コロナパンデミックと放射能汚染 渡辺悦司

2020年07月



コロナパンデミックと放射能汚染

2020年07月11日(改訂2020年07月26日)
渡辺悦司



 
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コロナパンデミックと放射能汚染(pdf,52ページ,1168KB)

2020年07月11日に「Go West Come West」が開催した集会でのプレゼンテーションスライドです。
上記からダウンロードしてごらんください。



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無署名論考「放射線の本質を隠蔽する『でも危険論』」への批判   渡辺悦司

2020年05月



無署名論考「放射線の本質を隠蔽する『でも危険論』」への批判

渡辺悦司
2020年5月8日



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無署名論考「放射線の本質を隠蔽する『でも危険論』」への批判 渡辺悦司(pdf,85ページ,9353KB)


反被曝運動内で公然と主張され始めた「ホルミシス」論と「避難無用」論――無署名論考「放射線の本質を隠蔽する『でも危険論』」は実際には何を主張し何を要求しているか? 私への批判に答え、同論考の理論的本質と危険性を避難者・支援者の皆さまに広く訴える

①「低エネルギー」「低線量」の放射線の存在やその危険性を認めることは「放射線の本質を隠蔽する」という的外れの「批判」から始まり、②放射線被曝が「健康増進」効果があるとする「放射線ホルミシス」論と「被曝対策可能」論へと進み、③結局のところ「避難無用」論および避難したことに対する避難者への「謝罪」要求に終わる――二律背反と転落の議論に警告する

福島・東北・関東からの避難者とその支援者の皆さまに捧げる



    はじめに

 私の関係する一市民放射能測定所の狭い範囲の人々の中での議論を皆さまに広くお知らせすることを、お許しいただければと思う。そこでは、「低エネルギー」のトリチウムβ線の危険性を問題にすることそのことが「でも危険論」だと攻撃され、低線量被曝は被害ではなくむしろ効用があるとする「ホルミシス論」が公然と主張され、避難者に「避難」したことを公然と「謝罪せよ」とする要求が、実際に現れている。この残念ではあるが危険な事実について、ぜひとも皆さまに注意を喚起し警鐘を発したいと考える。

 「放射線の本質を隠蔽する『でも危険論』」と題する、著者名も機関名も団体名も記載されていない論考が、私や、福島からの避難者の人々、その支援活動に携わっている人々に対して、個人メールとして送りつけられている(2020年1月22日付)。私の知る限り、同論考を「私見」として送ってきているのは、京都市民・放射能測定所メーリングリストのメンバーの1人I氏である。だが、同論考は、もっと広く全国的に拡散されているかもしれない。I氏が本名かどうかも私は知らない。しかも氏は、自分の「私見」と称する論考に対して、自分が実際に論考の「著者」であることを明確に確認することを求められても返答していない。オーサシップの確認を事実上拒否している。I 氏は上の名前だけであり、下の名前も含めて自分の本名あるいはペンネームの公表も、所属を明らかにすることにも答えていない(2020年1月29日付)。この意味で、同論考は、いわば「怪文書」的な性格をもつといっても過言ではない。
 ここでは同論考を「無署名論考」あるいはI氏のオーサーシップを仮定して単に「I論考」と呼ぶこととする。2020年5月8日I氏は、下の名前が「幸夫」であることを公表し、「私の見解」として無署名論考を広く転送・拡散することを認めているが、依然として自分のオーサーシップは認めていないように見える。
 私には、無署名論考を実際に読んだり読み始めた多くの人々から、「専門的」で「理解できない」という印象を持ったという感想が多く寄せられている。I氏が行論の中で見せている、基本的立場の「ありえない」ような「移行」すなわち「動揺」、全く矛盾する二つの立場の公然たる併存、「専門家」的な顔の誇示と「素人談義」という逃げ口上の共存、自分の主張の場合と他人の批判の場合との正反対のダブルスタンダード、これらのとんでもない法外な「二律背反」と「理論的混乱」が理解を困難にしている。ここではこれらを分析し、無署名論考の真実の主張点とその客観的な政治的意味を読み解くという、手間のかかるが、意義もやりがいも限られた課題に敢えて取り組もうと思う。
 無署名論考は、A4で23ページに及ぶ長文であり、内容も多岐に及び、引用文献・参考文献も少なくなく、分析と検討に時間がかかったことをお詫びしたい。論考には、ページ数が記載されていないので、「はじめに」から始まるページを1ページとして、ページ数を付し、引用の際はそのページ数を記してある。I氏は、論考の転送を許諾しているので、論考原文をお求めの方は、私(渡辺)宛個人メールをお送りいただきたい。
 無署名論考の批判対象は、「でも危険論者」となっているが、引用元をインターネットで確認すれば容易にわかるように、
 ①私(渡辺悦司)や、
 ②本行忠志大阪大学名誉教授、
 ③「反原発を唱える物理学者」として山田耕作京都大学名誉教授
らを対象としたものであることが示唆されている。このことは、半ば公然である。
 端的に言うと、無署名論考の主張は、①〜③の人々が「低エネルギー」「低線量」という言葉を使って放射線の危険を「過小評価」しているという批判である。その議論の仕方からは、われわれ3人が関係している、京都市民・放射能測定所での理論的議論を建設的に前に進め、科学的理解の内容を深めることが論考の目的であったとは、到底考えられない。
 先回りして言えば、その批判は、にわかには信じられないかもしれないが、放射線被曝には健康上の「効用」があるという「ホルミシス論」と、それをベースに、被曝からの避難という考え方自体が誤りであり、避難した人々はそれを「謝罪」すべきだという要求へと導かれていく。
 私(渡辺)が怪文書的な同論考への反批判として本稿をどうしても書く必要があると考えたのは、無署名論考が、私など特定の諸個人に対する誹謗中傷と名誉毀損というだけにとどまらない、避難者の運動全体にかかわる極めて深刻な内容を含んでいたからである。関係者全体がぜひとも論考をよく読み、深く分析し、理論的に検討する必要があると確信したからである。今回の公開も同じ趣旨からである。
 無署名論考は、以下の諸著作を一種の「権威」として利用している:
 ①鳥居寛之(東京大学大学院総合文化研究科助教)らの著作『放射線を科学的に理解する』丸善出版(2012年)。
 ②落合栄一郎氏。氏について具体的書名が挙がっていないが、おそらく『放射能と人体』講談社(2014年)、同『放射能は人類を滅ぼす』緑風出版(2017年)と思われる。
 ③ジョン・ゴフマン『人間と放射線』明石書店(2011年、最初の発刊は1991年)
 また無署名論考は、「権威」というほどではないが、多田将氏の著作も参照したことを明記しているので、上記諸著作と合わせて、必要に応じ多田氏の以下の著作も検討する。
 ④多田将(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 准教授)『放射線について考えよう』明幸堂(2018年)。
 無署名論考の主張を、これらの著作における該当する規定と比較し検証しながら、論考の真の本質に迫っていくこととしたい。これまた先回りして結論から言うと、無署名論考は、自説を、これらの基本著作の見解と全く違った、全く正反対の形で、全く矛盾し対立した文脈で、展開している。率直に言えば、I氏は、これらの著作をもっと冷静によく読み、よく学び、自説を十分に検証すべきであったと感じざるを得ない。
 もちろん、このような無署名論考の行論が、自分が立てた論理的に矛盾した命題に、相反と二律背反の中で唯我的に固執し、苦悩しながら自然発生的に行われたものなのか、それとも反原発・反被曝の運動、さらには避難者や放射能市民測定の運動の中に、理論的混乱を持ち込むなどの何らかの意図を持って故意に行われたことなのか、大いに疑惑が残る。もちろん著者本人以外には知るよしもないが。
 検討は補論を含めて5つの部分に分けることとする。
 まず、無署名論考の主張の主な内容ごとにまとめてみる(第1章)。次に、補論として、無署名論考の結論である「避難無用」論に関連して、その問題点を概観してみる(第2章)。無署名論考の提起している被曝をめぐる理論的・思想的対立の構図(「『だから』危険論」対「『だから』安全安心論」対「『でも』危険論」)に対置して、われわれの考える基本的な理論的・思想的立場とその相互関係を検討する(第3章)。さらに、無署名論考が、そこで混乱し、いわば難破してしまっている重要な理論的問題――放射線の直接作用と間接作用――について最近の研究の発展を概観し紹介する(第4章)。そして最後に、無署名論考が反原発・反被曝運動の中で果たす客観的な政治的意味を検討してみる(第5章)。
 本論に入る前に、本論での批判の方法論について1点だけ付言しておきたい。私のI氏への批判は、①私自身のあるいは私の引用する諸著作からの積極的あるいは第一次的な主張と、②I氏の主張を仮に仮定した場合に必然的に生じる非合理、二律背反、論理矛盾を明らかにする仮定的・予備的あるいは第二次的な主張との二本立てとなっている。それぞれの箇所で、これらのどちらの面から議論しているか、常に意識していただくと筆者として非常に幸いである。

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 以降の章はpdfファイルを参照ください 
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 第1章 無署名論考(I論考)の主要な主張内容

 第2章 補論「被曝効用(ホルミシス)」論に基づく「避難無用」論の危険な意味

 第3章 放射線被曝をめぐる理論的・思想的な勢力配置

 第4章 放射線の直接作用と間接作用に関する最近の理論的発展――
     DNAのクラスター損傷、活性酸素・フリーラジカルの短期的・長期的作用、
     ミトコンドリア機能障害に関連して


 第5章 無署名論考を客観的に見た場合の政治的意味について

「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告及び東電報告」批判 山田耕作・渡辺悦司

2020年05月



「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告及び東電報告」批判

山田耕作、渡辺悦司
2020年5月20日



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「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告及び東電報告」批判 山田耕作・渡辺悦司(pdf,27ページ,6573KB)


第1章 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書
2020 年2 月10 日
多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(以下小委員会と略す)

以下、枠内は小委員会報告書からの引用である。

はじめに
注.ALPS はトリチウム以外の62 種類の放射性物質を告示濃度未満まで浄化する能力を有しているが、処理を開始した当初は、敷地境界における追加の被ばく線量を下げることを重視したことなどにより、タンクに保管されているALPS 処理水の約7 割には、トリチウム以外の放射性物質が環境中へ放出する際の基準(告示濃度限度比総和 1未満)を超えて含まれている。ALPS 小委員会では、こうした十分に処理されていない水について、環境中に放出される場合には、希釈を行う前にトリチウム以外の放射性物質が告示濃度比総和1 未満になるまで確実に浄化処理(2 次処理)を行うことを前提にALPS 処理水の取扱いについて検討を行った(詳細はP13 参照)。p3
ALPS処理水の約7割にはトリチウム以外の放射性物質が環境に放出する際の基準を超えて含まれている。ALPS処理水を少なくとも放出基準以下に処理してから汚染水の処理・保管の議論を行うのが本来のあり方である。ストロンチウム90が基準値の約2万倍の約60万Bq/L含まれているなど、危険な放射性物質が多量に含まれている。処理できるものをきちんと処理してから、トリチウムのみを含む汚染水を保管すべきである。

1.検討の経緯
説明・公聴会は、2018 年8 月30 日に福島県富岡町、同31 日に福島県郡山市、東京都千代田区で行われ、44 名の方から会場で意見をお伺いした。また、書面での意見募集も併せて実施し、135 名の方から意見をお伺いした。意見としては、主に、タンクに保管されているALPS処理水の安全性についての不安、風評被害が懸念されるため海洋放出に反対など、ALPS処理水の処分に関して、様々な懸念点をいただいた。
その後のALPS 小委員会では、この説明・公聴会でいただいた論点(以下「説明・公聴会でいただいた論点と議論の経緯」参照)について、科学的な観点における事実関係の確認を行いつつ、順次、議論を行った。p8
説明・公聴会において、44名の会場での意見のうち、条件付き賛成も含め2名が海洋投棄に賛成し、圧倒的多数が反対した。小委員会はALPS処理水の海洋放出が安全であることを説明できなかった。とくにICRPの内部被曝評価が現実の局所的被曝を臓器全体や全身で平均して被曝量を評価している誤りが指摘された。小委員会は西尾正道氏等の上記批判に対しICRPの評価の正当性を証明できなかった。

2.ALPS 処理水に係る現状の整理
ALPS 処理水、また、ALPS での浄化処理を待っているストロンチウム処理水の量は、2019 年10 月31 日時点で、合計約117 万m3となっており、トリチウムの量、濃度はそれぞれ、約856 兆ベクレル(Bq)、平均約73 万Bq/Lとなっている。p11
これまで原発から排出されたトリチウムの放出量に比べても大量である(事故前の日本の全原発による年間総放出量0.38PBqの約2.3年分)。これまでの原発からのトリチウム放出量で玄海原発、泊原発で白血病、がんが増加している。それ故、今回のトリチウム汚染水の海洋投棄でこれらの原発と同様の被曝被害の可能性が否定できない。
 しかも、この2019年10月31日時点での東電による貯留トリチウムの総量の推計(0.86PBq)には、大きな疑問が残る。今までおよそ1PBqとされていた放出予定トリチウム総量は、今回0.86PBqに減らされた。だが、2014年3月25日時点での東電推計(表1-1)では、事故原発内全残存量の推計は3.4PBqであった。注記(とくに注6)を文字通りに読めば、これは全て事故原発内に現実に貯留しているトリチウム量である。すなわち、2019年の該当日付でトリチウムの半減期を考慮して計算するとおよそ2.5PBqである。つまり、現在公表されている0.86PBqに加えて、さらに最大1.64PBqが、今後の廃炉作業などにより海洋放出されるトリチウム量に加わる可能性があるということなのである。東電は、放出される可能性のある具体的な数字を発表する必要がある。

表1-1

出典:経済産業省「トリチウムの物性について」
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/tritium_tusk/pdf/160603_02.pdf

具体的には、大容量の地上タンクについて、現在設置している標準タンクと比較して面積当たりの容量効率は大差なく、保管容量が大きく増えないにもかかわらず、設置や漏えい検査等に要する期間が長期化するとともに、万が一、破損した場合の漏えい量が膨大になるという課題がある。次に、大容量の地中タンクも、標準タンクと比較して保管容量は大きく増えないにもかかわらず、漏えい量などでも大容量の地上タンクと同様の課題があることに加えて、地下に埋設するため、漏えいの迅速な検知が難しいという課題がある。さらに、洋上タンクは、石油備蓄基地で採用されている大きさでは、福島第一原発港湾内の水深が浅いため設置が困難なことに加えて、津波が発生した場合に漂流物となって沿岸に漂着し被害を及ぼす可能性があり、また、タンク外へ漏えいした場合、漏えい水の回収が困難となるという課題がある。これらのことから、標準タンクと比較して保管容量が大きく増えないため、上記の大型タンク等の福島第一原発への設置を行うメリットはないと考えられる。p11
石油備蓄船は88万立方メートルの汚染水を一隻で貯蔵できる。敷地の問題は解決できるのであるから、十分検討すべきだと思われる。ところが、水深が浅いとか、津波が心配とか、漏洩水の回収が困難などと言って、実現のために努力する姿勢が全くなく、他に手段がないとして海洋投棄に導く議論のようにさえ見える。なぜなら、津波で流出が心配と言いながら、「無害だから」と海洋に投棄する案を妥当とするのは矛盾している。水深を深くするとか、深いところに備蓄船を停留させるとか方法はあるはずである。

また、廃炉・汚染水対策は、継続的なリスク低減活動であり、リスク源となりうる放射性物質を敷地外に持ち出すことは、リスクを広げることになるため、既存の敷地内で廃炉を進めることは基本である。加えて、上記のとおり、タンク保管を継続するための敷地外への放射性廃棄物の持ち出しや敷地の拡大は、保管施設を建設する地元自治体等の理解や放射性廃棄物保管施設としての認可取得が必要であり、実施までに相当な調整と時間を要する。p13
海洋投棄は敷地外へ放射性物質を持ち出すことではないのか。敷地外に持ち出すことができないという前提で議論しながら海洋投棄するのは矛盾している。最も安全な方法を様々な立場から検討しているとき、調整と時間がかかることを理由とするなど小委員会の熱意と誠実さと公平さが疑われる。このようにトリチウムによる被曝の危険性を考慮せず、ひたすら事務的手続きを優先する議論は、国民の生命・健康を守るという責任を放棄するものである。

また、ALPS はトリチウム以外の62 種類の放射性物質について、告示濃度未満まで浄化する能力を有しているが、タンクに保管されているALPS 処理水の約7 割には、2019 年12 月31 日時点でトリチウム以外の放射性物質が環境中へ放出する際の基準(告示濃度限度比総和1 未満)を超えて含まれている。このように現在タンクに貯蔵されているALPS 処理水の約7割は、十分な処理がなされているとは言えず、浄化処理を終えたALPS 処理水とは言えない。 p14
まず、計画どおりにALPSで62種類の放射性物質が取り除かれなかった原因と責任を明らかにすべきである。そしてまず汚染水からトリチウム以外の除去できる放射性物質を取り除くべきである。ALPSの性能に問題はないのか。このままではトリチウム以外の放射性物質も海洋投棄される恐れがある。漏洩などの危険を避け、安全性を確認して保管するためにもまずストロンチウムなどの放射性物質をALPSで徹底的に除去すべきである。

自然界では宇宙線等により地球上で年間約7京(70,000 兆)Bq 程度生成される。水分子を構成する水素として存在するものが多く、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれており、日本における降水中のトリチウム量を試算すると、年間約223 兆Bq となる。トリチウムを含む水分子は、通常の水分子と同じ性質を持つため、トリチウムが特定の生物や臓器に濃縮されることはない。p15
次の図にみられるように自然界に存在するトリチウムより、核実験や原発・各施設によるトリチウムの放出が圧倒的に多い。それに対応してトリチウムによる人的被害も増加してきた(図1-1)。

図1-1

出典:JAEA・原子力百科事典ATOMICA「トリチウムの環境中での挙動」より作成 
https://atomica.jaea.go.jp/data/pict/09/09010308/02.gif


出典:経済産業省「トリチウムの物性について」
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/tritium_tusk/pdf/160603_02.pdf

 東電が海洋に投棄しようとしているのは856兆ベクレルである。日本近傍で生成されているであろう自然発生のトリチウム量より圧倒的に多い。
 「トリチウムを含む水分子は、通常の水分子と同じ性質を持つため、トリチウムが特定の生物や臓器に濃縮されることはない」という上記記述は誤りである。小委員会報告自体が16頁でトリチウム水の5から6%が有機結合型トリチウムに移行することを認めている。
 最近の科学的事実ではトリチウムが環境中あるいは生体中で濃縮されることが明確になった。トリチウムは通常の水素の3倍の重さを持ち、結合力、移動速度が通常の水素とは異なる。2000年代以降のイギリス等の海洋の放射性物質の研究によると河口などの砂や泥、有機物質を介して自然界で濃縮されることがわかった。
 ティム・ディアジョーンズ論文「計画されている福島事故原発からのトリチウム水放出」(海流に乗るトリチウム汚染水 ティム・ディア=ジョーンズ 渡辺悦司訳 http://blog.torikaesu.net/?eid=78 )によると、2002年の研究では、英国の全海域をカバーした環境モニタリングの結果、以下の二点が実証されたことが報告された。①トリチウムに高度に汚染された海域に生息する魚介類のトリチウム濃度は、英国の他の(つまり海水トリチウム濃度の高くない)海域におけるよりも有意に高い。②海底生物と底生魚におけるトリチウムの生物濃縮は、まず最初に、堆積物中に生息する微生物および海底に生息する小型動物が有機トリチウムを摂取し続けて生物内にトリチウムが移行することを介して生じている。
 これに関連して観測されたのは、草食の生物種や外洋性の魚類のトリチウム濃度が、肉食動物と底生魚(海底あるいは海底近くに住む魚)より低かったことであった。この事実によりトリチウムが(有機トリチウムとして)実際に海と沿岸の食物連鎖を通して生物濃縮されていることが立証された。2009年の研究は査読を経て専門誌に掲載され、原子力産業の主張とは真逆のことを実験的に証明した。すなわち、トリチウムは環境中の有機物質に対して親和性があり、海洋環境での有機トリチウムの存在はこの親和性の作用を受けている。放出されたトリチウムは、海洋に放出された「後に」、海洋環境中にすでに存在する有機タンパク物質に対するトリチウムの親和性の結果として、有機物と結合するようになるのである。この研究結果は、海岸線沿いおよび沿岸海域で、海に流れ込む有機物質のレベルを高めるような条件がある場合とりわけ重要となる。つまり、海岸線が侵食されていたり、核物質以外でも廃棄物放出パイプラインがあったり、河口部からの河川の流れ込みがある場合、それらの近傍で海の有機物質濃度が高まるからである。福島の海岸と海流の下流領域(すなわち福島よりも南の太平洋に面した沿岸)には、沿岸海域にこのような有機物の流入源が数多く存在する。
 トリチウムの濃縮を研究したターナー論文はその要約でつぎのように述べている。「トリチウムは、環境中にある重要な放射性核種であり、水系中のリガンド[有機物や錯体への結合部位(訳者) ]や固形物との反応性は限定的であると考えられてきた。われわれは、(トリチウム水として添加した)トリチウムが河川水中および海水中でどのように分別され吸着されるかを研究した。その結果、トリチウムの分配が、有機物に対するトリチウ ムの親和性によって影響されていることを発見した。トリチウムは、逆相 C18 カラム[溶 液や懸濁液に含まれる分析対象物とそれ以外とを分離する方法の1つ(訳者) ]に保持さ れた溶存有機物リガンドとの間で急速に平衡に達する。河口の堆積物中の微粒子を水に懸濁させた場合でも、微粒子との間で同じように急速に平衡に達する。重要なことは、吸着トリチウムのかなりの部分がタンパク質様物質と結合しており、堆積物を食用としている生物にとって食用とされる可能性があることであった。トリチウムのこれらの特質は、これまで報告されておらず、水素とトリチウムとの同位体交換によってだけでは説明することができない。トリチウムが主としてトリチウム水として放出されている河口水域および海岸水域におけるトリチウムについては、すでに利用可能な観測データが複数あるが、上記の特質はそれらの測定結果と本質的に合致する。河口部におけるトリチウムの生物地球化学的挙動についてのいっそうの研究が必要であり、この放射線核種(トリチウム)に対して現在想定されている放射線学的な分配係数および濃縮係数は、見直しが必要であろう。」との結論である。


(Distribution of tritium in estuarine waters: the role of organic matter
Andrew Turner*, Geoffrey E. Millward, Martin Stemp
Journal of Environmental Radioactivity 100 (2009) 890-895)
河口水域におけるトリチウムの分配――有機物質の役割(pdf,14ページ,373KB)
http://www.torikaesu.net/data/20181122_watanabe.pdf


 さらに同論文によると「タンパク質や炭水化物などトリチウムと水素の分別が生じるのは、重い同位体[トリチウム]が、水の分子間にある強力な水素架橋結合部よりも、生体高分子の特徴である弱い水素架橋結合部に、選択的に入り込むからである。自然環境中の錯体構造の有機分子の中に弱い水素架橋結合が存在する可能性が高いことを考慮すれば、トリチウムが水に溶けたおよび堆積物中にある有機物に蓄積し[自然環境中の有機トリチウムの形成]、トリチウムが有機物の吸収と摂取を介して生物濃縮されることは十分予想される。生体高分子にトリチウムが選択的に取り込まれることは、十分に立証されている」とのことである。
 ターナー論文は言う。「トリチウム水として河川水と海水に付加されたトリチウムの分配を検証することとした。具体的には、われわれは、固相(固形物)抽出によって、トリチウムと有機リガンドとの親和性を調べ、懸濁した堆積物微粒子へのトリチウムの取り込みの特質と程度を調べた。」
 「われわれのサンプルにおける同位体濃縮は、およそ102から104超(100〜1万)の範囲にあると認められる」「堆積物に吸着したトリチウムは酵素によって利用される可能性があり、(トリチウムに)汚染された微粒子を食物として摂取することは、トリチウムが食物連鎖に侵入するもう一つの経路となる。このようなメカニズムは、環境モニタリングプログラムの結果が、トリチウム水として放出されたトリチウムに汚染された数多くの場所において、堆積物を食する生物における生物濃縮を示していることからも立証されている。
IAEAによって現在推奨されているが、明確な定義に基づいて行われた測定結果によっては立証されていない単位数量(下位単位数量)あたりの分配係数と濃縮係数の採用は、再検討が必要であろう。」

自然界やヒトの体内には、トリチウムだけでなく、カリウム40 やポロニウム210 などの放射性物質が存在しており、こうした自然由来の放射性物質による外部被ばく、内部被ばくの影響は、日本人の場合、年間約2.1mSvである。水分子に含まれるトリチウムはこうした他の放射性物質と比較して健康への影響は低く、カリウム40 と比較して1Bq 当たりの影響は300 分の1 以下である。このように、放射性物質あるいは有害物質とされるものであっても、自然界やヒトの体内には一定量が存在しており、人体への影響の大小は、その濃度によることに留意すべきである。p15
 これは根本的に誤った記述である。確かに、人体には通常のカリウムに混じって、その1万分の1の放射性カリウム40が4000から6000ベクレル存在する。しかし、このカリウム40と比較してセシウム137やトリチウムのベクレル数を比較して安全を議論することはよく使われる誤魔化しである。幾億年も前から存在するカリウム40に対しては、通常のカリウムの生体活動における必要性から細胞膜はカリウムチャンネルを持ち、それを通じてカリウムイオンは自由に生体内を移動できる。それ故、カリウム40は常に体内にほぼ一様に分布している。ところが人工の放射性元素であるセシウム137やトリチウムは人体の特定の部位や分子に取り込まれ、局所・集中的な被曝を与える。とりわけ不溶性の微粒子としても取り込まれ、局所的に集中的・継続的な被曝を与える。これが、ユーリ・バンダジェフスキー博士達が発見した「長寿命放射性核種取り込み症候群」の原因である。単純に濃度やベクレル数のみで評価することは根本的な誤りである。
 トリチウムの場合には、さらに、とりわけ水素の比率の大きい、脂肪組織、脳、生殖細胞などに特異的に取り込まれる傾向があることが実験結果として示されている(『「トリチウムβ線のRBEとその線量率依存性」平成元年度文部省科学研究費助成金研究成果報告書』)。ここから、フィラデルフィア染色体異常による白血病や先天性欠損症による死産および新生児死亡、新生児の中枢神経異常、ダウン症、新生児の脳腫瘍や中枢神経異常などとの関連が示唆されている(詳しくは渡辺・遠藤・山田『放射炎被曝の争点』緑風出版第2章を参照のこと)。
 「水分子に含まれるトリチウムはこうした他の放射性物質と比較して健康への影響は低」いという記述はトリチウム水の有機物への取り込みや濃縮、活性酸素を介しての放射線の間接効果を無視する非科学的な議論である。それ故、上の記述は住民をだますことになる。

(トリチウムの生体影響)
●トリチウムは弱いベータ線だけを出すので、影響が出る被ばく形態は内部被ばく。
●国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告による預託実効線量(大人50 年間、子ども70 歳までの被ばく)
トリチウム水(HTO): 1Bq 当たり0.000000018mSv(1.8×10-8mSv)※1
有機結合型トリチウム(OBT):1Bq 当たり0.000000042mSv(4.2×10-8mSv)*2,3
※1 体内に取り込まれたトリチウム水のうち約5〜6%がOBT に移行するため、その影響も考慮した数値。
※2 OBT の生体内の半減期は、40 日若しくは1年程度の2 タイプがある。それも考慮した上でトリチウム水と比較して2〜5 倍程度の影響。
※3 トリチウム化合物からの内部被ばく量は、類似した体内分布を示す水溶性の放射性セシウム(セシウム137)と比較して300 分の1 以下となる。
 p16
 このトリチウムの生体影響が著しい過少評価である。もしトリチウムの排出基準に相当する6万ベクレル/kgのトリチウム水を投棄してそのまま生体内に入り、小委員会案のように5〜6%が有機結合型トリチウムOBTとなったとすると3000〜3600ベクレル/kgとなる。莫大な量のトリチウムが有機物として取り込まれ臓器に蓄積することになる。ただし、有機分子の水素原子の割合を水分子と同じとした。このトリチウムの濃度は恐ろしく高濃度である。たとえば、チェルノブイリ事故の被曝者の被害を医学的に研究したユーリ・バンダジェフスキー博士によると被曝により、多臓器不全で死亡した大人や子どもの臓器に蓄積したセシウム137の1kg当たりのベクレル数は200〜500ベクレルであった(図1-2)。上記のトリチウムのベクレル数はこのセシウム137のベクレルより1桁多い。セシウム137もトリチウムもベータ線を放出するから同様の被害が生じる危険性がある。セシウム137ではもっと少ない体重1kgあたり20ベクレルの蓄積でも子ども達の心臓に異常が起き、心電図に異常がでた。

図1-2 セシウム137の多くの組織への取り込みによる症候群(体内臓器に蓄積の実証)


 図1−2のように内部被曝によって心臓などの多くの臓器が損傷され死に至るのは、放射線によって発生した活性酸素やラディカルによる細胞膜の破壊現象であるペトカウ効果のためである。ペトカウ効果というのは、「細胞の膜は高線量の外部照射ではなかなか破壊されないが、内部被曝の形で放射線を持続的に受けると低線量でも簡単に破壊される」という現象である。この現象をアブラム・ペトカウ博士というカナダ原子力公社主任研究員が偶然発見したのである。ペトカウ博士の実験では脂肪の二重層でできた細胞膜のモデルに、外部被曝の形で、高線量の放射線を外部から断続的に照射すると、細胞膜は35,000ミリシーベルトでやっと壊れた。一方細胞膜を放射性の食塩水の中に入れておいたところ、低線量内部被曝の形になって、わずか7ミリシーベルトで破壊された。外部被曝の5000分の1というわずかの放射線量で破壊されたのである。そしてペトカウ博士は細胞膜を破壊するのは放射線の直接作用でなく、放射線によって生じた活性酸素による間接作用であることを明らかにした。(図1−3参照)

図1-3


これまでの動物実験や疫学研究から、「トリチウムが他の放射線や核種と比べて特別に生体影響が大きい」という事実は認められていない。
・マウス発がん実験では、線量率が3.6mGy/日(飲み水のHTO 濃度:約1 億4 千万Bq/L 程度)以下で頻度、質ともに自然発生と同程度となっている。
・原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)によると、原子力関連施設の作業従事者のガン致死に関する、100mSv 当たりの過剰相対リスクは、原爆被爆者からの評価値と同程度であり、「トリチウムは他の放射線や核種に比べて健康影響が大きい」という事実は認められない。
・トリチウムを排出している原子力施設周辺で共通にみられるトリチウムが原因と考えられる影響の例は見つかっていない。p17
 これは真実を見ない虚偽の記述である。以下のようにトリチウムの被曝被害と考えられる被害が広く見られる。

   (1)玄海原発周辺の白血病の増加

 森永徹氏によると、2002年から2012年の間で今回投棄されるのとほぼ同量のトリチウムが放出された玄海原発周辺では白血病が増加している。(森永徹氏の京都での講演資料より、図1-4)

図1-4 玄海原発稼働の前後の白血病死亡率


 玄海原発では原発稼働後白血病死が増加した。単年度で見ると、玄海町と唐津市では1983年から増加傾向がみられ、1985年から高止まりしている。(図1-5、表1-2、データ佐賀県人口動態統計)

図1-5



表1-2 1998年〜2007年までの10年間の人口10万人あたりの白血病による死者数

出典:厚生労働省人口動態統計より

 参照:広島市民の生存権を守るために伊方原発再稼動に反対する1万人委員会「なぜ広島から伊方原発運転差止めを提訴するのか 報告2 大量のトリチウムの放出とその危険」。

 加圧水型原発である北海道の泊原発でもがんの増加が顕著で、泊村は泊原発稼働後、全がんと内臓5がんの死亡比において北海道では1位となってしまった。(斉藤武一著「がんの村」と「泊原発」2020年、自費出版)

   (2)トリチウムによる影響と考えられる健康被害のその他の実例

 今まで原因物質が不明であったが、最近はとみにトリチウム真犯人説が強まっている。簡単に紹介する。
 (1)上澤千尋氏によればカナダのピッカリング原発やブルース原発といったCANDU炉が集中立地する地域の周辺で、子供たちに遺伝障害、新生児死亡、小児白血病の増加が認められている。冷却に用いた重水に中性子が当たるとトリチウムが発生するためである。(上澤千尋氏;「福島第一原発のトリチウム汚染水」『科学』2013年5月号,岩波書店、p504)
 (2)ロザリー・バーテル博士は1978年から1988年の間のピッカリング原発からのトリチウム放出量と周辺地域におけるそれ以降の先天欠損症、死産数、新生児死亡数との間に相関があることを指摘している。さらにダウン症、カナダの原子力労働者の高いがん発症、小児白血病の増加とトリチウムとの関連を明らかにしている。Rosalie Bertell, "Health Effects of Tritium" 2005
 (3)アメリカでは原子炉閉鎖地域の半径80km以内に住む1歳以下の乳児死亡率を調べた。「原子炉閉鎖前に比べて閉鎖後2年の乳児死亡率は激減した」。9か所の原発の乳児死亡の平均減少率は17.3% だがミシガン州ビッグロック・ポイント原発周辺では42.9%も減少した。Joseph J.Mangano, "Radiation and Public Health Project"
 (4)ジェイ・M・グールド博士やアーネスト・J・スターングラス博士らによる乳がん死亡リスクの調査で、「1950年以来の公式資料を使って、100マイル(160km)以内に核施設がある郡と無い郡で、年齢調整乳がん死亡率を比較し、核施設がある郡で有意に乳がん死亡率が高い」という調査結果が出たのである。「乳がん死亡率の高いところの分布」は、「米国の核施設の分布」にほぼ一致する。Jay M. Gould著、肥田 舜太郎、齋藤 紀訳『低線量内部被曝の脅威』緑風出版(2011年)第7章、第8章、図1は217ページ。
 (5)アメリカ・イリノイ州シカゴ近くの原発周辺で、子どもたちのガンや白血病が増えていたという内容が伝えられた。小児科医のジョセフ・ソウヤー氏の報告によれば、シカゴ近くのブレイドウッド原発とドレスデン原発の周辺では1997年から2006年の10年間に、白血病や脳腫瘍が、それ以前の10年間に比して1.3倍に増加し、小児ガンは2倍に増えていたという。そしてその後、これらの原発が、2006年までに10年以上にわたり、数百万ガロン(1ガロン=3.785リットル)のトリチウムを漏洩してきたという文書が当局により公開されたのである。Joseph R. Sauer, "Health Concerns and Data Around the Illinois Nuclear Power Plants"
 (6)2007年12月にドイツの環境省と連邦放射線防護庁が、「原発16基周辺の41市町の5歳以下の小児がん発症率の調査研究(KiKK研究)結果」を公表した*。その結果は「通常運転されている原子力発電所周辺5km圏内で小児白血病が高率に発症している」というものだった(表1-3)。

表1-3 「KiKK研究」における5匏のオッズ比


*ドイツ・連邦放射線防護庁の疫学調査報告「原子力発電所周辺の幼児がんについての疫学的研究」。
原題は、Epidemiologische Studie zu Kinderkrebs in der Umgebung von Kernkraftwerken
原子力資料情報室 澤井正子「原子力発電所周辺で小児白血病が高率に発症
−ドイツ・連邦放射線防護庁の疫学調査報告」


 (7)フランスでは、「フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の科学者研究チーム」が、2002年から2007年までの期間における小児血液疾患の国家記録をもとに、フランス国内の19ヵ所の原子力発電所の5km圏内に住む子どもたちの白血病発生率を調べた。結果は「原発から5km圏内に住む15歳以下の子どもたちは、白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高い」というものだった。しかし、「原因は不明」とされている。
ルモンド紙 2012年1月12日 (要約「フランスねこのニュースウオッチ」)
 (8)2002年3月26日、「イギリス・セラフィールド再処理工場の男性労働者の被曝とその子どもたちに白血病および悪性リンパ腫の発症率が高いことの間に強い関連性がある」という論文が『インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー』誌に掲載された*。この研究の結論は、「セラフィールド再処理工場のあるカンブリア地方の白血病および悪性リンパ腫の発症率に比べて、再処理労働者のうちシースケール村外に居住する労働者の子どもたちの発症リスクは2倍であり、さらに工場に近いシースケール村で1950〜1991年の間に産まれた7歳以下の子どもたちのリスクは15倍にも及ぶ」というものである。


*H. O. Dickinson, L. Parker, "Leukaemia and non-Hodgkin's lymphoma in children of male Sellafield radiation workers", International Journal of Cancer, vol.99,2002: pp437-444
原子力資料情報室通信339号 上澤千尋「セラフィールド再処理工場周辺の小児白血病リスクの増加 父親の放射線被曝の影響を再確認」(2002年8月30日)


 (9)糖尿病などの非がん性疾患にもトリチウムが関与している可能性の指摘。内科の臨床医児玉順一氏(埼玉県)によって、トリチウムと糖尿病の関連が指摘され、トリチウムが、がんや遺伝性の疾患ばかりでなく、非がん性の疾患にも関与する可能性が示された。児玉氏は六ヶ所村再処理工場からのトリチウムの排出で、青森県の糖尿病死亡率が日本一になってしまったことから、その前に約20年間も日本一を続けていた、徳島県と伊方原発の操業と2012年以降の停止との関係から、トリチウム汚染と糖尿病の増加の関係を論じている(図1-6、『放射能から生命と健康を守るお話』記録集 福島の子どもたちを放射能から守るプロジェクト@あおもり発行)。2016年からの伊方の再稼働後、2017年には徳島県は再び1位に返り咲いてしまった(図1-7)。このように児玉氏の仮説は両方向で証明されようとしている。

図1-6



図1-7



 3.処分方法の検討について
 4.風評被害対策の方向性について
 5.まとめ
海洋放出について、国内外の原子力施設において、トリチウムを含む液体放射性廃棄物が冷却用の海水等により希釈され、海洋等へ放出されている。これまでの通常炉で行われてきているという実績や放出設備の取扱いの容易さ、モニタリングのあり方も含めて、水蒸気放出に比べると、確実に実施できると考えられる。ただし、排水量とトリチウム放出量の量的な関係は、福島第一原発の事故前と同等にはならないことが留意点としてあげられる。なお、海洋放出、水蒸気放出のいずれも放射線による影響は自然被ばくと比較して十分に小さい。加えて、風評への影響も踏まえると、いずれの方法でも、規制基準と比較して、なお十分に希釈した上での放出を行うなどの配慮を行うことが必要となる。p40
 このまとめはトリチウムを含む汚染水を希釈して投棄しても生態系を通じて濃縮されるので危険であることを無視しており誤っている。現実に原発や再処理工場周辺で被害が出ていることを考慮していない暴論である。



第2章 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案について
2020年3月24日
東京電力ホールディングス株式会社

 1.トリチウム以外の残存放射性物質の危険性、とりわけストロンチウム90の特別の危険性

 東電の資料は看過できない内容を含んでいる。ここでは、①トリチウム以外の放射性物質とりわけストロンチウム90(Sr90)の汚染水中の含有量とその特別の危険性、②福島で放出されたトリチウム汚染水は広範囲に拡散されず、「バックグラウンドレベル(1Bq/L)を超えるエリアは発電所近傍に限られる」という東電の拡散シミュレーションを検討しよう。

図2-1


 汚染水中のトリチウム以外の放射性核種の含有量について東京電力は具体的なデータを公表していない。基本的なデータもなしに、その放出を議論するのは、国民を愚弄するものである。
 だが、広島原爆の放出量と比較可能なほどの莫大な量のSr90がALPS処理水に含まれていることは、東京電力「多核種除去設備等処理水の取扱に関する小委員会報告書を受けた当社の検討素案について」の10ページにある図から容易に試算することができる(上記図2-1、数値は以下に表2-1として表示している)。
 東電は、図2-1で、ストロンチウム90の基準値(30Bq/L)に対する汚染水で観測された倍率を、「100倍〜」と表記しているだけで、その最大値を明記していない。汚染水タンク中のストロンチウム90について、過去の東電の発表では、これらタンクはSr90について東電の2018年9月28日発表では2万倍(60万Bq/L)、東電の2013年8月のタンク漏出事故についての2014年4月12日発表では、基準の93万倍(2億8000万Bq/L)とされていた。ここではこの2例を使って計算した。
 それによれば、ALPS処理水の中にはおよそ広島原爆放出量(58テラベクレル)の20分1から3分の1程度のストロンチウム90が含まれている可能性が高い。

表2-1 東電の公表しているタンクの告示濃度限度比別のタンク貯留量からのSr90貯留量の試算

注*:これらタンクはSr90について東電が発表した最大2万倍(60万Bq/L)として計算した(2018年9月28日発表)。
注**:東電の2013年8月の事故についての2014年4月12日発表の数字、基準の最大93万倍(2億8000万Bq/L)として計算した。

「〜1倍」のタンクに含まれる汚染水を放出するとしているが、それだけで45億Bqという大量の危険な放射性物質Sr90が環境中に放出されることになる。海の生態系で生物濃縮されることも明らかである。
 このように莫大な量のトリチウム以外の放射性物質が、なし崩し的に放出されてしまう事態は許されない。とくにSr90は、いったん体内に取り込まれると骨に蓄積して容易には排出されず、白血病や骨腫瘍などを引き起こす危険性が極めて高い(名取春彦『放射線はなぜわかりにくいのか』あっぷる出版2013年、209〜213ページ)。
 また、ストロンチウム90は2段階にβ壊変し、まずイットリウム90となるが、イットリウムは膵臓に特異的に蓄積し、そこで2回目の壊変を起こし、糖尿病や膵臓がんを引き起こすリスクが指摘されている(アーネスト・スターングラス氏「放射線と健康」青森講演http://fujiwaratoshikazu.com/2011disaster/、前掲名取春彦氏など)。
 さらには、脳とその機能に対する、自閉症などのリスクも指摘されている(黒田洋一郎/木村・黒田純子氏『発達障害の原因と発症メカニズム』河出書房新社2014年、291〜295ページ)。

 2.汚染水が事故原発周辺で留まり広範囲には拡散しないという東電のシミュレーション

図2-2


 東電はトリチウム汚染水の海洋放出の場合の拡散シュミレーションを公表している(上記図2-2)。その結論は、「バックグラウンドレベル(1Bq/L)を超えるエリアは発電所近傍に限られる」というものである。
 シミュレーションが行われた具体的条件は、年間放出量以外は公開されておらず、放出がどのように行われると仮定しているのか不明である。トリチウムの放出が継続的に行われているのか、ある期間だけに限られているのか、また図の分布は放出開始後どの程度の期間が経った時のものなのか、放出されるトリチウムの濃度はどのレベルなのか(別な箇所で1500Bq/Lと示唆されているがシミュレーションには明記はされていない)などが明らかでない。
 もう1つの不明点は、深さ方向にどの程度広がっているのかが分からないことである。周知のように、海洋の表面付近には、「混合層」と呼ばれる、鉛直方向に水温や塩分、物質などが良く混ざっている層がある。放射性物質が海洋の表層に放出されると、多くの場合はこの混合層の中で深さ方向には一様になって広がることになる。この深さが1mなのか、50mなのか、100mなのかで、海水1リットルあたりの放射性物質の量も変わってくる。混合層は、季節や天候の状況にも依存して変わるので、どのような時期で、どの程度の混合層の深さがあるのかも、結果を理解するためには重要な情報である。
 東電の推計では、濃度区分が「10Bq/L」「1Bq/L」で行われているが、10Bq/Lを超える領域が見たところ無いようであり、事実上「1Bq/L」超か未満かだけの区分とされている。通常よく行われる対数で8分割あるいは0.001Bq/Lまでの細かい区分でのシミュレーション結果(後述図2-6参照)は掲載されていない。これらの情報が記載されていないため、結果を正しく理解して、現下の問題に対する適切な結果であるのかを検討することはできないと思われる。
 東電シミュレーションの検討に入る前に、福島県沖での大まかな海流の流れのモデルをおさらいしておこう(図2-3)。福島沖には強力な南向きの海流(親潮と対馬海流分流)が流れており、千葉県沖で黒潮とぶつかって太平洋方向に流れる。

図2-3


 2019年の台風19号(10月12日上陸)が通過した後の福島県から千葉県沖の13日の衛星写真(読売新聞2019年10月15日、JAXA「しきさい」による、下図2-4)によれば、福島県沖から茨城県沖では、海に流れ出した土砂や泥土により海水が変色し、大きな渦を巻くように南方向に流れていることが見て取れる。これとは対照的に、千葉県の房総半島沖では、強力な北東方向の海流が存在していることが示されている。一番上の濃い大きな泥土の流入が宮城県の阿武隈川、中央部少し上に小さく小名浜港が見えているが、そのすぐ南が鮫川で、ここまでが福島県、中央部下の2本の大きな流入が茨城県の久慈川と那珂川、下方が利根川であると思われる。福島県沿岸に流れ込んだ泥土が大きく南方方面に流れていることがはっきりと示されている。

図2-4


 こうして事故原発の沖合数十キロにおいて強力な南向きの海流が存在していることが確認できる。この衛星画像だけから言っても、トリチウムの「バックグラウンドレベル(1Bq/L)を超える(汚染)エリアは発電所近傍に限られる」という東電のシミュレーションが現実を全く反映していない可能性が高いことがうかがわれる。
 したがって、①仮にこの東電シミュレーションを仮定した場合どのような結論が考えられるのか、②この東電シミュレーションに対してどのような先行研究があるのか、③それらを考慮した場合この東電シミュレーションをどう考えるべきなのか、と考察しよう。
 ①まず、東電の発表に用いられているシミュレーションを行ったと思われる数値モデルに関して、数値モデル自体の設定や結果の精度が、今回のトリチウム汚染水放出の状況をシミュレーションするに十分な能力と分解能を持っており、また適切な条件設定をしていると仮定してみよう。すなわち最初から「シミュレーション結果は到底信頼できない」とまでは言えないと仮定して、どのような結論が出てくるか考えてみよう。
 とすると、汚染水放出の影響は、もっぱら事故原発沖とその近傍の福島県沖に限られ、海洋放出からの陸上への影響も福島県に限られるという結論が出てくる。既に検討したように放出されたトリチウムは、有機結合型トリチウムに転化し、プランクトンや魚や水鳥により濃縮され、けっきょくは福島とその周辺の住民の健康影響として帰ってくるであろう。われわれは②③で述べるようにこれらの影響は南方向に、首都圏に近づく方向に拡散し、結果的には太平洋全体に、南・東シナ海からインド洋方面に広がると考えているが、東電シミュレーションでは、汚染水の海洋放出の影響は、集中的に、福島県民と福島の漁業者に、さらには関連する福島の旅館業や観光業者に帰されることになる。
 つまり、東電のシミュレーションの通りの事態が起こると仮定すれば、東電は、事故放出放射能によってだけでなく、事故処理のための今回の放出によっても、健康影響や被害の大きな部分をもっぱら福島県民にとくに漁業者や観光業者に集中的に加えようとしているということになる。東電が、福島県民や周辺住民に対してであれば、幾重にも被害を与えても何とも思わないかのような、福島県と周辺住民に対する頭から愚弄した態度を、このシミュレーションは表現していることになるのである。
 上で見たように、この東電のシミュレーションは、計算結果を一面的一時的に切り取った作為あるいは悪意の可能性が否定できない。その場合、東電自身が、福島に対する「ウソ」や「風評」を流して福島に対する「風評被害」を自分で拡散しているといわれても仕方がない。実際には、被害は決して「風評被害」だけではなく「実害」なのである。
 ②升本順夫氏(東京大学教授)は、2011年3月の原発事故後の4月末時点について、以下のシミュレーション結果を得ている(「海洋に直接漏洩したCs137の分散シミュレーション」『原発事故環境汚染』東京大学出版会2014年、図2-5)。升本教授のシミュレーションは、東電と同じくセシウム137の拡散をベースとしたものである。升本氏は、いろいろな条件の組合せで、6つのシミュレーション事例を挙げているが、手堅い手法であると評価できる。

図2-5


 東電シミュレーションは、升本氏の「モデル5」のほんの一部だけを切り取っているようにも見える。
 もう一つの福島からの流出放射性物質の拡散シミュレーションは、青山和夫氏らによるものである。これも、東電と同じくセシウム137をベースにしている。それは太平洋全体から南シナ海・東シナ海さらにはインド洋を対象としたもので、下図2-6の通りである(10.Pavel P. Povinec, Katsumi Hirose, Michio Aoyama; Fukushima Accident ― Radioactivity Impact on the Environment; Elsevier 2013, P.251-252)。

図2-6 福島からの汚染水(1PBqあたり)の太平洋表層水における拡大と移動


 もし福島からトリチウム・ストロンチウムなどの放射能汚染水を太平洋に放出すれば、放射性物質はまずは南に、首都圏に近づく方向に流れ、そこで南西方向から流れる強力な黒潮とぶつかって複雑な渦となりながら東に流れ、アメリカ・カナダ東海岸から東南アジア全体を広範囲に汚染することになる。
 青山氏によれば、北太平洋での汚染水の移動速度は「270日間に1800km」とされている(実測値)。とすると、東京・バンクーバー間の距離は約7560kmなので、およそ3年余りで北米大陸沿岸に流れ着く計算になる。青山氏によれば、汚染水はそこからさらに「一部は日本近海に戻るとともに、インド洋から大西洋および太平洋の赤道の東で南に越えて南太平洋に輸送されるであろう」という(青山道夫著「東京電力福島第一原子力発電所事故に由来する汚染水問題を考える」『科学』岩波書店2014年8月号0859-60ページ)。福島の海は文字通り世界の海に通じている。福島で流せば世界の海を汚染するのである。
 青山氏らのシミュレーションによれば、北米大陸西海岸に漂着する予想時期は、2015年であった。NHKニュースは、2015年4月7日、北米西海岸で採取された海水から福島原発事故由来の放射性セシウム(Cs134およびCs137)が観測されたと報道した。青山氏らのシミュレーションがきわめて正確な予測であったことが実際に証明されたわけである。
 東電のシミュレーションは、これらの先行研究やそれに基づく観測事実を全て無視している。
 ③トリチウムの「バックグラウンドレベル(東電によれば1Bq/L)を超えるエリアは発電所近傍に限られる」という東電シミュレーション結果は、放出するトリチウムの濃度を希薄とし、周囲の多くの河川の流入が汚染水拡散に及ぼす影響を恐らくは無視し(上記台風後の衛星写真参照)、深さのパラメーターを適当に選択し、放出後の期間を適当に選択する(恐らくは短くとる)などによって、得ることが可能であろう。だが、東電が、このシミュレーション結果によって海洋投棄されたトリチウム等放射能汚染水が「発電所近傍から拡散しない」と結論づけるとすれば、それは暴論であり、意図的に操作されたシミュレーション結果を使った誤った印象操作であると言わざるを得ない。福島で海洋投棄された放射性物質が、広く拡散し、太平洋全体や一部インド洋までを汚染することは、すでにシミュレーションの問題ではなく現実の事態である。

書籍紹介 斉藤武一著「原発紙芝居」

2020年05月

お薦めしたい本
紹介者 山田耕作



斉藤武一著 「原発紙芝居」

『子どもたちの未来のために−とても悲しいけれど空から灰が降ってくる』

寿郎社出版 https://www.ju-rousha.com/
2013年4月


ISBN978-4-902269-59-8 C0036定価1500円+税 DVD付き



〖ここからダウンロードできます〗
書籍紹介 斉藤武一著「原発紙芝居」(pdf,3ページ,621KB)


 はじめに
 わたしがトリチウムを含む福島原発廃水の海洋投棄反対を全国の皆さんにアピールしている時やICRP勧告案の改定案に反対する共同パブコメへの賛同を募っているとき、放射線被曝やトリチウムに関連して様々の方から斉藤武一さんの市民科学者としての活動と研究成果とその著書について紹介をうけた。特に「アヒンサー」の小田美智子さんにお世話になった。本書はそれらの交流のおかげで手にした斉藤武一さんの著作の中の1冊である。2013年の出版であるから私の調査不足、怠慢で紹介が遅くなってしまった。しかし、その内容は以下に記すように新鮮で時代の最先端であると思う。
 本書の後書きによると福島原発事故以来2013年3月までの2年間で北海道を中心に130回ほどの講演を行ったということである。その時使用された紙芝居を絵本にしてできたものである。

 本書の内容と意義
 本書前半は斉藤さんのふるさと北海道岩内町の歴史と自らの生い立ちの紹介から始まって、保育士としての仕事、反原発に考えを変えた理由・動機が語られる。子どもを含め全ての人間に対する斎藤さんの暖かい心と真摯な生き方が伝わってくる。後半は原発、放射線の危険性が語られる。特に核実験や原発による死の灰の被害が紹介される。大人でも十分読み応え、見応えのある著作である。特に文科省の放射線副読本と対比してこどもたちに読み聞かせたい本であり、紙芝居・DVDである。その意味で本書の存在意義がいっそう増したと考え、みなさんに推薦したいと思った。

 内部被曝に対する警告
 子ども向けの絵本だからといって内容が抽象的で曖昧なわけではない。むしろ具体的でポイントを突いた鋭い教材である。たとえば被曝の危険性に関して言えば、ペトカウ効果を強調して内部被曝の危険性を指摘している。ペトカウ効果というのは、「細胞の膜は高線量の外部照射ではなかなか破壊されないが、内部被曝の形で放射線を持続的に受けると低線量でも簡単に破壊される」という現象である。この現象をアブラム・ペトカウ博士というカナダ原子力公社主任研究員が偶然発見したのである。ペトカウ博士の実験では脂肪の二重層でできた細胞膜のモデルに、外部被曝の形で、高線量の放射線を外部から断続的に照射すると、細胞膜は35,000ミリシーベルトでやっと壊れた。一方細胞膜を放射性の食塩水の中に入れておいたところ、低線量内部被曝の形になって、わずか7ミリシーベルトで破壊された。外部被曝の5000分の1というわずかの放射線量で破壊されたのである。そしてペトカウ博士は細胞膜を破壊するのは放射線の直接作用でなく、放射線によって生じた活性酸素による間接作用であることを明らかにした。斉藤さんはペトカウ博士の発見を紹介し、さらに内部被曝の危険性として具体的に数値を上げて次のように記述している。
 本書80ページに「日本の食品の安全基準を守っていても子ども達を守れません。1日、10ベクレルずつ取り入れたとすると、体重30キロの子どもの場合100日で600ベクレルになります。600を体重30キロで割りますと体重1キロ当たり20ベクレルになります。この20を超えると心臓に異変が起きることをバンダジェフスキー博士は発見しました」。この『長寿命放射性核種体内取り込み症候群』を発見したバンダジェフスキー博士もまたペトカウ博士と同様研究を妨害され、その上アムネスティなどの救出まで5年間無実の罪でとらわれの身となった。このように放射線被曝に関する科学的な真実が隠蔽されてきたのである。ここで斉藤さんの見解に対比して政府復興庁のパンフ「放射線のホント」などに協力してきた東大教授早野龍五氏の被曝評価を紹介したい。
 東大教授であった早野龍五氏は糸井重里氏との対談で、『知ろうとすること』(新潮文庫2014年)という本で(81ページ)「年間5万ベクレルまでというのは、ある意味安全なレベルなんですよ」といっている。とんでもないことである。斎藤さんと早野氏のどちらが科学的であるかは明白である。毎日100ベクレル摂取する(年間36,500ベクレル摂取する)とICRP(国際放射線防護委員会)によると約1年で体内に14,000ベクレル蓄積する。体重60キロの人だと体重1キロ当たり233ベクレル、体重30キロだと466ベクレル蓄積する。これはバンダジェフスキーの『長寿命放射性核種取り込み症候群』で死亡した大人や子どもの死体解剖の結果から測定された多数の死体の各臓器1キロ当たりのセシウム137の蓄積量にほぼ等しい。放射線の内部被曝により、多臓器不全で死んだ大人、子どものセシウム137の蓄積量に近いのである。斉藤さんは被曝死よりも子どもの健康を考えて心臓疾患を紹介されている。「市民科学者」と地元の人たちは呼んでいるそうであるがほとんど独学で斉藤さんは正しく科学的な結論に到達したのである。

 紙芝居・絵本の素晴らしさ
 わたしが本書の価値として重要と思うことは放射線に関する教育教材としての高い価値である。紙芝居の1枚1枚は訴えるべき結論を単純・明快に表現している。写真のように写実でなく絵本として本質を力強く表現している。これは斉藤さんが多くの子どもや父兄と話し合われた結果完成したものと思われる。文科省の放射線副読本などよりずっとわかりやすく説得力がある。ぜひ、学校や図書館で副読本と比較して読まれるべき本であると思う。先述の早野龍五氏も復興庁の「放射線のホント」というパンフ等に協力し誤った安全という情報を伝えている。ぜひ、正しい見解である本書が多くの人、特に子ども達に見て、読んで学習していただきたいと思う。
 なお斉藤さんには「理想の保育園−障害児は神様」「泊原発と肺がん」「自伝『海へ40年』−水温観測物語―」「ラドンとはなんだ」「『がんの村』と『泊原発』」など多数の研究と著書がある。

書籍紹介 荻野晃也著「身の回りの電磁波被曝−その危険性と対策」

2020年04月

お薦めしたい本
紹介者 山田耕作



荻野晃也著 「身の回りの電磁波被曝−その危険性と対策」

緑風出版
2019年4月

http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1907-2n.html



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書籍紹介 荻野晃也著「身の回りの電磁波被曝−その危険性と対策」(pdf,3ページ,230KB)

 一貫して住民とともに歩む科学者
 著者の荻野晃也氏は1963年に京都大学理学研究科修士課程を修了し、京大工学部原子核工学教室教員を定年まで務めた。1973年から開始された伊方原発の認可取り消し住民訴訟の住民側の特別弁護補佐人として、1976年からは「地震の危険性」に関する住民側証人としても奮闘した。原子核物理学の実験が専門であったがほとんど独学で、当時進展中の活断層説に基づく地震学を駆使して原子力推進側の専門家・地震学者の古い地震学を論破した。例えば伊方原発近くに存在する世界最大の活断層である「中央構造線」の危険性を指摘して「地震大国の日本に原発は建設すべきではない」と主張した。残念ながら1992年に原発の危険性を主張する伊方住民の訴えが最高裁で敗訴確定した。その判決の誤りの結果は2011年の福島原発事故として大被害をもたらしたのである。
 伊方判決後、荻野氏は電磁波問題を中心に放射線被曝の危険性を研究し、住民たちの電磁波に対する反被曝の闘争を支持し、理論面での中心として活動してきた。今日の日本では電磁波問題に関する貴重な科学者である。

 電磁波の多様な被曝被害とその科学の進展
 本書の副題に「その危険性と対策」とあるように34章にわたって身の回りの被曝の個々の現場を著者の体験を交えて紹介し、電磁波の科学に基づいてその対策を提案している。この本が多様な被害にわたって議論しているのはそれだけ電磁波が多様な被害を人類に及ぼしているからである。広範な被害に対する最新の科学的な理解が紹介される。p42に次のように書かれている。「いずれにしろ、電磁波の悪影響は遺伝子やタンパク質やホルモンなどが僅かに影響を受け、それが回りまわって色々な影響となって現われるのではないでしょうか。その背景には複雑な過程が存在しているわけですが、放射線被曝でも注目されている『イオン・チャンネル』や『フリーラジカル』『活性酸素』『酸化ストレス』などの効果が電磁波でも重要なキーワードであり、免疫に関係していることは間違いないとわたしは考えています」。電磁波でカルシウムチャンネルなどが損傷されると神経系・認知機能が損傷されるなどイオンチャンネルと電磁波問題も重要である。電磁波過敏症は化学物質過敏症を併発することも多く、患者が急増している。携帯電話、スマホ、携帯電話塔、変圧器、送電線、家電などによる被曝の危険性と対策を解説している。さらに電磁波過敏症やリニア中央新幹線の電磁波問題、軍事用レーダーの危険性まで幅広く議論された実用的な書である。とりわけ最新の電磁波被曝に関する世界の論文まで詳細に検討評価して簡潔に紹介している。荻野氏のたゆまぬ努力と科学者としての卓越した能力を示すものである。

 兜論文をめぐって
 本書を通じて荻野氏は日本における電磁波被曝研究の困難な実状を報告している。その一つの例が国立環境研究所の主任研究員であった兜真徳・博士を責任者とする「兜・研究」をめぐる問題である。(p94)「日本の『兜・報告』は2003年6月に発表されたのですが、わたしの知る限りでは、その内容をメディアとしては週刊誌『サンデー毎日』の2003年7月20日号のみが紹介したのではないでしょうか。表5にあるように、小児急性リンパ性白血病で4.71倍、小児脳腫瘍で10.6倍の増加率でした。『兜・報告』では、送電線から50m以内での小児白血病は『3.08倍に増加』との結果も得られていますが、学術論文になっていなくて、多分、残念なことですが学会発表だけだったはずです。表5にある2006年の兜論文は、小児白血病が2.6倍、小児急性リンパ性白血病(ALL)は4.7倍にもなっています」。「2010年には「兜報告」の小児脳腫瘍の増加論文(斉藤論文で10.9倍に変更されている)も英文誌で発表されています。なぜ日本のメディアはそのような日本の研究を無視するのでしょうか.表5でもわかりますが兜論文以降に発表された小児がんに関する疫学研究の多くが増加を示しています」。
 「この『兜報告』に関しては科学技術庁内の評価委員会が『最低の評価』を下して、その後の研究費の支給を停止し研究の継続を認めなかったのですが、三段階評価(A:良い、B:普通、C:良くない)でなんと全体の評価項目の12項目全てに『C評価』という、今までにも行われたことのないような『酷評』だったことに、わたしは怒りを感じたことでした。『欧米の研究結果と同じような結果だったのに、何故、こんな扱いを受けるのか』と兜博士が嘆いておられたことを小生は思い出します」。
 これは以下のように『疫学結果を採用しない』という国際的な動きの反映でもあったのである。荻野氏は、兜博士の死後に出された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の『新ガイドライン』においても、電磁波被曝の危険性の評価に際して、「疫学研究を考慮せず」熱効果のみしか考慮していないことを強く批判している。当然の批判である。一方、真面目な科学者達の粘り強い研究によって、放射線被曝と電磁波被曝の相乗効果を観測した実験など研究が進展していることが詳しく紹介されており、大変参考になる。。
 このような点で重要な本ではあるが、さらにそれに加えて全体を通じて流れる基本的な考え方、荻野氏の一貫した科学思想がわたしにとっては非常に参考になった。

 ユッカ・マウンテン問題
 例えばP296に「特に、核兵器製造や原発などからでる「放射性物質」を人類から隔離して処分するということは,とても困難な問題でした。人類が今後どれだけの間、被曝し続けても良いのかという生存と関連する大問題であるからです。その典型例が米国の放射性物質の永久処分をめぐる「ユッカ・マウンテン問題」でした。・・・中略。最近になって2008年の米国の環境保護庁(EPA)の法律(40CFR197)で、「1万年後までは年間0.15mSv」で「それ以降は年間1mSv」の規制になっていることがわかりました。いわば1万年後までは自然放射線被曝量の約10分の1に相当する被曝量に規制しているのです。福島原発事故でも同じような「土壌汚染」などの処分が問題になっているのですが、この米国の法律のことはあまり知られていないのではないでしょうか。」と記されている。
 これは私達にとって大変参考になる重要な指摘であると思う。なぜなら、最近反被曝の運動の中で次の議論があったからである。
 昨年2019年ICRPのPublication 109およびPublication 111の改定案のドラフト「大規模核事故における人と環境の放射線防護」が提出され、長期汚染地域で年間10mSvの被曝を参考レベルとして容認することに強い批判があった。その対案として年間1mSv以下という共同パブコメ案の基準を巡って議論が展開された。1mSvという基準値にも子どもや妊婦の感受性の違いを考慮すると高すぎるという批判があった。その意味でユッカ・マウンテンの0.15mSv以下など1桁小さい値がより適切と考えられる。

 第32章 予防原則思想の重要性
 本書32,33章において荻野氏は予防原則の重要性を指摘している。p298に「21世紀のみならず今後1000年間を考えた時のキーワードとして最も重要なのが『予防原則Precaution』思想です。『科学的に不確実性が大きな場合のリスクに対応するため』の原則であり、『危険性が十分に証明されていなくても引き起こされる結果が取り返しがつかなくなるような場合に,予防的処置として対応する』考え方です。・・・中略『危険な可能性がある限り、安全性が確認されるまでは排除しよう』の流れが世界中で広がっています。その典型例が『地球温暖化問題』なのです」。p305「『温暖化理論が100%確立している』わけではありませんが、もし将来本当に直面すれば『地球上に住む人類に危機』が訪れることは明らかです。その時になって『温暖化否定論者』はどのように言い訳するつもりなのでしょうか。『危険性が確定するまでは安全だ』と言い続けるつもりなのでしょうか。その点が原発問題や電磁波問題とも良く似ているようにわたしには思われます。」
 まさに原発問題にも深く関わってきた荻野氏の貴重な言葉である。

 なお、荻野晃也氏は2019年11月に前田哲男、纐纈厚、横田一、櫻田憂子、森上雅昭の方達と「イージス・アショアの争点−隠された真相を探る−」を緑風出版から出版し、イージス・アショア導入問題を詳細に分析し、レーダーから出る電磁波による住民の被曝の危険性などを指摘してその設置を批判している。
http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1920-1n.html


五輪選手に被曝のリスク――今からでも開催を中止させよう 渡辺悦司

2020年01月



五輪選手に被曝のリスク――今からでも開催を中止させよう

市民と科学者の内部被曝問題研究会会員 渡辺悦司

日本消費者連盟『消費者リポート』No.1629 2020年1月20日号 所収



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五輪選手に被曝のリスク――今からでも開催を中止させよう 日本消費者連盟『消費者リポート』No.1629 2020年1月20日号所収(pdf,1ページ,1093KB)
日本消費者連盟から掲載許可を得ています。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催でもたらされる放射線被曝の危険を、国内外に警告しようと共同著作を緊急出版しました。著者・寄稿者は、私が所属する市民と科学者の内部被曝問題研究会のメンバーはじめ、福島や関東からの避難者も加わっています。私たちは、全く報道されない五輪選手への被曝リスクを直視し、今からでも開催を中止するべきと訴えています。

核実験場で競技するに等しい
 福島原発事故の放射能放出量だけから見ても、東京・福島での五輪開催は、ネバダ核実験場あるいはチェルノブイリ事故原発の周辺地域で競技を行うに等しい行為です。過小評価した日本政府推計でさえセシウム137で広島原爆の168発分に相当するのです。福島原発事故によって広く拡散された不溶性放射性微粒子には特別の危険性(本書推計で外部被曝の約4500倍)があり、1個でも肺内に付着すると長期の被曝リスクがあります。放射線感受性には約100倍もの個人差があり、影響を受けやすい人々が多くいます。東京の水道は現在でも、簡単な浄水器を5カ月取り付けて測定すると400ベクレル/キログラム以上のセシウム(137+134)が測定されています。つまり半年間程で、放射線管理区域レベル(法律の4万ベクレル/平方メートル相当は約615ベクレル/キログラム)の汚染が観測されているわけです。

選手村での食材に福島産を集中
 選手村での食材に福島産を集中的に使用する計画が明らかになっています。加えて、海砂が放射能汚染されている東京湾のお台場で水泳競技を実施し、聖火リレーを事故原発直近で行い、選手村の内装に福島産木材を優先して使い、メダリストに贈る花束(ウィニング・ブーケ)にまで福島産の花を使うことが計画されています。これらにより被曝リスクがさらに加わることになります。台風19号などの洪水では大量の放射能が住宅地や農地に流れ出ました。最低でも広島原爆の7分の1ほどになるでしょう。この土壌と反応した不溶性微粒子が、今後、東北から関東の広範な地域に飛散されようとしています。この洪水により日本近海は、大まかに見積もって広島原爆10発分程度の放射能で再汚染されてしまいました。この海からの再飛散も東京や福島に降り注いでくるでしょう。



政府の嘘を見抜き「予防原則」を適用して
東京五輪は、世界から集まるトップアスリートや観客・観光客を生涯にわたる放射線被曝のリスクに曝す結果になります。私たちは国内外の方に以下のことを訴えています。
● 福島や東京が放射線科学的に「全く安全である」「被曝リスクは一切ない」「被曝しても健康影響はない」という日本政府の宣伝は嘘であり、決して信じてはなりません。
● 白血病・がんなど被曝影響が疑われる病気が、福島・東京および日本全体に現れ深刻化しています。福島・関東からの避難者は、実際に健康影響を体験しています。矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授の試算では事故後7年間で28万人という過剰死が生じています。これらの事実を直視すべきです。



● 五輪の大宣伝と大建設ブームの対極として進められている、日本政府による避難者や被災者への援助切り捨て、政府基準で年間20ミリシーベルトという高汚染地域への住民帰還などの犯罪性について注目を払うべきです。
● オリンピックの短期間であっても福島や東京圏に滞在することがもつ被曝のリスクを正しく認識し、国連や国際機関で広く認められている「予防原則」を適用して参加、観戦を再考するべきです。
● 各国政府・スポーツ団体に対して選手団を送らないように求めます。日本政府に対して東京開催を返上するように要求します。

謝辞:日本消費者連盟『消費者リポート』編集長 杉浦陽子氏のご協力に深く感謝します。あわせて、皆さま、ぜひ日本消費者団体連盟へのご協力もよろしくとのことでした。

新刊紹介
『東京五輪がもたらす危険――いまそこにある放射能と健康被害』
[編著]東京五輪の危険を訴える市民の会
[編集]渡辺悦司
緑風出版刊、216ページ、定価1800円+税




A CRITICAL ASSESSMENT OF THE ICRP SYSTEM FROM A SCIENTIFIC PERSPECTIVE Katsuma YAGASAKI

Dec.2019



A CRITICAL ASSESSMENT OF THE ICRP SYSTEM

FROM A SCIENTIFIC PERSPECTIVE


From a set of social and economic commandments

to a system representing human rights and science



Katsuma Yagasaki

Professor Emeritus, University of the Ryukyus



〖Please download the file of this article from the following link.〗
A CRITICAL ASSESSMENT OF THE ICRP SYSTEM FROM A SCIENTIFIC PERSPECTIVE(pdf,11pages,282KB)

The International Commission on Radiological Protection (ICRP) has arbitrarily introduced many concepts that go against scientific principles. It is not a system founded upon science. A scientific and democratic viewpoint is necessary in order to objectively criticize the ICRP.


§1 The Commandments, Utilitarian Philosophy and Hidden Nuclear Warfare of the ICRP System

(1) Lack of scientific foundations: disregard of definitions and deviation from causality

The ICRP is not a scientific system, but a set of "social and economic" commandments. These labels, borrowed from the international nuclear lobby, are used to mean "not hindering nuclear propulsion" and "not placing a heavy burden on the state and its industry." The meaning of "commandments" here is a set of rules governing nuclear weapons and nuclear power production that have developed into a regulatory system.


Characteristics of the ICRP Commandments
① Physical quantities not used according to the proper definition
② Constructed with arbitrary physical quantities, in defiance of the principles of science and causality
This is not a system based on science.


Brief Explanation
① Not using physical qualities and quantities according to the proper definition is the same as removing the backbone of science.
To expand,
1.   Units of measurement of absorbed dose are limited to "per internal organ/tissue"
2.   Exposure dose is used instead of absorbed dose

② Arbitrary amounts are set in a high-handed manner and in violation of the principle of causality, which is the very pillar of scientific concepts.

The ICRP uses factors such as biological equivalent dose, radiation weighting factor, tissue weighting factor, effective dose and so on to create notions that go against the fundamental principles of science. If one kind of radiation has larger output (damage) compared with the others, ICRP multiplies the actual radiation energy (input) by the radiation weighting factor, and assumes that value to be the energy of that kind of radiation. This multiplied absorbed dose is referred to as equivalent dose.

A causal relationship can be explained thus: An action or stimulus (input) is imposed on a subject. A response to that stimulus arises inside the affected subject. Some phenomenon (output) is observed as a result of this response. ICRP does not apply the logic of "the response arises as a result of the stimulus to the activated subject." The excited internal reaction is not considered on scientific basis and is closed in a black box. Closing this response relationship in a black box means they are using metaphysical formal logic, saying that the damage (output) is large because the radiation energy input is large.

Using this approach, the output of damage to health can be restricted to only the diseases accepted by ICRP: cancer and a few types of tissue damage. It is a way for the commandments of those in power to make the health effects of radiation appear to be less than they are, and these commandments are unfortunately in control of the world.

The ICRP has denounced the description of a causal relationship and made a complete departure from science. The following are some of the physical quantities created high-handedly and in defiance of the principle of causality:
1.   Radiation quality weighting factor, biological equivalent dose
2.   Tissue weighting factor, effective dose (units: Sievert)

These factors are used without clarifying the action of radiation, and the effects on living organisms are closed inside a black box. This black box has made it possible to confine radiation damage to a very narrow range of diseases.

(2) Utilitarian philosophy, which contradicts human rights and democracy

The ICRP's 3 principles of radiological protection (justification, optimization and dose limits) are utilitarian and contradict democracy and human rights. We can think of these principles in terms of comparing risk to life (personal rights) to the business activities of industry.
The principles state the following:

The principle of justification: If the common good is served, then the processes that cause health damage by radiation are justified.

The principle of optimization of protection: Protective activities should be based on social and economic factors and carried out in moderation.

Dose limits: Dosage limits must not be so strict as to hinder industrial activity.

These principles have been accepted by many countries of the world. The first principle, that of justification, can almost be seen as a threat to democracy by the nuclear industry.

Politically, it is a practical policy of nuclear dominance based on the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons. In reality, the treaty enforces the continued promotion of nuclear power plants and the nuclear arms monopoly which they complement, and which is based on nuclear deterrent force.

(3) Hidden Nuclear Warfare

The above-mentioned characteristics of the ICRP system are derived from its purpose of undervaluing nuclear damage, both scientifically and philosophically. This is why Katsuma Yagasaki uses the term "Hidden Nuclear Warfare." This refers to the tactics they use to make exposure seem lower, by disregarding measurements and investigation and by the lack of integrity of their measured values. Another method used is their extremely narrow definition of health effects caused by radiation.

This is illustrated by the following representative examples:

① Although the legal radiation dose limit is set based on the full amount of environmental exposure, the Japanese government follows the ICRP by reducing it to exposure during daily activities, thereby forcing radiation exposure on its citizens.

Japanese laws have been made based on the "Ministerial Ordinance for Commercial Nuclear Power Reactors Concerning the Installation, Operation, etc." This ordinance defines the inhabited "peripheral monitoring zone" as the area in the vicinity of a controlled access location, and any place beyond the exterior of this area where the radiation dose may not exceed a dose limit set by the Minister of Economy, Trade and Industry (Article 2, paragraph 6). This dose limit (effective dose) was set as 1mSv per year (Ordinance paragraph 3).

What is important to note here is that the limit is set on the environmental radiation of the affected area. In addition, the Environmental Radiation Monitoring Guidelines state that "fundamental data on the contaminated environment", which is information provided to many areas, must use the air absorbed dose rate of gamma rays (in Greys per hour or Gy/h).

The calculation method proposed by The Japanese Government for absorbed dose rate, which corresponds to 1 mSv per year, is in clear violation of this guideline. Treating environmental dose as environmental contamination, if one were to simply convert from 1 year to 1 hour, the figure would be a physical amount of 0.114 μSv/h. However, the government does not present the environmental dose, but instead calculates a dose for daily activities, based on the assumption that people spend 16 hours a day indoors and 8 hours outside, and that the strength of irradiation indoors is 40% of that experienced outdoors. This amount is equivalent to 0.19μSv/h, 60% of the environmental dose, which increases to 0.23μSv/h when background radiation rate is incorporated. This value, which does not obey the law, is said to correspond with 1mSv per year.

② Monitoring posts: The systems in place show only half of the dose values measured by Yagasaki and co.

③ While investigation is supposed to be the responsibility of the state, this so-called civilized nation neither conducts investigation nor collects data, thereby abandoning its people. Specifically, "no data" is taken to mean "no data showing damage from radiation," which translates to "there is no damage from radiation." Prime Minister Shinzo Abe's statement at time of the Olympic bid that "There have been no health problems and nor will there be" is a shrewd application of this political strategy.

A detailed explanation of the above points is necessary in order to objectively criticize the ICRP. However, this assessment will focus only on the scientific side of the issues.


§2 Physical quantities not used according to definition

Definition of absorbed dose
To begin with, the definition of absorbed dose is as follows:

D = dE / dm

Where D is the absorbed dose and E is the amount of energy transferred by radiation to mass m. The formula calculates the ratio of infinitesimal energy to the infinitesimal mass to which the radiation is transferred. Absorbed dose is defined as the absorbed energy transferred to an infinitesimal mass (ICRP recommendation, 1990).

① Using "per type of internal organ/tissue" as a unit of measurement: selling internal exposure short

It was announced at the same time in the same recommendation that "per type of internal organ/tissue" would be used as a unit of measurement.

★For external irradiation, for which ionizing action is distributed over a wide range, as well as Potassium-40 irradiation, the exposure expands to affect the whole body. In these cases, per-organ measurements can be used to approximate the level of exposure.

★As for internal irradiation, especially that brought about by particle radiation, the ionization is concentrated and the range of alpha and beta rays is short, which means that radiation exposure is focused on certain areas and the majority of cells are not ionized. First of all, it can be shown that derivation is not carried out as defined, based on the spread of ionization in internal radiation.

Measuring per organ results in a very large calculation denominator for non-irradiated cells (those that do not undergo ionization) as well as an extreme underestimation of the high-dose radiation in the areas surrounding the ionized microparticles. The ICRP states that cancer originates from the division of individual cells with DNA anomalies. This self-produced definition functions as a red herring to obstruct the real conditions of cancer outbreak and divert attention from the dangers of internal irradiation. Furthermore, by saying that external and internal irradiation are the same thing, they are trampling on their own definition.

★Also regarding internal radiation, water-soluble radiation (in which decomposition to single atoms occurs) permeates throughout the body, circulating via blood and lymph, in keeping with biological half-life. There is also chemical/physiological affinity, which is not in accordance with biological half-life. Insoluble radiation, where particles accumulate in one area of the body, is different to soluble radiation in that it is disproportionately higher in the organs. In the case of soluble radiation, organs with large blood flow are continuously exposed to high-level radiation, but even this effect is covered up.


§3 Absorbed dose replaced with exposure dose

Units of exposure dose are modified to match absorption dose

By estimating effective dose from phantom measurements, everything is replaced with irradiation (surface exposure). While creating their own definition of absorbed dose, the ICRP system replaces every instance of absorbed dose with surface exposure.

Humans, mice and cultured cells vary in thickness, so even with the same amount of surface exposure their absorption doses will vary greatly. Smaller organisms show lower absorption doses and higher leakage doses. This results in gross overestimation of absorbed dose in cell culture and animal experiments, and factors such as the threshold amount of remaining unrepaired DNA are elevated by several orders of magnitude. Consequently, the effects of low-dose radiation are ignored. Organizations like the ICRP and UNSCEAR are neglecting important scientific facts.

As illustrated in Figure 1, absorption dose is the amount subtracted from radiation exposure to give transit dose (the amount that passes through the other end). When measuring absorption dose in an experiment, the measuring instrument is placed in front of and behind the blue object, and the difference between those measurements is the absorbed dose. However, in today's experiments, the instrument is placed at a location corresponding to the depth from the surface of the phantom model to the organ, starting with 1cm of equivalent dose. The dose measured is recorded as the effective dose of the organ. Although it would be more appropriate to call this measurement the exposure (surface dose) received by the organ, in these experiments effective (absorbed) dose is equated with surface dose. Factors such as the thickness of the organ are not being taken into account, and all exposure is added into the absorbed dose. In this explanation, the phantom model is an anatomical model of the human body used to estimate the effects of radiation on humans.




The actual absorbed dose is just a percentage of the radiation dose. The same can be seen with the dose evaluation of the victims of the atomic bombings. All the initial radiation at the site of the nuclear chain reaction was calculated using distance from the blast, and this attained dose (the dose that reaches the body) was taken as the absorbed dose. While they did take into account the fact that people who were in the shadows of buildings were shielded from the blast, all external exposure was used as absorbed dose.

The differences between the effects of external irradiation (gamma rays and neutron radiation) and internal irradiation (alpha, beta and gamma rays) were completely ignored, and internal exposure was calculated on the same scale as external radiation. The radioactive fallout, which caused internal exposure, was measured (disregarding what was washed away by heavy floods) and reported to be a small enough dose as to pose no threat to health. The results of animal and cultural cell experiments are also discussed only in terms of radiation exposure.

A perfect example of confusing exposure and absorbed dose can be found in the research of Shun'ichi Yamashita's group: Effects of Low-Dose Radiation on the Induction and Exclusion of DNA Damage (Masatoshi Suzuki et al, Nagasaki University School of Medical Sciences Journal 87, 239 (2012)). The research is described as being performed by cultivating cells on sterilized cover glass and exposing them to X-rays with a dose rate of 200mGy/min.

In the discussion, they say:

"In examining the effect of radiation exposure on DNA damage, even as low a dose as 100mGy was clearly found to cause DNA damage."

"At a level of 100mGy, before 6 hours had passed the majority of DNA damage was gone. Further, within 24 hours it was observed that the cells had returned to their original condition from before the exposure. Of course, as there were foci present from before the exposure, it is difficult to determine whether or not all the radiation-induced DNA damage had been removed. However, from the fact that the ratio of focus-positive cells and the number of foci near the cell nuclei had returned to their original states, we have shown, with the results of not just simple numerical analyses but also qualitative analyses, that it is correct to say that radiation-induced DNA damage was completely repaired and removed.

From the above-mentioned results, we conclude that DNA damage caused by 100mGy low-level radiation is at a level that cells can handle. So, what level of radiation is too much for cells to deal with? In the results of this experiment we confirmed that above 250mGy of radiation exposure there was residual DNA damage that was not repaired after 24 hours. Observing the movement of DNA repair, it was seen that even after 24 hours there was a slight decrease in the amount of DNA damage. Even taking that into account, it was clear that DNA damage caused by 250mGy exposure cannot be fully repaired. Therefore, the lower limit of radiation exposure where cells can handle DNA damage is higher than 100mGy but lower than 250mGy."

In this discussion there is no distinction between exposure and absorbed dose, as the only expression used is "low radiation exposure level of 100mGy." This expression is a reflection of the true nature of ICRP's dose evaluation.

Assuming that the half-value layer was 100ml and the thickness of the culture fluid was 1mm, we can estimate the dose absorbed by the culture fluid. The result is that the absorption dose at which DNA damage was almost entirely repaired was not 100mGy but 0.69mGy, and the dose at which all DNA damage could not be repaired was not 250mGy but 1.73mGy. Incidentally, the half-value layer is the distance at which the strength of the introduced radiation is halved.

The following equation calculates the strength of radiation when moving a distance 1 through a single material:
N(l)=No e-(log2/L)l

where
N(l) is the radiation strength after passing through a distance l , and
No is the radiation strength at the point of insertion in the substance.
If we assume the length of target substance is l, the absorbed radiation Nabsorb is as follows:
Nabsorb =No - N(l)

We need to evaluate the value of Nabsorb for absorbed dose.
Narrowing down the focus to absorbed dose, the conclusion should not be "at 100mGy all DNA damage is recovered" but "at 0.69mGy all DNA damage is recovered," and not "at 250mGy DNA damage is not fully recovered" but "at 1.73 mGy DNA damage is not fully recovered."

The problem lies with taking the whole dose that the cells cultured on top of the cover glass were exposed to and making it the same thing as the absorbed dose. The majority of the rays would go right through the extremely thin cell layer and out the other side. The amount of energy applied to the cells by ionizing the cell organization (energy counted into absorbed dose) is exceedingly small, but this team is using the erroneous ICRP idea that the energy of the radiation coming out the other end is also "absorbed."

They consolidated their experiment's results thus: that 24 hours after exposure to 100mGy of radiation all of the DNA damage was repaired, and that at 250mGy of radiation exposure the damage repair was not perfect and damaged cells still remained. However, their values of 100mGy and 250mGy as effective dose are a gross overestimation. Taking total exposure as effective dose is an outrageous error, but one that is part of ICRP's "resolutions" and is inevitable to occur as compelled by the ICRP system.

A more accurate calculation instead yields values of 0.69mGy and 1.73mGy, respectively. When they say that "below 100mGy all damage was repaired" it should actually be "at an absorbed dose of 0.69mGy all damage was repaired." Likewise, instead of "at 250mGy DNA damage was not all repaired," they should say that "at an absorbed dose of 1.73mGy there was remaining DNA damage."

A Swiss study performed on over 2 million children below the age of 16 examined the link between background radiation and childhood cancers. In the study they report the cancer hazard ratio as 1.04 per 1mSv of cumulative dose (Spycher BD et al., Environ. Health Perspectives, 123, 622-628 (2015)). The aforementioned research of Suzuki et.al. endorses the results of this study.

The results of correct scientific processing are proof that even at a level of 1.7mGy, unrepaired genetic anomalies persist and can be linked to carcinogenesis. In this way, the physical application of their self-defined "absorbed dose" is consistently and systematically flawed. As in the above example, where although DNA damage persists at an absorbed dose of less than 2mGy, they instead come to the false conclusion that 100mGy is safe because there is no remaining DNA damage.

Likewise, saying "Below 100mSv is safe" has no scientific basis and is an outrageous claim. Not only Yamashita Group, but almost all animal and cell culture experiments use this technique. Threshold levels and the radiation dose at which the causes of "harmful tissue response" and "stochastic effect" start to appear are deduced excessively. In the above experiment, threshold dose and so on are estimated at 150 times higher than they should be, and the result is that there are now campaigns featuring the claim that low-dose radiation is safe and harmless.

Because of this manipulation, an immeasurable amount of "harmful tissue response" and "stochastic effect" owing to damage brought about by low-level radiation has been ignored or underestimated, and countless victims have been discounted.

For more information, please read the article below (Japanese only).
https://www.sting-wl.com/yagasakikatsuma19.html


§4 Destruction of the principle of causality, removing the backbone of science

① Radiation weighting factor (1990 and onwards), biological equivalent dose

When an object is subjected to a stimulus, a reaction occurs in that object in response to the stimulus, and as a consequence of that reaction (a result of receiving the stimulus), some phenomenon is observed. The stimulus described here is an action that forms the cause of the phenomenon (result). In data processing terms we would call this the "input." As such, the phenomenon that results from the stimulus (i.e. the result brought about by the action to which the object is subjected) would be called the "output."

The scientific approach is to discuss the relationship between the response and the result, and to represent the principle of causality. The ICRP system fails to apply this most fundamental logic.

To explain biological equivalent dose: supposing damage from alpha rays was 20 times that of beta and gamma rays, then the radiation energy of the alpha rays would also be 20 times larger. So, if the actual radiation dose of alpha rays was 1mGy, then multiplying by 20 gives 20mSv, which is biological equivalent dose. A radiation weighting factor of 20 means a "biological equivalent dose" of 20 times the radiation energy, based on the fact that alpha rays cause extensive health effects. "Biological equivalent dose" is an imaginary physical quantity.

This ignores the principle of causality. While this expression may be useful in the medical field and so forth, the radiation weighting factor ignores the mechanisms and responses inside the object (organism), and uses a single value to express the fact that energy was large, which is entirely unscientific.

Saying that a large output occurs simply because of a large input is the same as enclosing the organism's response process inside a black box. By doing so, limiting the output to cancer greatly underestimates the adverse health effects of radiation and provides the system with a scientific smoke screen, going against the principle of causality. This scientific smoke screen continues with quantities such at the tissue weighting factor. This is part of the ICRP's imperial domination.

② Tissue Weighting Factor (1990 and onwards)

Essentially, tissue weighting factor is set according to the incidence of cancer and was created with the reasoning that effective dose could be divided between the tissues.

The idea of dividing absorbed dose amongst organs by way of tissue weighting factor shows another of ICRP's arbitrarily composed, mysterious physical quantities. It is the same kind of error as if we were to add the population densities of each prefecture and claim the result as the population density of the whole country. It is not a scientifically rational physical quantity.

Absorbed dose is a quantity defined (and derived) thus: energy from irradiation is divided by the mass which absorbed that energy and then normalized. If you take the absorbed energy and mass of each tissue and add it up you get the absorbed energy and mass of the whole body (extensive variable). However, absorbed dose cannot be calculated in the same way (intensive variable). This is the same as the population density example above.

Further, calculating effective dose by multiplying the actual absorbed dose by tissue weighting factor brings about a considerable underestimation. This is the second of ICRP's cheap tricks.

Calculating "effective dose" by this outrageously arbitrary composite restricts the effects of irradiation to cancer only, and serves as the culmination of ICRP's imperial deception, designed to play down the scope of damage. An "imperial deception" idea means that the ICRP possesses an imperial-like controlling power, which it uses to force its illogical ideas on the public.


③ The unit called "Sievert:" Terminology that runs counter to science's fundamental spirit of rationality

The unit called "Sievert" is used for fictional physical quantities that arbitrarily modify absorbed dose on several levels. The first of these is biological equivalent dose, which is radiation quality weighting factor added to the strength of radiation energy.

The second is effective dose, which is obtained by dividing absorbed dose among the internal organs according to tissue weighting factor. The ICRP systematizes the underestimation of damage by limiting the assessment adverse health effects to cancer only, making it a system that is not up to the standards of science.


§5 In Supplement

(1) The ICRP's 3 principles of radiological protection serve as a system whose anti-democratic doctrines defy human rights and justify the existence of the nuclear industry.

For example, the first principle, "justification," certainly claims that loss of life due to radiation can be forgiven if it works in favor of the public good. To put it frankly, this is a societal justification for murder via radiation from nuclear power stations, and part of the nuclear industry's defensive "so-what" attitude.

(2) By standardizing the units of absorbed dose and exposure, many of their concepts can be applied in various areas, as is convenient for the country and nuclear power companies. The first and foremost of these applications is the use of "effective dose" to claim that the low numbers shown on glass badges are valid.

Radioactive contamination and the doses shown on monitoring posts are defined in legal terms as "amounts expressing the contamination of the region" and "atmospheric absorbed dose." Regardless, the calculation of exposure from daily activities (16 hours spent inside and 8 hours outside, and so forth) was introduced, which greatly undervalues the amount of irradiation. Further, the monitoring posts set up both within and outside Fukushima prefecture only reflect half the absorbed dose to which the citizens are being exposed. Considering these facts, we can say that the ICRP system does not exist to protect citizens (against radiation) but rather to provide a full-scale smoke screen to hide the damage caused by radiation.

ICRP体系を科学の目で批判する  矢ヶ克馬

2019年12月



ICRP体系を科学の目で批判する

―社会的・経済的戒律から人権と科学の体系へ―

矢ヶ克馬




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ICRP体系を科学の目で批判する(pdf,9ページ,246KB)


 科学の原理に悖る諸概念を恣意的に導入している国際放射線防護委員会(ICRP)体系は科学としての柱が立っていない。国際原子力ロビーの用語を借りると「社会的・経済的」戒律である。ICRP体系を客観的に批判するには、科学と民主主義の観点が必要である。

§1 ICRP体系の戒律、功利主義哲学、知られざる核戦争
(1)科学の柱が無いー定義の無視と因果律からの逸脱―
ICRP体系は「社会的・経済的」戒律であり、科学体系ではないのである。(ここで、社会的・経済的という言葉は国際原子力ロビーの特殊用語であり、その意味は「核推進を妨げないように、国や産業に大きな負担を掛けないように」という意味である。「戒律」は核兵器・原発推進権力によって支配体系化された「決まり」という意味である。)


ICRP戒律の特徴
①物理量を定義通り使わないこと、
②科学・因果律を否定した恣意的物理量で組み立てられていること、である。
根本において科学体系でないのである。


(概略説明)
①物理量を定義通り使わないことは<科学の背骨を抜き去る>ことである。
   その内容は:
       1.計測単位を「臓器ごと」に固定すること
       2.吸収線量を照射線量で置き換えること
②科学概念の中枢である因果律を否定した恣意的物理量が設定されている
      ―放射線加重係数、生物学的等価線量、組織加重係数、実効線量等―

 用いる概念が科学の基礎原理「因果律」を破壊している:出力(被害)が大きいことを入力(放射線エネルギー)が大きいことに置き換えている。

因果関係とは「対象に対して作用:刺激(入力)があり、作用された対象の中で刺激に応じて反応が生じ、反応に応じた現象(出力)が生じるという関係である。ICRP体系は「作用された対象の中で刺激に応じて反応が生じる」という対象内での躍動的変化を科学として探求せず、ブラックボックスに閉じ込める。反応関係をブラックボックスに閉じ込めることは、出力の多寡を形而上学的形式論理で「出力が大きいことは入力が大きいこと」に置き換え、被害が大きいことを入力放射線のエネルギーが大きいこととして扱う。
この様に取り扱うことにより、出力として健康被害を彼らの認めるがんと少数の組織的被害だけに閉じ込めることが可能となった。権力支配の「戒律」による被害の矮小化である。健康被害の多様性と量の多さを封じ込める「戒律」が、残念ながら、世界を支配しているのである。



ICRP体系は「因果関係」の記述を放棄し完全に科学から逸脱しているのである。
因果関係を破壊しているICRPの恣意的物理量が以下のものである。
       1.線質加重係数・生物学的等価線量
       2.組織加重係数・実効線量 単位シーベルト
これらは放射線の作用を解明せず生命体の反応をブラックボックスに閉じ込めることが前提となっている。ブラックボックス故に放射線被害を極めて狭い疾病範囲に閉じ込めることが可能となったのである。

(2)哲学が功利主義であり、その主張するところは「人権と民主主義」を否定している。
 ICRPの防護3原則(①正当化 ②最適化 ③線量限度)は人権と見主主義を否定する功利主義である。リスクすなわち命に係わる「人格権」と産業の『営業活動』を比較し、公益が上回るならばその放射能被害をもたらす活動が正当化できる(正当化)、社会的経済的基準で防護活動をほどほどにすればよい(最適化)、産業活動がし難くなるような厳しい基準は作らない(線量基準)というものだ。それを世界各国が受け入れているのである。特に第1原則「正当化」はまさに「核産業の民主主義への挑戦状」となっている。
 政治的には「核拡散防止条約」に基づく核支配の実践的ポリシーである。「核拡散防止条約」は核抑止力による核兵器独占体制とそれを補完する原発推進の強制装置である。

(3)「知られざる核戦争」ICRP体系の上記の特徴は核被害を「科学的に」また「哲学的に」過小評価するところを目的とするところから派生しており、矢ヶ克馬はこれを「知られざる核戦争」と呼んできた。それは調査・測定の放棄であり、測定値の節操無き「低線量に見せかける操作」である。また、放射線の健康被害を極めて狭い範囲に閉じ込めてきた操作でもある。
それは例えば以下のところに象徴的に現れている。  
①環境量を生活量に(線量制限の法律は環境量。ICRP支配は被曝強制策として生活量に変えている)

「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」の規定に基づく線量限度等を定める告示 によれば、住民の居住する「周辺監視区域」とは、「管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が経済産業大臣の定める線量限度を超えるおそれのないものをいう(規則第1条)。」その線量限度は(実効線量として)「一年間につき一ミリシーベルト(1mSv)」と定められている(告示第3条)。

 ここで重大なことは線量限度が設定されているその線量は地域についての環境量としての線量である。また「環境放射線モニタリング指針」によれば、「汚染環境の基礎データとして諸方面に情報を提供するもの」としてガンマ線の空気吸収線量率(グレイ毎時[Gy/h])をもちいることが規定されている。
これに明らかに違反しているのは、年間1mSv に対応する吸収線量率である。環境量として(環境の汚染として捉えるならば)単純に1時間を1年に換算せればよく、それは 0.114μSv/h という値が対応する物理量である。しかるに政府は環境量を 示すことは一切せず、屋内に16時間、屋外に8時間という仮定上の生活量に変えて環境量の60%にあたる 0.19μSv/h (自然線量率込で表示すれば0.23μSv/h) を年間1mSvに対応させているのである。

②モニタリングポスト
  矢ヶらの測定によると実際量の半分しか表示しないシステムが配置させられている。
③国の責任において調査すべきを「調査しない・データを取らない」という文明国としてあるまじき棄民を行っている。すなわちデータが無いことは被害を裏付ける証拠が無いとして「被害は無い」ことにされるのである。安倍首相のオリンピック誘致の際の「健康被害は一切ない」はこの政策の見事な適用である。

 ICRPを客観的に批判するには以上の観点からの詳述が必要であるが、ここでは科学的問題点のみに限定する。


§2「物理量を定義通り使用しない」
<吸収線量の定義>まず吸収線量の定義から確認しよう。
     D=dE/dm 
  (Dは吸収線量、Eは質量mに吸収されたエネルギー、式の意味は微小質量dm当たりの放射線が与えた微小吸収線量dEの割合が吸収線量Dです、と説く。)
吸収線量は微小質量で受け取る吸収エネルギーと定義される(1990年ICRP勧告)

 ①計測単位を「臓器ごと」とする―内部被曝の切り捨て
 同時に同勧告は運用上「臓器ごと」を計測単位とすることを宣言している。
 *広範囲に電離作用が分散する外部被ばくやカリウム40の被曝は全身にわたって被曝領域が展開する。これらは臓器ごとの計測で現実の被曝状況が近似できる。
 *内部被曝では、特に放射性微粒子による被曝状況は放射性微粒子周囲に「電離」が集中しアルファ線とベータ線は短い飛程のために局所集中的な被曝を与え、大部分の細胞は電離を受けない。内部被曝の電離の展開に基づく定義通りの導出を避けていることをまず指摘する。
 臓器単位にすることは膨大な非被曝(電離を受けない)細胞を計算分母に加えて微粒子周辺細胞の高線量被ばくを極端に過小評価することとなる。ICRPは「がんの発生は単一の異常DNAを持つ細胞の細胞分裂から始まる」としており、自ら定義するがん発症の条件が自らの定義で見えなくさせられている。内部被曝の危険を見えなくする目くらましである。
 「内部被曝は外部被ばくと同じ」とするICRPは自らの定義を踏みにじっている。
 *内部被曝の場合、水溶性(原子1個1個に分解)の被曝は全身に及ぶ(血液やリンパ液に乗り全身循環⇒生物学的半減期に従う) + 化学的生理学的に臓器に親和(生物学的半減期に従わない)場合と、不溶性(微粒子のままで体内の一か所に留まる)の被曝は水溶の場合と異なり臓器に偏る。水溶性の場合でも血液が集中する臓器の継続的多量被曝が全く見えなくさせられている。

§3 吸収線量を照射線量で置き換える
 *照射線量の単位を吸収線量に合わせる

 ファントムにおける実効線量測定概念は全て照射(表面線量)で置き換えられている。ICRP体系自体が吸収線量を定義しながら全て表面線量で置き換えられている。
 人間、マウス、培養細胞等で厚さの異なる被射体は同一照射線量でも吸収線量は極端に異なる(薄いほど吸収線量は低く、漏えい線量が多くなる)。
 ICRPでは、漏えい線量をも吸収線量に加えているのである。
結果として、培養実験、動物実験等の吸収線量見積りに巨大過大評価を与え、DNAが修復されずに残る閾値などが数ケタもつり上げられる。その結果、低線量被ばくの無視 (ICRPやUNSCEARは重大な科学的到達点をネグレクト)

 図1に示すように、吸収線量は照射線量マイナスの透過線量(背後に通り抜けた漏えい線量)である。実験的に吸収線量を計測するには青色物体の前後に計測器を置いて測定し、その両者の差を吸収線量とすべきである。しかし現行では、1兩量当量をはじめとして、実効線量は臓器あたりの線量を求めるためにモデルファントムの表面から臓器までの深さに相当する場所に測定器を置いたとして、その測定器の線量を臓器の実効線量とする。まさに臓器に対する照射線量(表面線量)である。照射線量を測らせて「実効線量(吸収線量)」としているのだ。臓器の厚さなどは問題にされずすべて照射線量を持って吸収線量とするのである。ここでモデルファントムとは放射線の人体影響を見積もるための人体模型である。


図1 照射線量・吸収線量・透過線量。青色部分が今注目する生命体を表す。透過線量(漏えい線量)は生命体に何の電離も与えない。吸収線量を計測するには青色物体の前後に計測器を置いて測定し、その両者の差を吸収線量とすべきである。

 正確な吸収線量は照射線量の何%かに過ぎない。しかし、原爆被爆者の線量評価についても、核分裂連鎖が生じた場所からの初期被ばくは一切が、爆心地からの距離により到達線量が計算され、到達線量がそのまま吸収線量とされた。
 建物などの影にいた人は遮蔽が考慮されたが、すべて、外部被ばくについては照射線量が吸収線量として用いられた。
 そこでは、外部被ばく(ガンマ線と中性子線)と内部被ばく(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)の放射線による効果の違いがまったく無視され、外部被ばくと同じ尺度で計算対象とされた。内部被曝の元となる放射性降下物は測定の名において(大洪水に洗われたことを無視して)「健康被害を与えるに値しない少量である」とされた。
 動物実験や細胞実験・培養実験等においてもすべて照射線量で結果が論じられている。

 照射線量と吸収線量無分別の典型的な例として、山下俊一氏グループによる研究:
 鈴木正敏ら:『低線量放射線被ばくによるDNA損傷の誘導と排除』(長崎医学会雑誌87239(2012))がある。
 実験方法は滅菌カバーガラス上に細胞を播種し、X線200mGy/分線量率照射などと記述している。
 彼らは考察で、

「放射線被ばくによるDNA損傷の誘発を調べると、100mGyという低線量放射線でも明らかにDNA損傷の誘発があることが確認できた。」「100mGyでは照射6時間後までに大半のDNA損傷が除去され。 さらに、照射24時間後までには照射前の状態にまで戻ることが確認できた。 もちろん、 照射前からフォーカスが存在していることから、 放射線被ばくによって誘発されたDNA損傷が全て排除されたかどうか判断するのは困難であるが、フォーカス陽性細胞の割合や細胞核あたりのフォーカス数も照射前の状態に戻っていることから、 単に数的な解析だけでなく、 質的な解析の結果も、 放射線により誘発されたDNA損傷が全て修復され排除されたと考えることが妥当であることを示している。
以上の結果から、 lOOmGyの低線量放射線被ばくによってできるDNA損傷は、細胞が対応できるレベルの範囲内であると結論づけた。
それでは、 細胞が対応できないレベルの放射線線量はどの程度なのであろうか。 今回の結果では、 250mGy以上の放射線照射では、照射24時間後でも残存するDNA損傷が存在することが明らかになった。
DNA損傷修復の動態を見ると、 照射24時間後以降でも若干のDNA損傷数の減少が見られるが、 それを考慮しでも、250mGyによって誘発されたDNA損傷は全て修復できないことが明らかである
 したがって、 細胞が対応できる放射線のレベルの下限は、 100mGyよりも大きく、 250mGyよりも小(である)

 と述べている。ここの考察で「照射線量」との明記はなく、「100mGyという低線量放射線」という表現しかない。この表現はICRPの線量評価の実態をよく反映している。半価層が100个箸掲殕椡佞慮さを1个伐渉蠅靴毒殕椡佞傍杣される線量を求める。その結果はほぼ完全に「DNA損傷修復」がなされた「吸収線量」は100mGyではなく0.69mGy、損傷の全ては修復できないとする線量は250mGyではなく1.73mGyということになる。
 ちなみに半価層とは入力した放射線の強度が半分になる距離である。
 単一物質中を距離l進んだ時の放射線強度は次式で与えられる。
N(l)=N0 e-(log2/L)l
N(l):距離 l を通過するときの放射線強度
N0:物質層に突入するときの放射線強度

 吸収線量に焦点を絞って表記すると「100mGyではすべて修復し」ではなく「0.69mGyではすべて修復し」、「250mGyでは損傷は修復できない」のではなく、「1.73mGyでは損傷が修復できない」とすべきなのである。

 問題はDNAの損傷を実験したとする「カバーグラス上の播種された細胞」に照射した線量を「吸収線量」としていることである。極めて薄い層である細胞に照射した放射線は大部分が突き抜けて背後に出る。細胞組織を電離して細胞にエネルギーを与える量(吸収線量に数えられるエネルギー)は極めて小さいのであるが、彼らが用いているICRP的方法の誤りは、背後に通り抜けた放射線の持つエネルギーをも「吸収された」仲間に入れられてしまっているのである。
 彼らは100mGYの照射では24時間後にはすべての細胞に与えられた損傷が修復されたが、250mGyでは損傷の修復が完璧ではなく、修復されない細胞が残ったと実験結果を整理している。しかし彼らが100mGyおよび250mGyと言っている実効線量は大変な過大評価をしている。実効線量として位置付けるのは飛んでもない過誤であるが、この過誤がICRPの「約束ごと」でありICRP体系から強制される必然的な過誤なのである。
 きちんと計算してみると0、69mGyおよび1.73mGyの吸収線量となる。彼らが言う「100mGy以下ではすべての損傷は修復された」のではなく、実は。「0.69mGyの吸収線量ではすべて修復された」とすべきである。「250mGyではDNA損傷が修復しきれなかった」のではなく、「1.73mGyの吸収線量では修復されないDNAが残存した」というのが彼らの実験の真相なのだ。

 スイスにおける200万人以上の16歳未満の小児を対象とした自然放射線と小児がんの関連研究では全がんのハザード比は外部被ばく蓄積線量について1mSvあたり1.04と報告(Spycher BD et al.Environ. Health Perspectives、 123、 622-628 (2015))されているが、鈴木正敏らの研究はこの研究結果の必然性をよく裏付けるものだ。

 正しい科学的処理の結果は1.7mGyですでに修復されない異常遺伝子が残留して発がんに結びつくということの科学的証拠になっているのである。
 彼らはこのように自ら定義した「吸収線量」の物理的適用を系統的に一貫して誤って使用し、ために上記の例では2mGyに満たない吸収線量でDNA損傷が残存する事実を、「100mGyまでは安全(DNAの損傷は残らない)」と大きな虚偽を導いている。
「100mSv 以下は安全」など全く科学的根拠は無く、とんでもないことである。
 山下グループだけでなく、およそあらゆる動物実験、培養実験で同様の手法が行われており、「有害な組織反応」の誘発及び「確率的影響」が現れ始める被ばく線量や「閾値」のレベルが過大に結論される。上記培養試験で閾値などはおよそ150倍も極端に高く評価され、結果、低線量被ばくが安全、無害とキャンペーンが張られているのである。
 この操作により現実に被害として生じてきた低線量におけるどれほどの「有害な組織反応」の誘発及び「確率的影響」が無視され、過小評価され、被害者が切り捨てられてきたか計り知れない。
https://www.sting-wl.com/category/%e6%95%99%e3%81%88%e3%81%a6%ef%bc%81%e7%9f%a2%e3%83%b6%e5%b4%8e%e5%85%8b%e9%a6%ac%e6%95%99%e6%8e%88もはや科学の体を成さない!ICRP体系の反科学 をご覧ください。


§4 科学の背骨を抜いた因果律の破壊
 (射線加重係数(1990〜)生物学的等価線量


 物体に刺激が加わり、物体は刺激に応じた反応をし、反応の結果(刺激を受けた結果)ある現象となって現れる。
 ここで刺激とは、結果として生じる現象の原因をなす作用である。
情報処理プロセスの用語でいえば入力である。 また、刺激の結果としての現象は、刺激(作用)を受けて生じる結果であり、情報プロセスに例えるならば出力である。
 反応および結果を刺激とのかかわりで論ずるのが科学であり、科学は因果律を表す。ICRP体系はこの肝心な論理が適用されない。
 生物学的等価線量:健康被害の多い放射線に対して被害の多い分だけ入力としての放射線エネルギーが大きいことにしようと約束して真の吸収エネルギーを放射線加重係数倍する。
 因果律の法則的記述を破壊しているのである。この表現は医療現場などでは便宜を与えるところとなっているかもしれないが、放射線加重係数は物体(生体)内部の反応などのメカニズムを無視して、たった一個の数値でエネルギーが多かったとする仮想的対応をし、科学をぶち壊しているのである。
 「放射線加重係数」はアルファ線の健康被害が大きいことを理由に、放射線加重係数を20として放射線塩るぎーを20倍して「生物学的等価線量」とする。「生物学的等価線量」は仮想的物理量である。
 出力が大きいことを入力が大きいことにしましょうと約束すること自体が生命体の中での反応過程をブラックボックスに閉じ込め、そうすることにより出力が「がんに限定される」という被害を極端に過小評価する体系の科学的目くらましとして、因果関係記述の破壊をしているのである。
 科学的目くらましは組織加重係数などへと次々と継続する。これがICRPの帝国主義的支配体系なのである。
 医療現場の被曝防護の目安としての現場的意味はあるかもしれないが科学のぶち壊し、すべての具体的関わりを分析総合する道を閉ざす入口となっている。

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 基本的にがんの発生率に従って組織加重係数なるものを設定し、実効線量を組織加重係数に応じて各組織に分配するという考えで構成されている。
 吸収線量を組織加重係数により臓器に分割するという考えはまさにICRPの恣意的に合成した奇怪な物理量であり、都道府県の人口と面積と人口密度を引き合いに出せば、「人口密度を足し合わせて全国の人口密度する」と同等の誤りをなす。科学的にも実態的にも決して合理性のある物理量ではない。
 吸収線量は放射線により与えられたエネルギーをそのエネルギーが吸収された質量で割ることにより基準化した量として定義・導出される。各組織の吸収したエネルギーと質量は足し合わせて全身に対する吸収エネルギーと質量になる(示量変数)。しかし、「吸収線量」は全くこの足し算に馴染まないものである(示強変数)。上記人口密度の例えのとおりである。
 さらに現実の吸収線量に対して組織加重係数を掛けて「実効線量」を算出するために見かけ上の著しい過小評価をもたらす。ICRPのからくりの第2の目くらましとなっている。
 この奇怪な恣意的合成で成し遂げた「実効線量」なるものは、放射線の影響をがんだけに閉じ込め、被害を極小にする過小評価のための帝国主義的ごまかし概念の結晶である。帝国主義的ごまかし概念とは、ICRPが帝国主義的支配力があるがゆえに全く合理的根拠を欠く概念を世界の住民に押し付けることである。

 シーベルトという単位:科学の基本精神の合理性を破壊したICRPの反科学の結節点
 吸収線量を何重にも恣意的に修飾した架空の物理量である。
 その第一は線質加重係数を放射線エネルギーの強さに練り込んだ生物学的等価線量である。
 その第2は組織加重係数により吸収線量を臓器に分割する実効線量。

 ICRPは科学以前の体系となる。これにより健康被害を事実上がんだけに限定するという被害の過小評価を体系化する。


§5 補足的に
 (1)ICRPの防護3原則はまさに人権に基づく民主主義を破壊する原理を核産業が正当化している体系である。
 例えば、防護原則の第1「正当化」はまさに放射線で命を奪うことを「公益」が優れば許されるとする。率直に言えば、原発の放射線による殺人を「正当化」として社会的認可を与えるものであり、核産業の社会的居直りなのである。これが各国で認知されていることは原発産業が如何に権力構造の中に組み込まれているかを示すもので、原発が特殊産業であることを際立たせている。
 (2)吸収線量と照射線量の単位を統一したことにより、国や原発会社の都合のいいように諸概念が使いまわされていることである。ガラスバッジの表示が低いことが「実効線量」として合理化されていることが第一に挙げられる。
 放射能汚染とモニタリングポストが地域の汚染を表す量、空気吸収線量として法律で定義されているにもかかわらず、生活量(屋内に16時間、屋外に8時間云々)と過小評価計算が導入されている。また福島県内外に設置されているモニタリングポストの表示は現実の市民が受けている吸収線量の半分の表示しかしていない。それらのこととあいまって、ICRP体系が住民を守る(放射線を防護する)ものではなく放射線被害の全面的目くらましに使われているのが実情といえる。

放射能公害被災者に人権の光を 矢ヶ克馬

2019年12月



放射能公害被災者に人権の光を


―原発事故被害を総括するー

全国市民が被災者です。「健康被害は皆無」の嘘を糾弾。
被曝防護の実践と救民の政治を!

つなごう命の会 矢ヶ克馬


〖ここからダウンロードできます〗
放射能公害被災者に人権の光を (pdf,4ページ,1307KB)


「つなごう命の会」は、原発事故避難者の生活と権利を守る活動をしてきました。「放射能公害被災者に人権の光を」とスローガンしております。
この間、沖縄県の県としての避難者支援を頂くことができてきました。
沖縄県は本年度現在、全都道府県のうちで原発事故避難者を支援し続けている唯一の県です。
これと並行して沖縄医療生協さんグループも医療費無料化などの医療支援を継続してくださっております。  感謝に堪えません。

原発事故をめぐる核戦略とそれを強行する法律無視。
住民犠牲の現状を正しく受け止めければなりません。
①国際的核兵器維持勢力が、核兵器・武力による世界制覇の補助手段である原発維持のため、資本主義の最も残忍な方法で一方的に住民に犠牲を強制することで切り抜けようとしていることです。核戦略の転換「放射線被曝ファシズム」から私たち:世界と日本の住民は自らを守らねばなりません。
②日本では現行法律がないがしろにされ憲法25条の生存権が破壊されました。
放射線被曝被害から住民を守る体制的・法的問題を正しく位置づけなければなりません。
③事故後7年間だけで27万6千人という死亡者の異常増加がありました。出生者の異常減少は27万1千人に上ります。54万7千人の異常人口減少です。これからもなお長期的に被害は継続します。
④しかし、安倍自公内閣は放射能の「健康被害は皆無」だとしています。
⑤日本市民の命が削られています。命と暮らしを守り、人権を守る必要が有ります。
⑥被曝からの防護は原発と核兵器全廃しかありえません。
⑦オリンピックの高汚染地での実施と「おもてなし」も極めて危険です。
⑧私たちは事実を客観的に見る必要があります。
⑨全ての人に放射能健康診断を!署名にご協力ください。
  http://housyanoukenko.3rin.net/
私たちは、ありのままを見て人権を守り抜くたたかいを致しましょう。
特に重要点は:
①放射線被曝を今まで防護してきた世界的指針(国際原子力ロビーの方針)が被曝を強制する方針に逆転させられてしまったこと。
②「原子力緊急事態宣言」により、法律が無視され、年間20mSvが押し付けられたこと。
③フクシマ原発事故以後死亡者の大量増加と出生者の大量減少があること。
事実を認識して自己防護と人道に基づいた放射線防護体制を確立する必要性を訴えます。
(1)チェルノブイリ原発事故の後、国際原子力ロビーの「放射線防護」の考えが「被曝線量を軽減する」から「永久的に汚染された地域に住民を住み続けさせる」に変わり、防護が放棄されました。
(2)それは「チェルノブイリ事故後10年」と銘打った国際原子力機関IAEAの会議で「住民は毎日の放射線リスクを受け入れる用意がある」とされ、「被曝を軽減してきた古典的放射線防護は複雑な社会的問題を解決するためには不十分である。住民が永久的に汚染された地域に住み続けることを前提に、心理学的な状況にも責任を持つ新しい枠組みを作り上げねばならない」とされました。
被曝量軽減を趣旨としてきた「放射線防護体制」が事実上放棄され「高汚染地域に住み続けさせる」という被曝を強制する体制が宣言されたのです。
(3)さらに11年が経過し、2007年の国際放射線防護委員会ICRPの勧告でこの逆転方針が具体化されました。被曝状況という概念が拡大され、今までの「計画被曝状況」に「緊急被曝状況」などが追加されました。今まで公衆に対する防護基準が年間1mSvだったものが、最高100mSvまで被曝させっぱなしにするという基準ができました。吸収線量の名前も新しい「線量レベル」という名称を使い、線量の取り扱いさえ「線量限度」とは全く異なる適用概念にしました。
(4)これがフクシマ原発事故に適用されました。日本の法律は年間1mSvです。日本政府は「原子力緊急事態宣言」を出すことにより20mSvを設定しました。
法律は国民との約束でありますが、緊急事態宣言を出すことにより、いともたやすく約束を20倍の被曝量に変えてしまいました。
法律により守られたてきた人権が削られたのです。
憲法25条の生存権が放射能分野で破壊されたのです。
(5)防護せず住み続けさせるという実施には、汚染地帯の人々の「されました。
(6)チェルノブイリでは事故後5年でチェルノベイリ法ができて住民の本格的被曝軽減保護が始まりましたが、安倍内閣は事故後5年、避難者の最低限の権利保障である住宅保証を打ち切りました。「子ども被災者支援法」が成立しているにもかかわらず、法の精神が完全に骨抜きにされました。
(7)チェルノブイリではありえなかった被害が日本に現れています。チェルノブイリでは5mSv以上では居住が禁止されましたが、日本ではその5mSv以上から20mSvまでの汚染地域に100万単位の人が住み、作物を生産し続けました。食べて応援で全国の人が被曝しました。これはチェルノブイリではありえなかった被曝被害です。
(8)厚労省の人口動態調査を分析すると、2011年以降2017年までの7年間で27万6千人の死亡者の異常増加がありました(図1)。同時に同程度の出生数の異常減少がありました(図2)。死亡者の異常増加と出生数の異常減少の合計は7年の積算で54万7千人に上ります。この異常減少は非常に強い蓋然性をもって「放射能被曝による」ものと判断できます。これだけの被害があることは一切報道されていません。それが日本の特殊状況を強く物語っています。


図1 2011年以降の死亡率の異常増加。 緑色に塗りつぶした部分が異常増加。全国で27万6千人、福島県では1万2千人に上る。これらには地震津波の犠牲者が含まれる。直線部分が少子高齢化による死亡率。



図2 2011年以降の出生者の異常減少。 緑色に塗りつぶした部分が異常減少。2010以前の直線部分が少子高齢化による出生数。

(9)日本の人口急減は非常に深刻なものです。それに加えて異常減少が深刻さを増します。異常な人口減少は7年間で54万7千人に上ります。年々減少する量の4分の3は少子高齢化によるもの、残りの4分の1は事故後の異常減少です。(図3)。


図3 日本の総人口、自然増減および社会増減による人口の年次変化。緑色に塗りつぶした部分は死亡者の異常増加と出生数の異常減少による人口減少。2017年までの累計は55万人になんなんとする。

(10)原発廃止の声が最も強く広がった2012年に「原子力基本法」の改訂がなされました。それは第2条に第2項が付け加えられました。
(基本方針)
第二条は原子力利用は、平和の目的に限り、「民主」自主」「公開」が原則として宣言されたものです。これに第2項が加わり「国際的な基準を踏まえ」という文言が付け加わり、「民主」「自主」がないがしろにされました。それだけでなく「我が国の安全保障に資する」が追加され、原発を核武装のための基礎インフラとして「我が国の安全保障」にかけて絶対放棄しないことを宣言したものです。
(11)IAEAの「心理学的な状況にも責任を持つ」ことは「健康被害は一切無い(安倍首相)」、「100Bq/kg以下は安全」、「風評被害(放射線被曝を言わせない)」、「100mSv以下は健康被害の証拠はない」、等の嘘のキャンペーンに現れています。嘘をついたり、科学の原理を無視することが公的機関(国、福島県など)及びそれをサポートする専門家によって行われたのです。例えば、小児甲状腺がんなどの疾病の患者発生数は発病期においては観察時間(調査期間)に比例しています。国及び福島県はこの単純で厳正な原理を無視して土地汚染量と患者数の誤った統計を取り、「事故とは関係ない」と結論しました。
(12)食品の放射能汚染は今も厳しく、市民は事故防護の必要、オリンピックが危険。

(訴え)全ての人に放射能健診を! 放射能健診100万人署名運動 
下記URLをクリックしてご署名ご協力お願いいたします。

http://housyanoukenko.3rin.net/

New book published " What Endangers Tokyo Olympics"  Etsuji WATANABE

Dec.2019


New book published in Japanese titled:



What Endangers Tokyo Olympics

― Clear and Present Radioactivity and Health Damage


Written and edited : the Citizens' Group for Appealing against Danger of Tokyo Olympics
Writen and contributed by the Citizens Appealing the Danger of Tokyo 2020
Chief Editor : Etsuji Watanabe
Published by Ryokufu Publishers Co. Ltd, September 11, 2019



〖Please download the file of this article from the following link.〗
New book published What Endangers Tokyo Olympics (pdf,7pages,2356KB)


http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-1914-0n.html





Introductory Summary
Etsuji Watanabe, Nozomi Ishizu


To everybody who feels something dangerous about Tokyo 2020.
The book has been published in Japanese, so Etsuji Watanabe and Nozomi Ishizu, the co-editors of the book, tried to overview it in English. We are very honored if you spread this introductory summary among your friends and supporters as widely as possible by using any media. In addition, you can use this full text or any part of this document freely as you like for the purpose of warning against Tokyo 2020.

  ――A poem by an evacuee from Fukushima――

To an old friend of mine in my hometown

   Naomi Tsubakura*


Thank you for sending me photographs of the festival
Your heroic festive figures become you very well

Four hundred years-lasted Festival
That nuclear disaster broke it off, I heard

The revival should be rejoicing for me too, though
Oh while I am looking for the words that are to reach you
You breathe and breathe and breathe the contaminated air

When I talked to you about my evacuation plan
I saw you shrug your shoulder saying that's overblown

You laughed at me being frightened by invisible smell-less things
I was so annoyed that my eyes got filled with tears

Yes, I wish I could send you the air I am breathing here
I wish I knew the magic to extinguish the poisons around you

You feel as if I became crazed
I believe that your sense is wrong

Who's creating disaccords among us
Radioactivity is undermining our existence, but what is it

The eggs of swallows not destined to be hatched
The mother birds continued warming them up, I heard

The lives of life having been repeated
So sorry for not being able to protect


* Naomi Tsubakura: In 1986, when the Chernobyl nuclear plant disaster happened, she moved to Tomioka town, Fukushima Prefecture, and spent her puberty period there, where the Fukushima Daini Nuclear Power Plant was located. At the time of the Fukushima nuclear plant accident, with chronic disease she was undergoing medical treatment. Now she has evacuated to Kansai, the western part of Japan, but she still continues fighting her illness.


-----------------
In about 10 months, the Tokyo Olympics and Paralympics is scheduled to be held. This book is an urgent publication to warn people of Japan and the rest of the world against a grave danger of radiation exposure to be posed by the Tokyo Olympics.

The main points of this book are:

(1) To strongly urge the athletes, visitors and audiences who are planning to attend the Tokyo Olympics never to trust any propaganda of the Japanese government claiming that Fukushima and Tokyo 'are 100% safe now', 'have no risk of radiation exposure', or 'radiation exposure won't cause any health effects,' and the like.

(2) To request these people to recognize the real danger or risks of radiation exposure from visiting Fukushima and Kanto regions including Tokyo even only for short stays, and to reconsider their plans of attending the Tokyo Olympics by applying to it the precautionary principle.

(3) To prompt people, especially the international community, to pay attention to the Japanese government's cruelties that, behind the large scale mass-media propaganda and construction extravagance for the Olympics, the authorities are terminating all the financial support for Fukushima evacuees and victims, economically forcing these people to return to heavily contaminated areas with 20mSv/year (33mSv/y in reality), leading to stochastic 'mass murder.' Such a violent act by the authorities against the people is equal to "a crime against humanity" comparable to war crime. Based on the Japanese government risk factors, though greatly underestimated, the early-death rate for returnees in lifetime is estimated at 5-15%.

(4) To encourage people to understand the real picture of health damage spreading and becoming more serious in Fukushima, Tokyo and all over Japan, which we cannot help but be convinced as irradiation-related.

(5) To demand the Japanese government forfeit hosting the Tokyo Olympics, and to urge the governments and sport associations of other countries to take potential irradiation risks in Tokyo 2020 seriously and to refrain from sending their athletes to the Tokyo Olympics based on the precautionary principle.

Main contents of this book are largely divided into two sides. One is criticism from objective sides of radiological and medical sciences and specific radiation exposure situations in Tokyo and Fukushima. The other is criticism from the viewpoint of justice that Tokyo 2020 is against morals, humanity, democracy, and human rights.



Part One: Scientists, Doctors and Citizens Warning the Danger of the Tokyo Olympics


This part introduces various works of scientists, doctors and citizens who have been warning the danger of the Tokyo Olympics and addressing their opinions to oppose Tokyo's hosting the Olympics.

The book publishes for the first time the full Japanese text of the Open Letter to the International Olympics Committee (IOC) dated October 3, 2013 by Tetsu Kariya, the original author of the famous manga series 'Oishinbo', translated by Nozomi Ishizu and Etsuji Watanabe. This document was one of the most important forerunners on this issue.

The book presents the first statement by the International Physicians for the Prevention of Nuclear War(IPPNW) Germany (translated by Yu Kajikawa), and introduces movements against irradiation in the Tokyo Olympics in Germany (written by Shinobu Katsuragi and Yoko Kawasaki), and anti-Tokyo-Olympics actions in California, United States (written by Nozomi Ishizu).

Excerpts from the statement of Hiroaki Koide (former assistant professor at the Kyoto University Research Reactor Institute) appear in this book, pointing out the risk of the Tokyo Olympics, with the introductory notes written by Norma Field (an emeritus professor at the University of Chicago).

Etsuji Watanabe summarizes an article "Atomic Balm" by Arnie Gundersen, an famous no-nuke activist in the United States.

This book quotes an interview of Mitsuhei Murata, a former Japanese ambassador to Switzerland, who is actively involving in anti-Tokyo-Olympics-Paralympics movement, urging the Japanese government to relinquish hosting the Olympics.

Anti-radiation movements in Tokyo have started calling for a Japanese version of the Chernobyl laws to be established. Toshiko Okada, Chieko Yamada, and Toshio Yanagihara (lawyer) explain why they are now fighting also against radiation exposure in the Tokyo Olympics.

Kosaku Yamada (emeritus professor at the Kyoto University) writes about protest movements against the Japanese government's plan to dump to the pacific ocean radioactive tritium-contaminated waste water accumulated in the disaster-hit Fukushima nuclear plant.

Eiichiro Ochiai (emeritus professor at the Juniata College of the United States, now resides in Canada) emphasizes 'Invisible Threat' of radiation in Japan theoretically as well as based on his personal experiences.

Katsuma Yagasaki (emeritus professor at the University of Ryukyu) shows the reality of health damage with an excessive deaths, approximately 280 thousand, within a period of 7 years. He defines 'No health damage' campaign by the Japanese government as a symbol of the prime minister Abe's fascism and an integral part of "unknown invisible nuclear wars" that have still been raging now.



Part Two: Reasons Enough to Conclude that Radiation Exposure in the Tokyo Olympics should be Dangerous


This part analyzes potential radiation risks that the Tokyo Olympics poses to athletes, audiences and visitors coming from around the world. And we also objectively and scientifically clarify that the scale of the Fukushima nuclear accident and its characteristic severity will cause those athletes, audiences and visitors to incur serious radiation exposure risks for the rest of their lives, even if they make short stays.

In this book Etsuji Watanabe asserts that considering the amount of radioactivity released by the Fukushima nuclear disaster reveals the real picture of the Tokyo 2020, which is equivalent to Olympics held in the vicinities of Nevada nuclear test site or Chernobyl disaster site. It is also emphasized that micro-sized insoluble radioactive particles, characteristic of Fukushima disaster, discharged from the reactors melt-through entail so serious biological danger or 4,500 times that of the external exposure, that only one small particle, say with 1Bq in each, breathed and deposited in one's lung could cause lifetime threat to one's health.

Tadashi Hongyo (professor at the Osaka University medical faculty) discusses how large individual differences in sensitivity to radiation are, especially for children, young women, and those with specific genetic mutations innately.

Etsuji Watanabe and Kosaku Yamada argue multiplied dangerousness of tritium. Among others, organically bound tritium (OBT) is 50-600 times more dangerous than external exposure or K40 (natural radioactivity) internal exposure. This chapter presents many specific cases that show the real health damage caused by tritium.

Etsuji Watanabe examines the logic of the Fukushima nuclear accident's 'No' health effects theory and its 'self-destructive' nature. In order to prove its truth (i.e., total false), the theory intrinsically leads the government and ruling circle to expose as many people as possible including as famous people or celebrities as possible, including emperor and empress, prime minister, ministers, politicians, actors and actresses, singers, news casters or others, to as large risks of irradiation as possible like visiting the devastated nuclear plant or highly contaminated areas without any protective clothing, symbolically masks.

Tsuyoshi Fujioka (guest professor at the Osaka University of Economics and Law) tells that some parts of UNSCEAR reports which the Japanese government quotes to justify their 'No health damage' theory are absolutely nonfactual. He even suspects that those contents used by the Japanese government to justify their Zero Health Effects theory could have been inserted in exchange for financial support from the Japanese government.

In addition to micro-sized particles, Koichi Oyama (councilor of Minamisoma city in Fukushima prefecture) discusses 'black materials' found on walls and ceilings of rooms or on the surface of public roads, possibly resulting from radioactivity's bio-accumulation and contamination cycles.

The article written by Masaaki Suzuki makes it clear that radioactive contaminations of city tap water in Tokyo metropolitan area can be easily detected by using simple zeolite water purifiers and the conditions are worsening (complemented by Yoko Shimosawa).

Koji Owada (former professor at the Kyoto Pharmaceutical University) discusses the real conditions of food contamination and accuses the danger and the moral responsibility for the plan to cater Fukushima food extensively to those athletes to participate in the Tokyo Olympics.



Part Three Fukushima Disaster Radiation Exposure Effects Appearing in Reality, Health Damage to Evacuees from Fukushima and Kanto Regions Including Tokyo


This part covers a series of serious health problems surfacing in Japan, especially in Tokyo and Fukushima, which we cannot help but conclude are caused by or related to radiation exposure from the Fukushima nuclear disaster, in other words, irradiation health damage. This book also features stories of evacuees not only from Fukushima prefecture but also from Kanto regions including Tokyo area who have been experiencing health damage in reality.

Dr. Shigeru Mita, an evacuee from Tokyo area himself and a clinician who has been treating health problems of Fukushima evacuees, overviews "new hibakusha" patients conditions. He named the typical symptoms that many irradiated evacuees and victims are suffering from "declining abilities syndrome", which shows very similar symptoms to what late Dr. Shuntaro Hida called "burabura disease" typically found among Hiroshima/Nagasaki atomic-bomb-survivors.

Etsuji Watanabe statistically analyzes official data of cancer registration and of special needs classes of schools, and finds the increases clear and undeniable in cancer onset cases, specifically of radiologically sensitive leukemia and blood cancers, as well as in children's developmental disorder cases.

The important research done by Sachiko Saito is introduced on urine inspection (radioactive cesium) to examine children's cesium contamination in Fukushima and Kanto regions.

Evacuees from Fukushima and Tokyo areas speak up and reveal their experiences of evacuation including various symptoms which we cannot help but conclude are caused by radiation exposure. You can read the following self-revealing personal histories and interviews: Atsuko Fukushima (evacuated from Fukushima prefecture), Atsushi Haneishi (evacuated from Ibaragi prefecture, south of Fukushima), Yoko Shimosawa (evacuated from Tokyo), Ryota Sono (also evacuated from Tokyo), Kinue Suzuki (evacuated from Fukushima prefecture) from a view point of the handicapped.

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