違っており、正しく被曝を評価すれば健康破壊の危険があり、現実に人々は被曝被害を訴えているのである4,5)。小児甲状腺がんの罹患率や周産期死亡率は統計的に有意で増加している6,7)。その現実を無視して風評と言い切ることはできない。これではリスクコミュニケーションはリスクではなくデマを伝えることになってしまう。真実は「放射線被曝は危険で被害が出ており、汚染地から避難する」ことが健康被害を防ぐ正しい道なのである。政府は「トモダチ作戦」による米兵の9人の死と延べ400人の被害の訴えも風評と考えるのだろうか。

 国は被災者の思いや置かれた状況を忘れず、「知ってもらい」、「食べてもらい」、「来てもらう」ことによって、国民一人ひとりにその思いを共感してもらうべく、全力を尽くすことが必要である。(1ページ)

 「強化戦略」は汚染した被曝地を「訪問する」、そこで「食べる」ことを奨励する。しかし、それが危険で無謀な行為であることは明らかである。そのことで病気や遺伝的障害が出たとき、復興庁や政府は責任が取れるだろうか。「思いを共感する」だけではなく、「避難を勧め、避難を支援する」ことで人命と健康を守ることこそ政府がなすべき緊急の課題なのである。政府の不当な指示や勧告、援助・賠償の削減という圧力・強制によって、汚染地に帰還させられたり、被災地にとどまり被曝被害を受けた人が現実に多数健康破壊を訴えている4、5)。ぜひ避難者の声を聞いていただきたい。

この際、健康影響への評価については、①放射線はその有無ではなく、量的に考える必要があること、②現在、福島県では放射線の安全性が確保されていること、③世界で最も厳しい水準の放射性物質に関する基準の設定や検査の徹底により、福島県産食品及び飲料水の安全は確保されていること等を発信し、個々人の安心感の醸成にしっかりとつなげていくことに留意する必要がある。(1ページ)

 ①の主張は、放射線に被曝しても量が少なければよい。福島では被曝量が少ないといいたいのである。物事を評価するとき「量と質」を対立させて上記①の主張がされている。正しい思考方法は質的にも量的にも安全でなければならないということである。いくら全量検査といっても設定した基準値の安全性が質・量的に示されなければ意味がない。政府は放射性微粒子を含む内部被曝の定量的な危険性を明示していない。それ故、100Bq /kgの食品基準がどんなに危険かを理解することも、説明することもできないのである。
 「世界で最も厳しい」という主張も嘘だとしか言いようがない。もちろん、食生活が異なるので摂取量を考慮しないと比較できない。だが、例えば「飲料水の安全は確保されている」というが日本の基準は10Bq/kgだが, ウクライナは2Bq/kgである。ウクライナではチェルノブイリ事故以後出生率の低下が止まらず、やっとこのレベルまで水の基準値を下げて止まった。人は2リットルの水を1日に飲むということだが水だけで日本の基準は20Bq/dayのセシウム137の摂取を容認していることになる。これは1年位の長期間ではICRPの計算でも3000Bqが蓄積し、60kgの体重の人なら、体重1kgあたりのセシウム137の蓄積量が50Bq/kgとなり、これは小児の90%に心電図の異常が出る量である。決して安全とは言えない2)。
 ②の「福島県では放射線の安全が確保されている」とはどのような根拠で何を言っているのだろうか。溶融燃料の処理もできず、絶えず放射性物質が大気中や海水中に放出されている。山林は除染されていない。汚染した土壌から放射性微粒子が舞い上がる。小児甲状腺がんは増加しているが原因と対策は明らかになったのか。疑問に答えることをせず、「放射線の安全性が確保されている」と宣言するだけでは住民が納得できないのは当然である。小児甲状腺がんの増加が放射線被曝によるものであることは、発症率に汚染度によって地域差があることからも明確である。やっと福島県県民調査検討委員会も発症率の地域差を報告した7,8)
 質的な面で重要なことは、年齢・性・遺伝子変異などにより、体質的に放射線に弱い人がいることである。復興庁文書はこの事実を全く無視している。
 子どもについては、ICRPでさえも平均の3倍の感受性があること、つまり放射線影響を3倍受けやすく、同一の被曝量でも3倍のリスクとなることを認めている。
 放射線の影響を受けやすい遺伝子変異を持つ人々についていえば、ICRP(国際放射線防護委員会)は人口の1%、ECRR(欧州放射線リスク委員会)は6%の割合と言う。それ故、弱者への配慮もなく、一律に防護基準を決め、「安全」と断定し、「風評」と決めつけることは放射線に過敏な人たちの人権を無視することになる。
 この個人間の放射性感受性の相違は、決してわずかな幅ではない。たとえば、よく使われているエリック・ホール氏らの放射線生物学教科書によれば、ATM遺伝子に変異がある人の放射線感受性は通常の場合の2〜3倍とされている9)。大阪大学医学部の本行忠志氏によれば、個人間の放射線感受性の差は極めて大きく、セシウム137の生物学的半減期で見ると、個人間の差は最大で100倍あるとされている10)

このような問題意識を踏まえ、復興大臣のリーダーシップの下、「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」が設置した「風評払拭・リスコミ強化戦略策定プロジェクトチーム」を構成する関係府省庁が、これまでのリスクコミュニケーション対策の総点検を行った上で、有識者の意見を聴取し、専門家の間で共通している最新の科学的知見等を踏まえ、「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を以下のとおりとりまとめた。(2ページ)

 「専門家の間で共通している最新の科学的知見」というが、先の「学術会議2017年9月1日報告:子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題」のような間違った報告を利用し、政府は最近の正しい科学的知見を引用していない11,12)。このように「風評払拭強化戦略」は科学的な考察を抜きにして、被害の一切を無視し、政府主導によるリスクコミュ二ケーションという名のデマ的宣伝によって福島原発事故の被害を切り捨て、事故の収束を宣言しようという戦略なのである。これは核武装のためには原発を廃棄できず、危険でも原発を維持し、再稼動をあきらめない原発政策と一体のものである。

供ザ化内容
1.知ってもらう(放射線に関する正しい知識の理解と誤解の払拭)
(2)伝えるべき内容
①放射線の基本的事項及び健康影響
(a)人の身の回りには日常的に放射線が存在し、日常生活において放射線被ばくをゼロにすることはできない。
※人工の放射線と自然の放射線とでは、人体への影響に違いはない。(3ページ)

 人工の放射線と自然の放射線では、放射線としては、違いはないかもしれないが、放射性物質が体に取り込まれたときの危険性が全く異なる。セシウム137など人工の放射性元素は体内に取り込まれると臓器に蓄積する。一方、自然の放射性元素カリウム40はカリウムチャネルを通じて全身を容易に移動し、臓器に蓄積しない。特に人工の元素セシウム137などは放射性微粒子として体内に蓄積し、偏在し、集中的に継続的に放射線を照射し、人体にとって格段に危険である。
 復興庁は1kg当たり、100ベクレルを食品の安全基準としているが臓器への蓄積、放射線に対する感受性の個人差を考慮し、さらに毎日摂取することを考えるとこの基準がとても高いことが分かる。「世界一厳しい」基準というが虚偽の主張である。すでに述べたように、ウクライナでは飲料水は1リットル当たり2ベクレル以下である。日本は10ベクレルである。ウクライナでは主食のパンはキログラム当たり20ベクレルで、日本では主食のコメは100ベクレルである。体重60kgの人が毎日1kgの食品を食べ、100ベクレルを取り込んだとしよう。ICRPの計算に従うと1年位で1万5000ベクレルが蓄積する。これは体重1kg当たり、250ベクレルとなり、バンダジェフスキー博士の研究ではセシウムを臓器に取り込み死亡したベラルーシの人の汚染レベルである2,3)。だから100Bq/kgで安全とは決して言えないのである。
 「日常生活において放射線被ばくをゼロにすることはできない」というのは被曝してもやむを得ないと住民が諦めるようにするためとしか考えられない。人道的で子どもの未来を考える正常な考えなら、日常的に被曝の危険があるのだからいっそう被曝しないよう、汚染の少ない場所や食品による生活を薦めるはずである。 住民や子供の健康を守るべき日本政府が「ゼロにはできない」ことをことさら強調して「被曝やむなし」の世論を広めることは国民の健康を損なう自殺行為ではないのか。避けられない被曝もあるからいっそう人為的事故による被曝を避けるべきなのである。

(c)放射線被ばくをした場合、子供への遺伝性影響が出ることはない。
※原爆での事例を含め多くの調査においても、放射線被ばくに起因するヒトへの遺伝性影響を示す根拠は報告されていない。(3ページ)

 ここでも放射線被ばくの「ヒト」への遺伝的影響を示す根拠はないとしている。しかし、国連科学委員会の2001年報告は、上の文章の後に結論として次のように結んでいる13)。「しかし、植物や動物での実証研究で、放射線は遺伝性影響を誘発することが明確に示されている。ヒトがこの点で例外であることはなさそうである」(『放射線の遺伝的影響』)
http://www.unscear.org/docs/publications/2001/UNSCEAR_2001_Report.pdf#search=%27UNSCARE+2001%27
 「強化戦略」は上記の「しかし(However)」以下を無視して誤解させる結論を導いている。国連科学委員会は人間だけが遺伝的影響を受けないということは非現実的であるといっているのである。
 この点でInge Schmitz-Feuerhake氏らの論文が注目される14)。彼らは低線量放射線被曝の遺伝的影響の文献をしらべた。広島・長崎の原爆被爆者を調べたABCCの遺伝的影響の調査は信頼性がないと結論している。その理由として、線量応答が線形であるという仮定の間違いや、内部被曝の取り扱いの誤りなど4点を指摘している。そしてチェルノブイリの被曝データから新しい先天性奇形に対する相対過剰リスクERRはギリシャなど積算1mSvの低被曝地においては1mSvあたり0.5で、10mSvの高い被曝地では 1mSvあたりERRが0.1に下がるという結果である。おおまかには全ての先天異常を含めて積算線量10mSvにつき相対過剰リスクが1という結論である。積算10mSvで先天異常が2倍になるというのは大変なことである14)。ちなみに、ICRPやUNSCEARなどは、この先天異常が2倍となる線量(「倍加線量」)を1Gy(ほぼ1Sv=1000mSv)としてきた。放射線が先天異常を生じさせるリスクは旧来考えられてきたよりも100倍も高い可能性が出てきたのである。このことだけから言っても、日本政府が年間20mSv地域への避難住民の帰還を進めていることがいかに危険で非人道的な行為であるかは明かである。
 復興庁文書の「放射線被ばくに起因するヒトへの遺伝性影響を示す根拠は報告されていない」というのは虚偽の主張である。前述の学術会議報告自体が、遺伝性影響が「ない」と断言したすぐ後に、それに全く反する形で「臓器の奇形発生」「生後の精神発達遅滞」「小頭症」を遺伝性影響の具体的形態として挙げている(3ページ)。
 欧米で一般的に使われている大学の教科書、リッピンコット『放射線医のための放射線生物学』(英文)を見てみよう。それによれば、広島・長崎の原爆投下の際に母胎内で被爆して出生した被爆者の調査は、小頭症と知的障害(精神発達遅滞)について、放射線影響を明確に認めている。それだけでなく、小頭症についてはしきい値がない(低線量でも発症が被曝量に比例する)可能性が高いことを指摘している(179〜182ページ)。
 同書は、医療被曝した患者の事後研究によって、上の2例に加えて、さらに二分脊椎、両側内反足(足の奇形)、頭蓋骨の形成異常、上肢(腕)奇形、水頭症、頭皮脱毛症、斜視、先天性失明など、放射線影響による多くの先天性異常が報告されていると明確に記載している。

(d)放射線による健康影響は、放射線の「有無」ではなく「量」が問題となる。
※放射線は五感で感じられないが、容易に測定することができる。(3ページ)

 内部被曝を無視しているので「容易に測定できる」と誤解しているのである。先述のように福島原発事故のヨウ素131による被曝もほとんど測定されていない。「容易に測定できる」というがα線やβ線は測定が困難でほとんど測定されていない。

(e)放射線による発がんリスクの増加は、100〜200ミリシーベルトの被ばくをした場合であっても、野菜不足や高塩分食品摂取による発がんリスクの増加に相当する程度である。(4ページ)

 国立がんセンターの報告を引用している。冒頭で質より量が大切といいながら、野菜不足や高塩分というが定量的な議論がなされていない。また、がんセンターの表はおおざっぱで、放射線による発がん率が最近の報告よりかなり低く設定されている。100から200mSvの被曝で 全がんの発症率が8%増であるという。文部科学省による日本の原子力施設の労働者20万人の調査ではがん死が平均13.3mSv の被曝で、全がんで4%増(10mSvで3%増)、肝がん13%増、肺がん8%増である。比率の低い全がん死で見ても100〜200mSvでは30%から60%増である15)。がんセンターの発がんリスクは広島・長崎の瞬間的な被曝によるというが8%の増加であり、かなり低いようである。このようなものと野菜や塩分の過不足を同等に扱うのは乱暴である。
 もし仮に内部被曝と外部被曝が同じとして、ICRPに従って、食品による内部被曝を計算して100mSvになったとして、逆にベクレルに戻してみる。口からの摂取として実効線量係数を用いて計算すると、セシウム137であれば770万ベクレルの被曝になる。後に述べるようにこれは死に至るとんでもない値である。「強化戦略」はこのような致死量と野菜不足や塩分の取り過ぎは同じリスクというのである。
 さらに野菜不足や塩分の取り過ぎは放射線被曝と合わさって複合的に、おそらくは相乗的に発がんリスクを高める。政府の「強化戦略」のように相対比較して、どちらも軽視するのではなく、複合的にがんの発生を高めることを警告し、ともに避けるべきなのである。
 さらに問題がある。この比較は、生活習慣については10年間に対するリスクであり、放射線リスクは生涯期間(成人50年、子ども70年)に対するリスクである。そのまま比較すれば、放射線リスクの大きな過小評価(5分の1以上の過小評価)となるのは、自ずと明らかである。今回の文書では、註で、リスク期間がすぐには分からない文献を挙げるという手の込んだ操作がなされている。だが、政府が関係各省庁共同で発行している『放射線リスクに関する基礎的情報』では、同じリスク比較の表(2017年版14ページ)の下に記されている注意書きに、はっきりと生活習慣の方は「10年間」に対するリスクであることが明記されている16)。重要な点であるので、下に引用しておく。



 10年間の生活習慣リスクを50年間の放射線リスクと比較しても、喫煙や大量飲酒は、放射線の致死量(1〜2Svで10%未満致死量:放医研・UNSCEAR)に達しており、大量飲酒する喫煙者なら半数致死量(3〜5Sv:ICRP)に達し、比較自体が意味をなさなくなっている。
 仮にこのようなリスク比較がありうるとしても、比較のためには、食品や喫煙・飲酒などのリスクもまた、放射線リスクと同様に50年間に換算して、5倍しなければならないはずである。そうすると、野菜不足や塩分の取り過ぎという相対的に控えめなリスクでも、野菜不足でおよそ1.3となり放射線リスクでおよそ500〜1000mSv、高塩分食で1.6〜1.8となりおよそ1〜2Svの被曝に相当することになる。つまり、10%未満致死量とされている被曝量に達し、比較自体が成り立たなくなる。
 放射線の主要なリスクをがん「だけ」だと考えて比較しているのでこのような「不条理」が生じるのである。放射線は、とくに高線量では、骨髄(造血系)損傷、胃腸管損傷、肺炎、腎臓炎、その他の多臓器の炎症を引き起こし、さらには中枢神経を含む神経系や心臓血管系を損傷して、がん発症に到る以前に、人の致死を引き起こす。数百mSv/年では数年〜10年も経てば、数十mSv/年でも数十年も経てば、積算で、このような致死量とされる被曝に相当するレベルに等しくなる。日本政府は、屋内遮蔽係数0.6を掛けた状態で20mSv/年の(すなわち事実上33mSv/yの)汚染地域に、ICRPでさえも放射線感受性が3倍高いと認める(実際には10倍以上の)子どもやさらには妊婦をも含めて長期に居住させようとする「帰還政策」を進めている。だが、事実上33mSv/年の汚染地帯では、子どもの場合、3倍の感受性を考慮に入れてリスク比較をすれば、10年住めば、10%未満致死量相当量に到達する。大人の場合でさえ、30年も住めば、10%未満致死量相当量に到達する。
 生活習慣因子の放射線リスク比較論は、他面では、高線量放射線のもつ深刻な致死リスクを隠し、人々が忘れるようにする「印象操作」というほかない。

※ヒトの集団を対象としたこれまでの種々の調査では、100ミリシーベルトを超える線量の被ばくで、がんによって死亡するリスクが上昇することがわかっている。(4ページ)

 100ミリシーベルト以下ではがん死のリスクが上昇することが示されていないかのような誤解を与える記述である。最近、J・H・Lubinほかの論文で子どもの甲状腺がんに関する解析で閾値がほぼゼロであることが示された17)
 「結論:今回の解析により、小児における低線量放射線被ばくと甲状腺がんリスクについては、閾値のない線形関係であることが最も妥当な推定であり、『可能な限り低い線量の被ばく』を追求する必要がある事が再確認された」。
 また、政府の主張する上記のような100mSvしきい値論は、信義誠実の原則に反する欺瞞である。もしこの見解が信義に基づき誠実に提起されているのであれば、復興庁は、20mSv/年の汚染地域に帰還して5年以上の長期に居住するのは、被曝により「がんによって死亡するリスクが上昇」するので「避けるように」と警告しなければならないはずである。同じように、10mSv/年の地域では10年以上の、5mSv/年の地域でも20年以上の長期居住は、被曝によるがん死リスク上昇が「ある」、だから「推奨されない」と然るべきリスクコミュニケーションを行わなければならないはずである。帰還政策は即時取りやめなければならないはずである。だが現実には政府は正反対の行動を取っている。
 復興庁文書は、政府が、福島の汚染地域に住民を帰還させる政策を、「がんによって死亡するリスクが上昇する」と「わかって」行っていること、「故意に」がん死リスクの上昇を帰還住民に押しつけていることを自己暴露しているのである。
 政府は、100mSv云々の議論で人々を煙に巻こうとしているが、被曝によるがん死リスクの上昇が「ある」ということをはっきり認識しているのである。この事実は、政府傘下の放射線医学総合研究所が発行している文書の中で、それが明記されていることからも明らかである。以下に、証拠として引用しておこう(放医研編『低線量放射線と健康影響 改訂版』162ページ)。



 ここでは、10万人が0.1Gy(すなわち100mSv)被曝した場合、どの機関の推計によっても増加すること、その推計値は白血病とそれ以外のがんの合計で426〜1460人の幅の中に入ることが確認されている。被曝した場合のリスクは決してゼロでは「ない」のである。

※日本人が自然放射線により日常的に受ける年間の被ばく線量は、平均2.1ミリシーベルトである。(4ページ)
※日本人が医療行為(レントゲンやCTスキャン等)で受ける年間の被ばく線量は、平均3.9ミリシーベルトである。(4ページ)

 CTなどによる医療被曝もできるだけ低くする必要がある。「強化戦略」は医療被曝や自然放射線を無害と考えていないのであるから、それに加えて福島原発事故による被曝量を増やさないよう、警告すべきであるにもかかわらず、全ての被曝が無視してよいかのような誤解を与える記述である。イギリスでは自然放射線による被曝で小児白血病が5mGy(=5mSv)以下の低線量まで増加していることがG. M. Kendall たちによって報告されている18)。1ミリシーベルト当たりの相対過剰リスクは12%であった。日本人の受ける自然放射線が決して安全とは言えないのである。


図 ケンダル氏らによる小児白血病の相対リスク

出典:Kendal, GM et al., A record-based case-control study of natural background radiation and the incidence of childhood leukaemia and other cancers in Great Britain during 1980-2006.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22766784

※1圓△燭100ベクレルのセシウム137を含んだ食品を食べて1ミリシーベルトの被ばくをするためには、約770圓凌品を食べなければならない(成人の場合)。(4ページ)

 この記述は内部被曝による線量当量の計算が正しくなく、著しく内部被ばくを過小評価しているので、770kgも食べなければならない計算になった。不適切な計算を根拠にしており、自らの無知を証明している。これは政府文書としてとんでもない記述である。たとえ、1日1kgの食量でも100ベクレルのセシウム137を毎日1年間とり続ければICRPによれば15000ベクレルが臓器など体内に蓄積し、体重60kgの人で体重1kg当たり、250ベクレルになる。チェルノブイリで見られた「長寿命放射性核種取り込み症候群」で死に至る量にもなる2,3)
 電離放射線によって発生する活性酸素・フリーラジカルは大変危険で内部被曝によるほとんどすべての病気をもたらすのである19)。活性酸素・フリーラジカルとそれによって生じる酸化ストレスがいかに広範囲の健康影響をもたらすかは、酸化ストレスが及ぼす医学的影響に関する専門書『酸化ストレスの医学』の目次を見ただけで明らかである。



 このような効果を考慮しないでDNAへの直接被曝のみを議論することは科学的ではない。これはチェルノブイリ事故でえられた重要な医学的結論である。つまり、1mSvの被曝のためには770kgも食べなければならないのはICRP の内部被曝の計算が科学的でないためであり、真実は100ベクレル/kgを770kgも食べると1mSvの被曝どころか死に至るのである。計算方法が悪いのに、被曝被害が少ない証明であると政府が誤解しているのである。官庁の誰も誤りに気が付かなかったのであろうか。

※現在、国際放射線防護委員会(ICRP)は、平時における公衆の追加被ばく線量を年間1ミリシーベルトを超えないことを勧告しているが、ヒトの集団を対象とした研究では、1ミリシーベルトを少しでも超える線量の被ばくが、がんのリスクを増加させるという知見はない。(4ページ)

 オーストラリアの小児がんのCTによる増加の疫学調査では1回のCTで平均4.5ミリシーベルトの被曝があり、がんが1.24倍に増加した。



 出典:John D Mathews, et. al.;Cancer risk in 680?000 people exposed to computed tomography scans in childhood or adolescence:data linkage study of 11 million Australians;BMJ 2013; 346
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f2360

 先に述べたように日本の原子力施設の労働者の被曝調査では10mSvの被曝で3%がん死が増加した15)
 知見はある。閾値がないというのが国際的にも認められているのに「強化戦略」はなぜリスクの増加の知見がないというのか。

※空間線量率から推定される被ばく線量は、住民の行動様式や家屋の遮へい率を一律に仮定(365日毎日、屋外に8時間、屋内に16時間滞在し、家屋による放射線の遮へい率を60%と仮定)していることなどの要因により、個人線量計等を用いて直接実測された個々人の被ばく線量(個人線量)の測定結果とは異なることが知られている。この仮定では、例えば空間線量率が毎時0.23マイクロシーベルトであった場合に、年間の追加被ばく線量は1ミリシーベルトに相当することになる。しかしながら、平成24年の南相馬市での調査では、個人線量計を用いた個人被ばく線量の実測値は、空間線量率から推定される計算値と比べて平均で3分の1に留まったことが報告されている。(4ページ)

 ガラスバッジを用いた個人測定は信頼できない。ガラスバッジは前面からのガンマ線のみしか計測しない。また、自然放射線の寄与などを差し引くコントロールの値が信頼できない。以上の測定の不備から空間線量より小さい値となることを否定できない20)。ガラスバッジのメーカー自身の担当者をはじめ多くの証言がある。
 宮崎・早野論文は伊達市の市民に持たせたガラスバッジで測定した外部被ばく線量と、航空機モニタリング調査で測定した空間線量は比例関係にあり、その係数は0.15倍で国が示していた0.6倍よりも住民の被曝量は4倍少ないと主張している。しかし、黒川氏は「論文中に書かれている『この研究は個人の線量は周辺の線量に0.15±0.03をかけ合わせたものであることを示す』という宮崎・早野氏の主張は明白な誤りです。私が検証したところ、70%の住民の被曝線量はこの範囲外にあります。分析が十分に行われていない論文の結論として出された0.15倍という数字が独り歩きし、大きな被曝をしている人が切り捨てられることを憂慮しています」と述べている。ガラスバッジを公衆に持たせるという無理な測定による信頼性のないものである。本来、 ガラスバッジは放射線管理区域で使用するものでバックグラウンドの値をコントロールバ ッジで測っている。しかし、伊達市の測定は根拠もなく、平均でバックグラウンドとして 年間 0.54 ミリシーベルト(mSv)をひくことになっており、被曝ゼロの人が多く出ている 地域もあり、バックグラウンドの引きすぎを強く示唆する。また、宮崎・早野論文は個人個人のガラスバッジの示す線量とその居住地域の空間線量との比を住民について平均している。数学では重みを無視して比率を平均することは基本的な誤りであり、平均値0.15は意味がない量である。引用のブログを参照のこと20)。家屋による遮蔽について言えば、実際には木造家屋では放射線の遮蔽効果はほとんどない。事故前は遮蔽率はせいぜい1割程度と考えられていた。コンクリートの建物でさえも、時間経過と共に、放射性微粒子の壁面・床面・天井などへの付着により汚染されて、空間線量とそれほど変わらなくなるか、かえって高くなる場合さえもある。
 事故後、政府は突然、家屋による6割の遮蔽率(屋内では屋外の4割となる)、8時間の戸外活動と16時間の屋内生活で、合計の屋内遮蔽係数を空間線量×0.6と規定した。復興庁文書のような空間線量に0.6を掛けるという係数操作は、個人の被曝量を人為的に低く操作するというもの以外の何物でもない。復興庁は、このすでに人為的に引き下げた数値でさえ、被曝線量の実測値が「3分の1に留まった」とする。現行の数値が「3倍の過大評価」であるという復興庁の主張は、すなわちこの係数0.6を今後さらに0.2に引き下げるという措置を示唆するものである。
 現行の帰還居住基準20mSv/年(事実上は33mSv/年)は、事実上100mSv/年(実際には133mSv/年)にまで引き上げられることになる。その場合に、どのような事態が予想されるかは後に検討する。

※1ミリシーベルトの外部被ばくと、1ミリシーベルトの内部被ばくは、健康への影響の大きさは同等とみなせる。(4ページ)

 ICRPに基づく「内部被曝の1ミリシーベルト」という評価が不正確なのである。内部被曝の評価においてベクレルから実効線量係数を用いて求めた1ミリシーベルトが過小な値になっている。体内の放射線の被曝被害は体内の臓器や諸器官の構造や機能によるのであり、簡単に外部被曝と同等として評価できない。内部被曝の被害は単純に外部被曝線量に換算して議論することができない多様な健康破壊の効果がある。外部被曝と内部被曝を同等とするところに食品基準など全ての誤りが生じているのである。放射線は体内の放射性原子や微粒子から放射され、活性酸素やフリーラジカルを発生する。この活性酸素やフリーラジカルが様々な病気を引き起こす。それゆえ、単純に外部被曝とみなし遺伝子DNAの損傷のみの被害とみなすことは大きな間違いである。ヤブロコフ氏達の報告では1人の甲状腺がんが見つかると約1000件の甲状腺疾患が見つかるという19)
 外部被曝と内部被ばくとの比較では、放射性物質たとえば放射性セシウムが、不溶性の放射性微粒子(福島事故では炉心のメルトダウンと爆発により大量に生じた)として体内に侵入してきた場合、危険性は外部被曝に比して極めて高いと考えなければならない。福島原発事故による放出放射能では、セシウム137の約半分はこのような不溶性の微粒子、残り半分は可溶性あるいはイオンと考えられる23)
 このような不溶性微粒子は、周辺の細胞に放射線を長期にわたり集中的に照射するので、被曝量は桁違いに大きくなる。しかも排出されにくく、生物学的半減期に従って減少することはなく、長期にわたり体内に留まる。欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、このような不溶性微粒子による内部被曝の危険性(生物物理学的損害係数)を、外部被曝およびカリウム40による内部被曝の20〜1000倍と評価している(ECRR2010勧告日本語版95ページ)。さらにECRRは、セシウム137が2段階壊変しベータ線とガンマ線を照射するので、危険度をさらに20〜50倍と評価している。つまり、危険度は400〜5万倍と考えるべきだとしている。


出典:ECRR2010勧告日本語版95ページ


 セシウム137は、可溶性微粒子あるいは直接イオンとして体内に侵入し、体液に溶解した場合でも、カリウムよりイオン径が少し大きく、カリウム・チャンネルを通過するが、その通過速度が極めて遅く、それによって濃縮され、心臓や腎臓その他の特定の臓器に蓄積され、集中的に細胞を被曝させる。
 さらに、セシウム137は、放射線を出してバリウムに変わるが、バリウムには細胞のカリウム・チャンネルの機能を阻害する働きがあり、毒性がある。とくに、カリウム・チャンネルが重要な役割を果たしている心臓や神経系などの情報伝達に、機能障害を生じさせる可能性がある。
 これらから明らかなように「1mSvの外部被ばくと、1mSvの内部被ばくは、健康への影響の大きさは同等とみなせる」というのは虚偽の見解であり、実際には1mSvの内部被曝は、セシウム137が不溶性粒子形態を取っているような場合、400mSvから50Svに相当する可能性があるのである。

)福島県は、内部被ばく検査を行った結果、健康に影響が及ぶ数値ではないと評価している。
※福島県が平成23年6月から平成29年9月までに実施したホールボディ・カウンタ(WBC)を用いた内部被ばく検査での預託実効線量は、99.99%が1ミリシーベルト未満と推計している。(5ページ)

 ホールボディカウンターの測定は引用文献によると2011年6月27日から2017年9月30日までであり、ヨウ素131の半減期が約8日だということを考えると6月末の測定ではヨウ素131は減衰しており、意味がない。WBCの検出下限が300ベクレルであり、測定値も信頼できない。内部被曝の解析の方法も信頼性がない。その例を示そう。実効線量係数(mSv/Bq)を用いると1ミリシーベルトはCs134で5万2000ベクレル、Cs137で7万7000ベクレルとなる。福島県の文書も、WBCの測定値について、Cs134とCs137の合計で5万1000ベクレルを1mSvと換算している21)
 ベクレルで見るとこんな高い値まで1mSv未満であるのは当然であり、被曝量が少ないように言うのは誤魔化しである。それでも1mSvを超えた人がいる。ベラルーシで死亡した人のセシウム137の蓄積量は臓器1kg当たり200〜1200ベクレルであった2)。体重60kgとして計算すると全身で1万2000から7万2000ベクレルほどである。つまりWBCで1mSvというレベルは致死量相当なのである。
 これまで政府は学術会議の2017年9月1日の「報告」と同様UNSCEARの報告を根拠にしてきたが、この測定も大部分(1080/1088)がホールボディカウンターを用いたものでなく、空間線量測定用の簡易サーベイメーターを用いた不正確なものであった。チェルノブイリの方がヴァシリー・B・ネステレンコ氏達による精密なWBCを用いて測定している。
 ユーリー・バンダジェフスキー氏のラットを使った実験では、1kgあたり991Bq程度のセシウム137の濃度を与えると、多臓器不全により40%が死んでしまったことが報告されている22)。半数致死量の比(ラット6.75Gy/ヒト4Gy)から人間のリスクに換算してみると、およそ590Bq/kg程度である。人間の標準体重60kgで3万5000Bq程度である。したがって、この実験結果からも、政府・福島県の言う「内部被曝1mSv」は、人間の場合、半数致死量となる可能性がある。すなわち、復興庁文書が引用している福島県のWBCのデータそのものが、復興庁文書の評価とは正反対に、恐るべき致死的な被曝事実を示しているといわなければならない。

)事故当時胎児であった子供において、先天異常の発生率の上昇は認められていない。
)原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、
・事故による被ばくによる死亡や身体的機能への重大な影響等(急性放射線症候群、脱毛等)は確認されていない、
・今後、がんの発生率に識別できるような変化はなく、被ばくによるがんが増加することも予想されない(5ページ)

 統計的に信頼性の高い周産期死亡率や自然死産率のデータを無視して不十分な調査で、人的被害がないとしている。その点で、周産期死産率の増加は統計的に有意を持って証明されている。周産期死亡(妊娠22週から生後1週までの死亡)率が、放射線被曝量が高い福島とその近隣5県(岩手・宮城・茨城・栃木・群馬)で2011年3月の事故から10か月後より、急に15.6%(3年間で165人)も増加し、被曝が中間的な高さの千葉・東京・埼玉でも6.8%(153人)増加、これらの地域を除く全国では増加していなかった6)
 福島原発事故後10か月後に急増した周産期死亡率の増加は事故による母親の卵胞・卵子の被曝による結果が考えられ、胎児の発育にとって重大な危険があったことを示している。この周産期死亡率の増加は東北、関東に被曝被害が広まっていることを示すものである。




・福島県でチェルノブイリ原発事故の時のように放射線による多数の甲状腺がんの発生を考える必要はない、と結論付けている。
※福島県以外の3県(青森県、山梨県、長崎県)における甲状腺結節性疾患有所見率等調査(平成24年度環境省実施)と、福島県による甲状腺検査は、ほぼ同様の結果と評価されている。(5ページ)

 3県で4365人を調査して1人が甲状腺がんであった。詳細は公表されていない。確かに同様の発見率であるが一人では統計的に信頼性がない。一方、ベラルーシではチェルノブイリ事故16年後の2002年にゴメリでは14歳以下の約2.5万人を調査しても甲状腺がんはゼロであった。他の地域を合わせ約7万人の調査で甲状腺がんは1人であった。このことは、事故後、ヨウ素131を吸引しなかった世代には甲状腺がんは極めてまれでスクリーニング効果は小さいことを示している。福島県県民健康検討委員会はやっと本格検査の地域差を認め報告した8)
 2017年宗川吉汪氏は平均発症期間の精密な分析を行い、「3地域の罹患率の比較」を行った。「この本格検査における3地域の罹患率の急激な上昇は、甲状腺がんの発症に原発事故が影響していることを明瞭に示して」いると結論している。特に本格検査を見ると汚染の高い地域において罹患率も高くなっている。

表1 3地域の罹患率 10万人・年当たり ( )内は95%信頼区間の下限値と上限値


表2 3地域の罹患率の比較( )内は95%信頼区間の下限値と上限値

 最近、県民健康調査検討委員会も小児甲状腺がんの罹患率の地域差を報告した。表3上段が発見率、下段が比率である。この違いは汚染度の違いに対応している。

表3 悪性ないし悪性疑い発見率:10万人年対及びその比 福島県立医大による

地域分割は表1とは異なる。

 これと同様であるが汚染度の代わりに原発からの距離と罹患率の関係が山本英彦医師らによって導かれた。原発に近い地点ほど罹患率が高いことが分かる。これも原発が原因であることを示すものである。




※東日本大震災における震災関連死のうち、福島県における避難所等への移動やそこでの生活に係る肉体・精神的疲労が原因と考えられる死者数は約4割となっており、事故に伴う避難等による影響が大きいと考えられる。(5ページ)

 このことは原発事故の際の社会的弱者の緊急避難の困難さを示すものである。原発は再稼動してはならないし、新たに作ってはならない。また、この震災関連死の中に放射線被曝による影響が含まれている可能性について、当然考えられるにもかかわらず、全く考察されていない。「肉体・精神的疲労が原因」とされる4割以外の6割の死者について、原因を明確にし、公開して分析する必要がある。

(g)事故とチェルノブイリ原子力発電所事故とは異なる。
)チェルノブイリに比べ放出された放射性物質の量は7分の1である。(5ページ)

 復興庁文書は、明らかに、福島原発事故による放射能放出の「総量」に関して論じていると思われる。放射能放出総量については、基本的に政府側に立っていると考えられる中島映至ほか編『原発事故環境汚染―福島原発事故の地球科学的側面』東京大学出版会(2014年)が、チェルノブイリと福島についてほとんど変わらないというデータを引用していることをまず指摘しておきたい(チェルノブイリ1万3200ペタベクレル、福島1万1300ペタベクレル[ペタベクレルPBqは10の15乗ベクレル]、表1.3、29ページ)
 放出量に関しては国際的に信頼性の高いノルウエー気象研究所のストール氏らは福島原発事故によるセシウム137の大気中放出量は20.1〜53.1PBq(中央値として約37PBq)としている。一方、日本政府のセシウム137放出量は15PBqと小さい。
 ヨウ素131の放出量はセシウム137の50倍(東京電力の値)を採用するとチェルノブイリでヨウ素131は日本政府で750PBq、ストール氏で1850PBqとなる。これはチェルノブイリのヨウ素放出量1800PBqにほぼ等しい。あるいはストールの上限をとって(チェルノブイリの値が上限をとっているから)2655PBqとすると、福島のヨウ素131の放出量がチェルノブイリの1.5倍と推計できる。それ故、INES(国際原子力事象評価尺度)で計算しても大気中放出量でほぼ同等であり、チェルノブイリではなかったとされる海中への直接放出量と汚染水中への放出量を加えると福島原発事故の放射能放出量はチェルノブイリの約4倍と考えるべきである。「強化戦略」の1/7は明確な過小評価と考えられる。
 たとえもしこの復興庁文書の通りの比率と仮定しても、政府は、チェルノブイリの7分の1の健康被害が出ることは当然予測されると認めなければならないことになる。学術会議報告書は、チェルノブイリでの子どもの甲状腺がんの発症による手術数を6000人、うち死亡数を15と明記している。それなら、福島や周辺諸県でも、大まかに言って、その7分の1の860人の手術を要する甲状腺がん患者、うち2人程度の死者が、十分に予測されると言わなければならない。
 現実に子どもの甲状腺がんなど被害が出ている7)。米軍兵士の「トモダチ作戦」による死者は9人になり、400人が被曝の被害を訴えている。「風評」という説明は根拠がない。
 福島事故の間に放出された放射能の量については、広島原爆との比較で考えれば、被害が「ない」あるいは被害は「風評」であるという主張がまったくの嘘でありデマであることは明らかである。よく知られている通り、事故による放射能放出量と人間への長期的な健康影響の程度を評価するのに用いられる基準の1つは、環境中に放出されたセシウム137(Cs137、半減期30年)の放射能量である。
 日本政府は、福島事故で、広島原爆のおよそ168発分のCs137が放出されたことを認めている(原子力安全・保安院の2011年8月26日の発表)。もちろんこれは過小評価で、実際には400〜600発分だがこの点は今は置いておこう。事故で放出されたCs137のおよそ20%、すなわち広島原爆34発分が、日本の国土に降下・沈着した。そのうち、除染作業により回収できたのは、政府発表データで計算すると、広島原爆のおよそ5発分である。除染作業の結果、大きなフレコンバッグの山のような堆積物が福島県中のほとんどの地区に残されて、あたかも福島の「典型的な風景」のようになっている。言い換えれば、広島原爆およそ30発分に相当するCs137は、まだ福島と周辺諸県に、さらには日本全国に、拡散して残っていることを意味する。
 広島原爆30発分の「死の灰」が何の健康被害も及ぼさ「ない」という政府見解は、広島・長崎の被爆者の健康調査からだけ見てもありえない。そのような見解は、広島・長崎の原爆被爆者の悲劇を、被爆者調査の結果を全否定するものであり、被爆者とその悲劇を愚弄するものであるというほかない。さらには、政府の主張では、北朝鮮が日本近海で広島原爆168発分の核実験を実施しても「何の健康被害も生じない」ということになる。さらには、アメリカが第二次朝鮮戦争を引き起こし、そこで核爆弾か多数使用され、そのうち放射性セシウム137換算でおよそ30発分程度の「死の灰」が日本に降下しても「何の健康被害も生じない」ということになる。露骨な核実験・核戦争容認論に等しい。
 復興庁・政府は、住民の被曝を正当化しているだけではない。現在、この回収された広島原爆5発分について、日本中の公共事業で8,000Bq/kg未満の除染残土を再利用する計画を立てている。これは、自国民を滅ぼすような自滅的計画であるというほかない。それは、現在、「風評損害を避ける」という口実の下で、再利用される場所などを住民に知らせることなく、なし崩しに始まっている。このプロジェクトは、およそセシウム137換算で広島原爆5発分の「死の灰」に相当する放射性物質を、日本全国に拡散することに等しい。日本政府は、危険な核物質を住民に対してバラ撒くという文字通りの核テロリストとして行動していると言われても仕方ない。

)避難指示や出荷制限など事故後の速やかな対応によって、放射性物質が住民の体内に取り込まれた量は非常に少ない。(5ページ)

 福島原発事故では極めて大量の放射性微粒子が放出されており、呼吸や飲食によって体内に取り込まれる可能性が高い。現実に小児甲状腺がん、周産期死亡率の増加や心筋梗塞による死亡者の増加は内部被曝の寄与が大きいこと、つまり、放射性物質が体内に取り込まれたことを示している。「放射性物質が住民の体内に取り込まれた量は非常に少ない」とする政府の推測は誤りである。実際の病気の増加がこの記述を否定している。また、放射性微粒子はたとえ少量でも集中的局所的継続的被曝となるので被害を放射性物質の量のみで考えてはならない。

(h)福島県内の空間線量率は事故後6年で大幅に低下しており、全国や海外主要都市とほぼ同水準となっている。(5ページ)

 これは、政府・行政側の測定値(過小評価が疑われる)に基づいたとしても、はっきり嘘あるいはデマである。例えば、県庁所在地である福島市の数値(福島県『ふくしま復興の歩み』最新版では0.15?Sv/h程度)で見ても、他県や世界の主要都市と比較して明らかに高いことは誰が見ても分かる。これを「全国の主要都市とほぼ同水準」だと強弁して権力主義的に「放射線教育」し「リスクコミュニケーション」して、国民とくに児童生徒をマインドコントロールするというのが今回の文書の主眼である。
 しかも、各都市ごとに自然放射能によるバックグラウンドの線量には本来的な相違があり、比較は福島原発事故前の平均空間線量(福島県は0.038?Sv/h)との間で行なうべきである。事故前のレベルを基準としなければ比較は無意味である。
 事故以前の放射線量と事故後の放射線量を比較してみよう。文部科学省は、福島原発事故以前の全国の空間線量(地上1メートル)の数値を、ホームページから注意深く削除しているが、それは以下のサイトで見ることができる。
http://www.las.u-toyama.ac.jp/physics/gendai/t.pdf)。
 それを現在の数値と比較すれば、全国の主要都市について以下の通りである。あわせて集団線量も計算しておこう。


事故前・事故後の空間線量の上昇      単位:μSv/h(地上1メートル)/人・Sv

事故前は1990年〜1998年の平均値、現線量は2016年3月1日時点の数値(日本経済新聞2016年3月2日より)。ただ、大阪、愛知、福岡などとの比較で明らかなように、関東の数字には明かな過小評価があると思われる。家屋による遮蔽係数は使っていない。各都道府県の人口は2015年の国勢調査による数字。

 だがこのような方法で比較可能なデータも2016年度までである。政府は、空間線量の発表値自体を露骨に操作する方策を取り始めていることが疑われるからである。東京の線量の2017年間の大幅な低下を見ていただきたい。これは他の諸都市と比較して異常に大きく明らかに不自然である。これにより、東京の空間線量の数値は、他の諸都市がすべて事故前よりも高いにもかかわらず、事故前の水準に戻ってしまっている。


数値の操作が疑われる東京の空間線量の急速な減衰   単位:μSv/h(地上1メートル)

出典:原子力規制委員会「放射線モニタリング情報」


 もう1点付け加えると、空間線量の低下は、現時点での被曝の主要な危険の一つである、再飛散し空中を浮遊している放射性微粒子の危険を十分には表していない。復興庁文書は、内部被曝を食品についてだけ取り扱い、微粒子とくに不溶性微粒子が呼吸の際、吸入によって侵入し沈着することによる内部被曝の危険性を無視している。
 市民が運営する放射能測定所による多くの計測結果はこの危険を証明している。たとえば、いわき市(福島県)において2015年10月〜12月に電気掃除機の使用済み紙パックの放射線量の測定で、4,800〜5万3,900Bq/kgの放射性セシウムが観測されている。最大で5万4,000Bq/kgが吸引される室内を、行政の権力をバックに「放射線の安全性が確保されている」と断定することは、デマゴギー以外の何物でもない。下記のウェブサイトを参照のこと。
http://www.iwakisokuteishitu.com/pdf/tsushin011.pdf
 チェルノブイリでは 1ミリシーベルト以上は避難の権利があり、5ミリシーベルト以上の地点は移住義務地域であり住むことができない。日本では20ミリ以下の地域にも帰還を認めている。これでは世界と同水準とは言えない。しかも、チェルノブイリでは内部被曝の寄与を外部被曝の2/3としてそれを加えて避難・移住の基準としている。日本の基準で言えばチェルノブイリの5ミリシーベルトは日本では3ミリシーベルトの外部被曝に相当する。この地域での居住を禁止しているのである。日本ではその6倍以上の汚染地にまで帰還させている。

※東京電力福島第一原子力発電所から半径80匏内の航空機モニタリングによる地表面から1mの高さの空間線量率は、約71%の減少となっている(平成23年11月と平成28年10月で比較)。(5ページ)

 政府・文科省のモニタリングポストの値は実際の周辺の線量の5から6割しか表示せず、過小な値を表示していることが示されている24)(矢ケ崎克馬『日本の科学者』2018年2月号)。



 アニー・ガンダーセン氏も同様の指摘をしている。

※日々の生活の場における面的除染はほぼ完了(平成29年3月末時点)。また、除染が実施された地域では、空間線量率が大幅に低減している。(5ページ)

 まわりの山林の除染がなされていないので風雨で除染した土地も汚染される。
 復興庁文書は空間線量が経過したことを強調しているが、いったん被曝した線量はいわゆる「レガシー」として、細胞炎症や長寿命有機ラジカルなどのいろいろな形態で、数年から10年、数十年という極めて長期間、結局のところ一生涯、住民の健康リスクとして体内に留まり続けることも指摘しておかなければならない。

※世界では、自然放射線による被ばく線量が年間5ミリシーベルトを超える地域に1000万人以上が居住している。(6ページ)

 このことは安全性を証明しない。復興庁は5ミリシーベルトを超える放射性管理区域相当の汚染地に住んでも被曝影響はないといいたいのかも知れないが自然放射線によって被害が生じている。15)。 5.2ミリシーベルトの被曝労働で発生した白血病が労働災害として認められている。
 ECRRは、世界の自然バックグラウンド放射線の高い諸地域において、がんや染色体欠損の割合が明らかに高くなっているというデータを引用している(2010年報告180ページ)。


出典:ECRR2010勧告日本語版180ページ

 自然放射線の高さが健康に影響を及ぼさないという見解は、根本的な間違いであるといわざるをえない。

②食品及び飲料水の安全を守る仕組みと放射性物質の基準
(a)福島県産の食品及び飲料水は、放射性物質に関する検査の徹底により、安全が確保されている。
(b)日本の食品及び飲料水の放射性物質の基準は、世界で最も厳しい水準となっている。
※安全側の仮定に立って、一般食品では100ベクレル/kg、飲料水では10ベクレル/kgなどの非常に厳しい基準を設定している。
(c)福島県において、現在、基準値を超える食品及び飲料水はほとんどない。特に、福島県産米については、平成27年産米以降、基準値を超過したものはなく、畜産物は平成24年12月以降、海産魚介類は平成27年4月以降、基準値以内である。なお、検査により基準値超過が確認された場合は、市場に流通しないよう必要な措置がとられている。
※福島県内で生産管理された農林水産物においては、平成27、28年度で基準値を超過するものはなかった(検査年度ではなく生産年度の場合)。
※野生のきのこ・山菜類、野生鳥獣肉、河川・湖沼の魚類では基準値を超過したものも見られるが、検査により基準値超過が確認された場合は、市場に流通しないよう必要な措置がとられている。
※飲料水については、平成24年4月以降、基準値を超過したものはない。(6ページ)

 以上のように「強化戦略」は基準値を満たしていることを強調するが、肝心の基準値の高さを議論していない。日本の食品基準が高すぎ、摂取者の健康を守る値ではないことが問題である2,3)。内部被曝の危険性や放射性微粒子の危険性を考慮すると1Bq/kgの食品でも安全でない。基準値100Bq/kgが内部被曝を正しく評価すると、高すぎるのでいくら基準値以下を確認しても安全とはいえない。しかも高い基準でさえ超過することがあり、土地が汚染していることを示している。超過した食品が混ぜて基準以下にされる危険性もある。汚染食品は政府が買いとり、完全に市場から排除する必要がある。

④東京電力福島第一原子力発電所等に関する情報
東京電力福島第一原子力発電所の現状について正確な情報が伝わっていないことによって、福島県の現状等に対する不安が拭えない場合もある。そのため、廃炉・汚染水対策については、世界の叡智・技術を結集しつつ、国が前面に立って安全かつ着実に進めていることについて、関係府省庁における発信媒体の性質などを踏まえ、必要に応じて簡潔に分かりやすい情報発信を行う。(6ページ)

 廃炉・汚染水対策については、世界の叡智・技術を結集しつつ、国が前面に立って安全かつ着実に進めている」ということであるが 凍土壁によって地下水の流入を制御できずいっそう見通しが暗くなった。この失敗を見ても着実に廃炉・汚染水対策が進んでいるとは言えない。また、トリチウムを含む汚染水の海洋への投棄が原子力規制委員会で検討されている。トリチウムの投棄は大変危険である。
(3)発信の工夫
放射線に関する正しい知識をより広い視野から理解できるよう、客観的な情報の発信を行う。
(a)データの全国・国際比較等により、福島県の状況を相対的に理解できる情報を発信する。
(b)化学物質など放射線以外のリスクを示しつつ、放射線リスクを相対化して発信する。
※例えば、能動喫煙・受動喫煙や大量飲酒等の発がんリスクについても発信する。(7ページ)

 復興庁の「強化戦略」の根本的な誤りは総合的に被曝被害を取り上げず、個別に考えることである。相対化のみに重点を置いているが色々な危険性の相乗効果についてもその危険性を考慮すべきである。放射線のリスクを化学物質などの放射線以外のリスクと相対比較して小さく見せようとするのは政府のするべきことではない。すべてが危険であり、さらに複合的に、相加的・相乗的に作用することを考えてこそ科学的である。真実を国家の手でゆがめてはならない。たばこ個々の被害でなく、喫煙が放射線による肺がんの危険性を相乗的に高めるのである。野菜不足で被曝すると活性酸素の害をビタミンなどで抑制できず、がんの増加をもたらす。野菜不足が独立にがんを発生するのではない。すべてを総合的に考慮せず、放射線を野菜不足と同程度の発がん効果のないものとして記述するのは欺瞞である。我々は放射線の被曝を避け、野菜を十分取り、健康を維持すべきなのである。
 「強化戦略」では野菜不足程度の少ない発がんリスクであるから、汚染地に帰還してもよいような記述を意図的に広めている。能動喫煙・受動喫煙や大量飲酒等の発がんリスクについても発信し、相対化し、被曝を容認するよう宣伝するのである。しかし、少し考えれば分かるように、野菜不足や飲酒・喫煙などは個人の意思で多くをコントロールすることができる。だが、生活環境中の放射能汚染は、個人の意思には依存しない。個人の意思でコントロールできる部分は極めてわずかである。国民の健康を守るのではなく破壊する「強化戦略」である。

(c)福島県における低線量被ばくに相当する放射線量を視覚的、感覚的にスケール感が分かりやすい形で発信する。その際、発がんリスクの増加、医療被ばく、自然放射線等に相当するそれぞれの放射線量と比較して説明する。
※福島県内ではマイクロシーベルトを単位とした1時間当たりの空間線量率に関する情報発信が多いことに留意し、福島県における情報発信の際にはマイクロシーベルトを併記する等の工夫を行う。(7ページ)

 このような説明の技術より、真実を述べるべきである。政府のモニタリングポストの値は50から60%に過小な値になることが実測で示されている24)

(c)未だ解明されていない点については、必要十分な表現を心掛ける。(例えば、年間100ミリシーベルト以下の被ばくは、他の要因による発現の影響によって隠れてしまうほど発がんリスクが小さいにもかかわらず、単に「健康影響は未だ結論が出ていない。」とだけ記載すると、かえって不安を煽ることになりかねない。)(7ページ)

 100ミリシーベルト以下の被曝は安全であるということはなく誤りであることは科学的に明確である。これはICRPを含めて国際的に認められている。「健康影響は未だ結論が出ていない」は復興庁による虚偽の報告である。医療被曝や原発労働者被曝、広島・長崎の被曝でも数ミリシーベルトの低線量被曝まで証明されている。チェルノブイリの子どもの甲状腺がんも甲状腺の被曝量は50%以上が100ミリシーベルト以下であった。

 ②食品及び飲料水の安全を守る仕組みと放射性物質の基準
 (a)福島県産の食品及び飲料水は、放射性物質に関する検査の徹底により、安全が確保されている。
 (b)日本の食品及び飲料水の放射性物質の基準は、世界で最も厳しい水準となっている。
 ※安全側の仮定に立って、一般食品では100ベクレル/kg、飲料水では10ベクレル/kgなどの非常に厳しい基準を設定している。(13ページ)

 ウクライナでは飲料水の基準が現在2ベクレル/kgであり日本より厳しい。

(c)福島県において、現在、基準値を超える食品及び飲料水はほとんどない。特に、福島県産米については、平成27年産米以降、基準値を超過したものはなく、畜産物は平成24年12月以降、海産魚介類は平成27年4月以降、基準値以内である。なお、検査により基準値超過が確認された場合は、市場に流通しないよう必要な措置がとられている。(13ページ)

 基準値100Bq/kg自体の安全性が検討されていない。土地の汚染度から言えばチェルノブイリでは年間5ミリシーベルト以上の地域は移住義務の土地であり、住めない。日本では年間20ミリシーベルト以下の汚染地に居住し、農林作業で被曝することも容認している。

※福島県内で生産管理された農林水産物においては、平成27、28年度で基準値を超過するものはなかった(検査年度ではなく生産年度の場合)。
※野生のきのこ・山菜類、野生鳥獣肉、河川・湖沼の魚類では基準値を超過したものも見られるが、検査により基準値超過が確認された場合は、市場に流通しないよう必要な措置がとられている。(13ページ)

 山林の除染はほとんどなされていない。市場に流通しないようにしても生産者やその周辺で消費する可能性がある。生産者が汚染食品を積極的に拠出するよう政府が買い取るべきである。
 基準値自体の問題もあるが、脱落した使用済み核燃料に触れた汚染水が海に流れていることなどを考慮すれば、水産物はセシウムのみでなく、ストロンチウム、ウラン、プルトニウム、放射性の銀、鉛など様々な核種による汚染の可能性があるが、全く調べられていない。また、未だに大気中に放出され続けているトリチウムについては、農林水産物の中で有機結合型トリチウムとして存在している可能性があるが、全く調べられていない。

(f)平均的な食生活で、食品中の放射性セシウムから人が1年間に受ける放射線量は最大でも1ミリシーベルトの0.14%であった(平成28年9〜10月調査)。
※毎年2回、マーケットバスケット調査を実施して確認している。(14ページ)

 これらの食品によるICRPに基づく内部被曝の計算は信頼性がない。放射性物質の臓器への蓄積や活性酸素等による健康破壊が考慮されていない。それ故、内部被曝が著しく過小に評価されている19)
 しかも、この厚生労働省の調査は、福島県産の食品の安全性に関連して、あたかも福島県産の食品についての調査であるかに引用されている。だが、厚労省のホームページにあるように、これは「全国15地域で、実際に流通する食品を購入し、食品中の放射性セシウムから受ける年間放射線量を推定した」ものであって、決して福島県産の農産物や食品に関する調査ではない。まったく、詐欺的な引用の仕方であるといわざるをえない。

(g)日本では、事故の発生国であることを踏まえて、海外の基準値よりも条件設定を厳しく行っていた。
※規制値相当の放射性物質を含む食品の割合(占有率)はコーデックス委員会が10%に対して日本が50%と厳しく仮定している。
※日本は、食料自給率が40%(カロリーベース)であることを踏まえて国産率を50%、また国産品は100%が汚染されていると仮定して、基準値を算出している。(14ページ)

 個人によっては自給の人もあり、国産率50%以上に汚染した食料を食べる人もあると思われる。

③生産段階での管理体制
 (a)生産現場では、農畜産物の安全を確保するため、放射性物質の吸収抑制対策等の取組を行っている。
 ※カリウムの追加的な施肥による水稲等への吸収抑制対策、樹体洗浄や粗皮削りによる放射性セシウムの低減対策等。(14ページ)

 しかし汚染した農地での農業従業者の被曝が避けられない。
 過剰なカリウム摂取も健康上問題である。これについて多少説明しておこう。
 セシウムとカリウムの化学的特性は似ているので、カリウム肥料の使用量を増やせば、それに応じて植物が放射性セシウムを吸収するのを抑えることができ、農産物中のセシウム濃度を減らすことができる。こうして、カリウム肥料の通常を超える多用によって、耕作地の汚染度をあまり下げることがなくても、農産物の放射能汚染度を100Bq/kgという政府の基準値未満に引き下げることが可能である。
 しかし、この方法では必然的に次のような事態が生じる。
 ①土壌セシウムの植物への移行を完全に防止することはできず、部分的に妨げることができるだけである。
 ②農産物中のカリウム濃度を上昇させ、人間がそれを摂取すると、体内のカリウム濃度の維持とホメオタシス(恒常性)に貢献している腎臓や心臓や神経系のような一連の臓器の負担を高める。すなわち、高カリウムという新たな健康リスクを引き起こす可能性がある。
 ③体内のカリウム濃度が高くなれば、放射性のK40の濃度も比例して高まる。つまり、放射性セシウムの危険性は減少するかも知れないが、K40による内部被曝の危険性は、リスクの相違はあるが(セシウムより小さいが)、その結果として増加する。
 復興庁文書は、このような新たなリスクを無視している。

(b)福島県では、農業者及び農業者団体による第三者認証GAP取得に向けた取組を行っている。
※GAP(農業生産工程管理)等の認証を取得することにより、安全な農産物を求める消費者、流通業者に対し、農産物の安全確保の取組を客観的に示すことが可能となる。
④福島県における地産地消率の回復
福島県の学校給食における地場産物利用割合は、東日本大震災前(平成22年度)の9割程度まで回復している(平成28年度)。
※学校給食における地場産物利用割合は福島県では32.3%となり、全国平均の25.8%を大きく上回っている。(14ページ)

 以上の様々な処置も基準自体が2ケタ以上緩すぎるのでいくら基準値以下を確認しても安全性が確保できない。特に放射性微粒子の寄与を考えると今の基準を2ケタ以上厳しくする必要がある。それ故、厳密な線量管理のもとでさえ、地場産物の利用割合の増加は放射性微粒子も考慮して危険な方針であることが分かる。
 最後にWBCよりも精度がよい尿の測定結果を参照しよう25)。斎藤さちこ、山内知也両氏の論文である。福島県の子ども(37人、3歳から16歳)の測定は、2014年から2016年にかけて、西日本の子ども(25人、2歳から17歳)は、2014年から2017年にかけて、茨城県の男子(15歳時と17歳)も、2014年から2017年にかけて行われた。西日本の子どもの尿からはセシウムは検出されなかった。福島県の子どもの検体からはその7割から放射性セシウムが検出された。検出限界はおよそ0.1Bq/Lであった。2014年はCs-134もあったが2015年以降はCs-137のみ検出された。最頻値は0.12〜0.2Bq/Lであり、最大値は0.3Bq/Lであった。測定を継続した期間にわたってCs-137の濃度は単調に減少しないケースやむしろ増加しているケースもあった。これらの結果は、継続的な放射性セシウムの摂取・吸引が続いていることを示している。
 牛の実験によると筋肉中のセシウム濃度は尿中のセシウム濃度の約3倍なので、それを用いると、子どもの筋肉中の最大値が1Bq/Lと推測される。チェルノブイリでは尿中数Bq/Lで膀胱がんが大人に発生した。子どもの場合を考えると測定値は安心できるとは言えない。また、バイアスとして測定に協力する家庭は、日常的に放射能汚染を避けるように気を付けている子どもが大半を占め、平均的な像からは尿中セシウムの濃度が低くなっている可能性がある。とはいえ福島の7割の子どもからセシウムが検出されたという事実、減衰しないという事実は重要である。

  まとめ:復興庁の方針が実行されその内容が実現したら何が生じるか?
  致死量相当の被曝が国民全体に強要され、民族の生存の危機が生じる


 政府の政策を批判的に検討する方法の一つは、それが実現したと仮定した場合に生じる事態を考えてみることである。
 復興庁文書は、事実上、①住民の放射線基準を福島だけでなく全国について20mSv/年とする、②現行の屋内遮蔽係数0.6は「3倍の過大評価」であるとして0.2に引き下げる(つまり20mSv/年を実際には100mSv/年とする)ことを求めている。つまり、実際に目指している内容では、空間線量で年間100mSvを全国の全住民の基準とするということである。
 今仮にそのような企図が実現し、さらに今後の原発再稼働によって重大事故が繰り返され、全国が政府のいう20mSv/年のレベルまで、つまり実際には100mSv/年の水準まで「差別なく」「平等に」汚染されたと仮定しよう。復興庁が採用している比較リスク論に従って、その仮定の場合に住民が被曝するであろう積算量を、1回の被曝による放射線致死量(下表)と比較してみよう。


表 政府・放射線医学総合研究所の文書による放射線による致死量

出典:放医研『低線量放射線と健康影響』179ページ、ICRP2007勧告126ページ


 生じる結果は単純である。政府のリスク比較表同様、Gy=Svと仮定しよう。政府の言う20mSv/年(実際は100mSv/年)の汚染地域に10年間居住すれば、積算被曝量は10%未満致死量である1Svに到達する。30年も経てば、半数致死量の3Svに達する。
 子どもについては、学術会議報告にあるICRPの放射線感受性の3倍という数字(過小評価ではあるが)を採用しよう。すると「子ども」である10年間の被曝量1Svは、感受性の高さを考慮すると、3Svに相当し半数致死量相当に達する。「子ども」である20年間に被曝することになる2Svは、実際には6Svに相当することになり、半数致死量の上限を超える。これに、さらに成人としての50年間の被曝量5Svが加わると、生涯期間で11Svとなり、全員致死量(10〜15Sv)相当に達する。
 日本政府・原子力規制委員会は、この係数を、0.15に、さらに引き下げようと画策している。そうなると、年間20ミリシーベルトは、実際には、年間133ミリシーベルトとなり、大人の場合、8年間居住すれば10%未満致死量に、23年間も居住すれば半数致死量に相当する被曝量となる。子どもの場合、20年と数年で全員致死量相当となる。
 このような比較リスクは、政府と政府側専門家にとっても明らかである。しかも、放射線致死量は、医療現場で行われている放射線照射治療の日常的な臨床経験によりいわば実務的に確認されており、過小評価が明かなICRPなどのリスクモデルに比較して、データの信頼度は高いと考えられる。
 もちろん、長期にわたる被曝の影響が1回の被曝による致死量とは異なる可能性は残っている。ICRP2007勧告は、半数致死量についてこの可能性を指摘しているが、それでも(1カ月間の被曝についてではあるが)2倍程度とあまり大きくないことを示唆している(126ページ)。したがって、もしこの事情を考慮しても、上記の比較について結論は大きくは変わらない。
 他方、長期にわたって被曝した方が、細胞分裂周期すべての段階に影響を及ぼすため、あるいはまたバイスタンダー効果や活性酸素・フリーラジカルによる損傷(ペトカウ効果など)が長期にわたって持続するため、積算の致死量が、1回の被曝による致死量よりも小さい、すなわちもっと低い線量で致死が生じる可能性も考えられる。
 ICRPは、生涯線量1Svを移住(避難)が必要なレベルと規定している(ICRP Pub.96 51ページ、放医研『低線量放射線と健康影響』180ページ)。この点からも、1回の被曝量で1Svが放射線致死量の最下限と規定されていることと関連があると考えるべきであろう。
 ICRPのリスクモデルで計算しても、ほぼ同じ結果が生じる。10万人が年間に100mSv被曝した場合のがんによる生涯期間での過剰死者数はおよそ500人である。50年間の被曝については大まかな計算だがおよそ2.5万人、これを上記の係数2倍を掛けると、ちょうど半数致死量となる。
 復興庁の要求通りになれば、もはや133mSv/yでは、低線量域とされる100mSvを超えてしまい、低線量に適用されているDDREF=2(要するにリスクを人為的に半分にする係数操作)が当てはまらない可能性が出てくる。低線量域を200mSvとする見解もあるが、積算で超えれば同じことである。そうすると、ICRPリスクモデルを使っても生涯期間で10万人相当になり、全数致死量になる。つまり全員が早期に死んでしまうことになる。
 放医研の各機関のリスク表(上記、およそ450〜1500/万人・Sv)を使っても、最大のリスクを取れば、放射線による住民の皆殺し・ジェノサイドが生じることになる。
 つまり、復興庁・日本政府の企図が実現すれば、国民に対する「致死量」の被曝が正当化されることになるということである。しかも、ICRP・UNSCEARのデータ「だけ」で、つまりECRRの40倍やゴフマンの10倍などICRPモデルの過小評価の補正を行わなくても、そのことが示されるということである。政府側専門家たちは、今後に住民の基準としようとしている線量が長期居住によって致死量になりうることを「知らないはずがない」。つまり彼らは「知って故意にやろうとしている」ということなのである。
 周知の通り、人の死を招くことが可能もしくは確実な行為を故意に行なって人を死に追いやった場合、それは「殺人」である。政府の政策は「故意に」「計画的に」行われている「大量殺人」と形容されても仕方がない。しかも問題になっているのは、放射線の「全員致死量」に達する被曝の可能性なのである。
ここから、次のように結論しても差し支えないであろう。復興庁文書は、放射線による住民の皆殺し・ジェノサイドを、国民全体についていえば日本民族(すなわち日本に居住する支配・被支配階級を考慮しない大きな社会的集団)の滅亡を目指すと言われても過言でない「死の計画」であると。
 天皇家の姻戚である久邇晃子医師は、福島事故直後に日本政府や原発推進勢力の政策を「集団自殺願望」だと鋭く批判した(『文藝春秋』2011年12月号)が、日本の支配層のトップにいる人々の一部では、すでに当時からこのことは分かっていたのである。

 おわりに

 毎日新聞(1月3日朝刊)によれば、日立製作所が英国で進める原発新設プロジェクトに3メガバンクと国際協力銀行(JBIC)を含む銀行団が総額1.5兆円規模融資を行う。事故などによる貸し倒れに備え日本政府がメガバンクの融資の全額を債務保証する。
 さらに政府系の日本政策投資銀行は出資支援を行うほか中部電力など電力各社も出資を検討する。総額3兆円規模による原発輸出を政府主導の「オールジャパン体制」で後押しする。
 日本政府は福島原発事故の処理や救済・賠償もできないのに、イギリスの原発事故の損害費用を政府、すなわち日本国民が負担するという。このように日本政府は、利益は企業に、リスクは国民に転嫁する政策を推進している。
 原発企業優先をやめ、その3兆円を、福島・東北・関東の被災者を安全な土地に移住させ(希望の土地を個々人が選択できる)10年かけて生活建設を支援することに使うのが政府の役割ではないのか。
 現在、福島で起こっている甲状腺癌の人たちはもちろん、希望者全員の定期的な健康診断(血液や尿検査はもちろん、心電図と心臓のエコー、目と耳と腎臓の検査)、適切な治療と長期ケアを実施するべきである。


謝辞 大和田幸嗣、遠藤順子両氏には貴重なコメントをいただきました。西尾正道氏には放射線致死量に関して重要な情報提供をいただきました。深く感謝いたします。
 
 
 参考文献

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2.『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響−チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ』− ユーリ・I・バンダジェフスキー著 久保田護訳 合同出版2011年
3.『放射性セシウムが生殖系に与える医学的社会学的影響―チェルノブイリ原発事故その人口「損失」の現実―』 ユーリ・I・バンダジェフスキー/N・F・ドウボバヤ著 久保田護訳 合同出版 2013年
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to the General Assembly
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  6. Radiation exposure has never been demonstrated to cause hereditary effects in human populations. The absence of observable effects in children of survivors of the atomic bombings in Japan, one of the largest study populations, indicates that moderate acute radiation exposures of even a relatively large human population must have little impact. However, experimental studies in plants and animals have clearly demonstrated that radiation can induce hereditary effects. Humans are unlikely to be an exception in that regard.

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https://academic.oup.com/jcem/article/102/7/2575/3063794
18.G. M. Kendall et al., "A record-based case-control study of natural background radiation and the incidence of childhood leukaemia and other cancers in Great Britain during 1980-2006" , Leukemia, 27, (2013) pp.3-9
19. ヤブロコフほか『チェルノブイリ被害の全貌』星川淳他訳、2013年
20.宮崎・早野論文については以下のサイトを参照のこと。
http://blog.torikaesu.net/?eid=65
記事の紹介 A.週刊金曜日6月30日号 B.ガラスバッジに関して
http://blog.torikaesu.net/?eid=63
 ファイルは以下
http://www.torikaesu.net/data/20170716_yamada.pdf
21.以下の福島県のサイトを参照のこと。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6497.pdf
22.ユーリー・バンダジェフスキー『放射性セシウムが人口学的病理学的影響』合同出版72ページ
23.佐藤志彦氏ら、地球惑星科学連合大会2016での報告
  https://confit.atlas.jp/guide/event/jpgu2016/subject/MAG24-P01/detail
24.矢ケ崎克馬;日本の科学者、2018年1月19日2月号
25.斉藤さちこ、山内知也;神戸大学海事科学研究科紀要第14号23−30,2017
 
 
 
付論 福島原発事故の人的被害の規模を考えていく上での資料

1.主にネバダなどアメリカ本土における大気圏核実験(セシウム137放出量で福島事故とほぼ同等)での犠牲者数が39万5000人〜69万5000人に及ぶというアリゾナ大学キース・メイヤー氏による最近の推計。米国本土での核実験による「過剰死者数は、広島・長崎原爆に匹敵する」と評価。
https://qzprod.files.wordpress.com/2017/12/6043f-meyers-fallout-mortality-website.pdf

2.チェルノブイリ事故の人的被害が約105万1500人とするヤブロコフ氏らの推計。ヤブロコフほか『チェルノブイリ被害の全貌』180ページ。ただし、この推計は、事故後18年間に関する被害推計である点に注意が必要である。一般の生涯期間50年に比例するとして換算すれば約292万人となる。生涯期間を70年でとれば約409万人となる。

3.チェルノブイリ事故後の東欧諸国における総人口が2210万人(約7%)も急減した(ピークからボトムまで)事実に注目のこと。とりわけウクライナ、ベラルーシ、ロシアにおける1327万人(6.3%)もの減少。下表参照(2013年7月時点まで)。つまり、社会主義体制の崩壊による社会的経済的混乱という要因を考慮に入れても、上記の300〜400万人の犠牲者という推計が十分に「ありうる」数字であって、決して法外に過大であるとは言えないであろう。



付表 チェルノブイリ原発事故以後の東欧諸国の人口動向
                           2013.07.25  渡辺悦司
                                    (単位 万人)

出典:WikipediaウェッブサイトにあるDemographicsの各国の項目より計算(四捨五入があるので合計は一致しない)。2013年7月24日閲覧

4.福島と関東地方の健康被害の政府発表データ(明らかな過小評価だが)に基づく大まかな推計(2016年のデータによる)を行うと、初期被曝による健康被害を捨象したとしても、福島・関東だけで50年間に関して最大150万人の過剰な死者が予想される。


事故後の空間線量の上昇     単位:μSv/h(地上1メートル)/人・Sv


事故前は1990年〜1998年の平均値、現線量は2016年3月1日時点の数値(日本経済新聞2016年3月2日より)。ただ、大阪、愛知、福岡などとの比較で明らかなように、関東の数字には明かな過小評価があると思われる。家屋による遮蔽係数(×0.6)は使っていない。各都道府県の人口は2015年の国勢調査による数字。

 ①初期被曝を考慮に入れないこととして、福島県と関東7都県を合計した(総人口4493万人に対する)集団線量:0.8832万人・Sv/年
 ②ICRP2007が掲載しているリスク係数(生涯期間、1万人・Svあたり)の中央値
がん発症:1800 / がん死:450
政府・放医研文書(『低線量放射線と健康影響』2012)が掲載している各種機関による致死性のがんリスク(生涯期間、1万人・Svあたり)
 がん死:426〜1460(最小値はICRP2007、最大値はUNSCEAR2000)
 ICRPにしたがって放医研によるがん発症リスクを致死性(がん死)リスクの4倍と仮定すると、がん発症リスクは:1704〜5840
 ③計算された集団線量0.8832万人・Svについては、年間の被曝に対し、
・ICRPでは、がん発症が1590人、うちがん死(致死性)が397人 
・放医研では、がん発症は1504〜5159人、がん死が376〜1289人
 ④10年間では、
・ICRP:がん発症1万5900人、がん死3970人
・放医研:がん発症1万5040〜5万1590万人、がん死3760〜1万2890人
 ⑤生涯期間(成人50年間)では、減衰を計算に入れない場合、
・ICRP:がん発症7万9500人、がん死1万9850人
・放医研:がん発症7万5200〜25万7800人、がん死1万8800〜6万4450人
生涯期間について減衰を考慮した場合(およそ×0.6)、
・ICRP:がん発症4万7700人、がん死1万1910人
・放医研:がん発症4万5120〜15万4680人、1万1280〜3万8670人
 ⑥いずれにしても、リスクはゼロではない。そればかりか、かなりの被害が政府側のデータと研究機関のリスク係数からしても、十分予想される。
 ⑦ECRR補正を行うと(ICRPはDDREF=2としているので×40、放医研はUNSCEARがDDREFを想定していないので×20と計算)、年間の被曝に対し、
・ICRPでは、がん発症が6万3600人、うちがん死(致死性)が1万5880人
・放医研では、がん発症は3万80〜10万3180人、がん死が7520〜2万5780人
 ⑧最大値のみ再掲、結局、福島と関東地方において、政府機関のデータから計算しても(ECRR補正前でも)、
・年間の被曝に対して、大まかな数字だが、最大でがん発症約5200人、がん死が約1300人
・50年間で、放射性物質の減衰を考慮して、最大でがん発症約15万人、がん死が約4万人
 ⑨ECRRによる現行リスクモデルの過小評価を補正すると
・年間の被曝に対して、大まかな数字だが、最大でがん発症約10万人、がん死が約3万人
・50年間で、放射性物質の減衰を考慮して、最大でがん発症約300万人、がん死が約80万人
 ⑩非がん疾患を考慮に入れると、このおよそ2倍、
・年間の被曝に対して、大まかな数字だが、最大で死者が約5万人
・50年間で、放射性物質の減衰を考慮して、最大で死者が約150万人



 
 
 
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